螺旋(★☆)
もう何度回ったことだろう
いい加減疲れてしまうよ
くるくる くるくる
何度も 何度も
巡って 巡って
何度でも
感じるのは同じ幅の段差と
ひたすら単調な足音くらいさ
くるくる くるくる
何度も 何度も
巡って 巡って
何度でも
ねぇ いつまで続くの
目指すところはあるはずなのに……?
くるくる くるくる
巡る疑問は
ついに己へ向かってくる
手が届きそうなのに
振りきりたくなる
形作ったばかりのそれを
蹴散らしたくなる
成し遂げたい
なのに
壊したい
掻き毟った傷痕
痛むのに
くるくる くるくる
巡る疑問は
やがて己へ問いかける
薬の抜け殻を道しるべにして
痛む腕をさすりながら
私は……
私は
治したいの?
治したくないの?
助けてほしいの?
ほしくないの?
進みたいの?
戻りたいの?
何を目指していたんだっけ?
そもそも目指してなかったの?
もう何度回ったことだろう
いい加減疲れてしまうよ
だけどいつから見出したんだろう
一体何処から届いたんだろう
見上げてみればそこかしこにあった
幾つもの小窓
外の世界
星屑を詰め込んだ窓
天使の梯子を掛ける窓
こんなところへも届いてた
気付いたならまた踏み出そう
くるくる くるくる
何度も 何度も
巡って 巡って
何度でも
暗闇ばかりだ
それでもいい
匣の中だ
それでもいい
外を知らない
でも 届くよ
さすった傷痕
確かに在る
抜け殻の道しるべ
確かに在るね
虚ろな視界でも
こうして捉えられるのは
ほんのわずかな光でも
私の元へ届いているからさ
“私”を知ることはできるのさ
くるくる くるくる
何度も 何度も
巡って 巡って
何度でも
単調な繰り返しのようだけど
見下ろせばわかる
違うって
螺旋は確かに続いてる
目標とは言えなくたって
私は上を目指してる




