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引き立て役じゃない!

私が所属する青菫あおすみれ騎士団は今、魔王軍が再び侵攻してこないように前線の近くに陣を置き即応態勢をとってる。七騎士団の内の四つまでがそういう形で待機してた。


青菫あおすみれ騎士団は二つある女性だけの騎士団の一つで、団長のライアーネ・ロウ・ハーディオン様の下、命ある限り王国の為にすべてを懸ける誓いを立ててた。


でもね、だからって、勇者を盛り立てる為の太鼓持ちになったつもりなんてないわよ!?


「さって、今日も一発ぶちかましてやりますか」


私達、青菫あおすみれ騎士団の仮宿舎に泊まり込んでたドゥケが朝食を終えて立ち上がった。そのドゥケが鎧を着けるのを、何人もの女の人が手伝う。彼女達は皆、青菫騎士団の騎士達だった。しかも、団長のライアーネ様自らが率先してあいつにかしずいてる…!


屈辱…屈辱だわ……どうしてあんな奴にライアーネ様が……!


しかも、ライアーネ様をはじめみんな嬉しそうに笑顔なのが腹が立つ…!


本当にみんな、どうしちゃったっていうの!? なんでそんな奴に媚び売っちゃってるのよ! 訳が分からないって!


「よし、ついてこい! でも正面で魔王軍の相手をするのは俺一人で十分だ。お前達は網から漏れた小物の始末だけしてくれたらいい!」


とか言いながらドゥケが馬を走らせる。でもこいつ、最初は馬にすら乗れなかったって言うじゃない? そんなんで何よこのドヤ顔。


だけどそんな風に不満顔なのは私だけで、みんなは、


「はい!」


なんて嬉しそうに応えちゃって、ドゥケの後を馬で追う。


でも確かに、あいつの力は本物だった。私達の姿を見るなり突っ込んできた魔王軍を剣の一振りでなで斬りにする。剣そのものも善神バーディナムの祝福を受けた法剣だというのもあるけど、それをドゥケが使うとまるで神の奇跡が顕現したかのように無双するんだ。


同じ法剣を私達が振るっても、一体一体を倒すのがやっとだっていうのに。


実は、ドゥケが現れる前にもあいつと同じように善神バーディナムの祝福を受けた勇者が何人も現れた。そのおかげで魔王軍を押し返せたっていうのもある。だけどその勇者達も一人で戦ってたらやがて力尽きて魔王軍に倒された。そんな中でドゥケだけが他の騎士や戦士と連携して戦うことで生き延びた。


でもね、その騎士や戦士の殆どが何故か女性なのよ! あいつは自分の周りに女性をはべらせてそれで自分を守らせて戦ってるの!


私達はお前の引き立て役じゃない!


…なんて思っても、あいつの力がなければジリ貧だっていうのも分かる。


だけど…だけどね、なんか納得いかないのよ!



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