愛欲の朝日と残酷な軌跡(★)
おかしいね
私は気付いてもらいたかったはずだよ
振り向く気配もないからって
ほら ここ
ここを見てと
しきりに両手を振ったはずだよ
夕焼けは綺麗であればあるほどに
この胸を蝕むようで
闇を引き連れてくるのが確かにわかる
綺麗であればあるほどに
じんわりと滲んでくる
紅 切ない
振りきれない
満ちる夜露にこの身を沈め
鎮まる鼓動に安らぎ覚え
ああ きっとこれで良いと
瞼を伏せない微睡みの中へ
登るほどに青くなる月は
疲れ果てた身体を冷やすようで
治癒の力を確かに感じる
遠く高みへ登るほどに
ひんやりと染み渡る
満ちた足りた藍に
欲しがる愛
これで良いなんて誰が言った?
は?
誰に聞いてんの 滑稽だねと
皮肉に笑う声がする
他でもない私の内側から
やっと振り向いた貴方は優しい顔をしている
いいや 哀しい目をしている
あえて触れてこない貴方と
肝心なことさえ言えない私を
嘆きの朝焼けが包んでいくよ
頰へ伸びた涙の軌跡
現実をありありと照らし出す
綺麗であればあるほどに
おかしいね
私は気付いてもらいたかったはずだよ
振り向く気配もないからって
ほら ここ
ここを見てと
しきりに両手を振ったはずだよ
私はこんなに寂しいよ
見てよ 触れてよ
構ってよ
どうせこんなに子どもじみてるんなら
子どもらしく甘えればいいのに
いざとなったらやり方もわからないって
馬鹿だね 何処までも滑稽だね
貴方の涙に触れながら
こんなの欲しくなかったなんて
……今更