仲間意識
騎士団は他にもあるし、女性だけの騎士団も<白薔薇騎士団>というのがあって、別にずっと同じ騎士団に所属しないといけないという訳でもなかった。だけど、他の騎士団を追い出されたとなると、そこから他のというのは決して簡単じゃない。追い出された理由もあるけど、追い出されるということ自体がそもそも普通じゃないからね。
だから、ここ、青菫騎士団から追い出されたからってすぐ白薔薇騎士団にってわけにはいかないんだ。
もし私がドゥケのことを悪く言って追い出されるようなことがあれば、もう他の騎士団には移れない可能性だって出てくる。せっかく騎士になれたのに、そんな形で辞めることになるのは嫌だ。
だけど、今のままじゃ……
なんて言っていいのか分からなくて黙ってしまった私に、ソーニャが言った。
「何度も言うけどさ、シェリスタ、あなた難しく考えすぎなんだよ。ドゥケ様のことを穿って見過ぎ。ドゥケ様は見たまんまの優しい方だよ。そりゃ確かに女の子にはちょっとだらしないかもだけど、ドゥケ様は女の子を弄んだりしないよ。ちゃんと大切にしてくれるよ」
テルニナが続く。
「そうそう。それにドゥケ様の子供を宿した女の子達も、国に戻れば生活だって保障されるのよ? 当然よね。何しろ勇者様の子を宿したんだから」
そこにアリエータまで。
「そうだよ。勇者様の子を宿すなんて、女性としての最高の誉じゃん。勇者の子供を育てられるとか、こんな栄誉なことないよ」
とか言いながら、三人はうっとりとした様子になった。
「来週には、私も初めてドゥケ様の夜伽をするんだ~」
ソーニャが頬を真っ赤に染めて両手で押さえながら体をくねらせた。
「いいな~」
「私なんかまだ当分先だもんね~」
テルニナとアリエータも自分の体を抱き締めるみたいにしてくねくねしてた。
……なんだこれ…?
夜伽って、そんなことまでしてんの? ここって後宮とかじゃないよね!? 騎士団だよね!? 騎士が何で後宮の女性達みたいなことしてんの!? ますますわけ分からないよ!!
愕然としてる私に、三人は言った。
「心配しなくても無理強いはされないから大丈夫よ」
「そうそう。ドゥケ様のものにならなくたって追い出されたりしないって」
「ただ、仲間意識っていう点ではやっぱりちょっと遠いかな~、っていうのはあるよね」
確かに、別にこの三人からも一緒の部屋にいても別に嫌がらせみたいなことはなかった。先輩が後輩をいびるみたいなこともあるかもと覚悟してきたのに、みんなすっごく優しくしてくれた。今だって嫌味とか言われてる感じはない。
だけど、やっぱりどう考えればいいのか分からない!




