第四語 消えない記憶
皆様、こんにちは、こんばんは。
皆様は”忘れたい記憶”って、ありますよね?
でも、そんな記憶は忘れようとするほどに、”忘れられない記憶”にすり変わっていきます。
今回の語り部は、そんな記憶に関するお話。
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あるところに、一人の少年が居りました。
その少年は、笑い、悲しみ、喜び、そして恋をして、日々を楽しく過ごしている、とても快活な青年でした。
ある日のこと、彼は、思いを寄せる女の子と偶然、街で出会いました。
嬉しくなった彼は、女の子に話しかけました。
しかし、彼女の顔はいつもに比べ蒼白く、どうやら、具合が悪いようでした。
彼は、「大丈夫?」と、心配しましたが、彼女は、「大丈夫」と答えます。
それ以上聞けなかった彼は、とりあえず、救急車を呼び、彼女を連れて行ってもらいました。
しかし、
誰も思ってもみなかったでしょう。
彼女と数名の救急医を乗せた救急車が大型トレーラーに突っ込まれ、救急車に乗っていた人々は全員死亡するとは。
その日から少年は自責の念に潰されそうになります。
自分が救急車を呼んだから、自分が彼女を救急車に乗せたからと、彼女の死は自分のせいだと思い続けました。いっそのこと、自分も死んでしまえばいいと思った時もありました。
時には、彼女のことを忘れようともしましたが、そういう日には夢で、彼女が死ぬ瞬間を、自分はただ傍観している夢を見るのです。その度に、また思い出し、記憶に深く深く刻まれていくのでした。
そのうちに、彼は狂ってしまいました。
動きはギクシャクしたような動きで、時には突然奇声をあげ、見えない誰かに話しかけるような仕草を取るようになりました。
その後、彼がどうなったか。それは誰にもわかりません。
ただ、もしかしたら、彼が話しかけていた見えない誰かは、彼女の霊だったのかもしれません。
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どうでしたでしょうか?
”記憶の廃棄”は大切ですね。
あとに引きずり続けても、その結果は変わらないし、変えられません。
彼も、彼女のことは忘れ、新しい運命の人を探せればよかったですね。
以上で、今回の語り部は終了です。
では、次の語り部まで、
Au revoir。