自己犠牲とは違うのよ(★)
ねぇ
なかなか伝えられないことがあるのよ
笑顔の素敵なあの子が私を優しいと言ってくれるのよ
確かにそうかも知れないわ
優しい言語ばかりを羅列したかも知れないわ
不器用ながらも頑張って笑ったと思うわ
だけどね
私は私の中に優しさを見つけられないわ
だからね
期待をしてはいけないわ
棘をこの身に突き立てて感じているの
こんなに鋭利よ
こんなに壊してしまう
自分ならば傷付けていいでしょって
そういう問題じゃないとよく聞くわ
ねぇ
笑顔の素敵なあの子はきっと知らないのね
それとも知っていて……?
“それは駄目よ”
“大切にして”
そんな願いの裏返しならなおさら伝えたいわ
ふんわりした衣服でいくら覆ってみたって
棘は時折突き抜けてしまうわ
ああ 触っては危ない
意思を持って蠢くこれは
柔らかいものほど刺したがるの
もしこれが見えたなら
指先一つでも触れてしまったなら
失望するわよ あなた泣くわ
だから私に優しさを求めてはいけないの
そしてそっくり返してあげたい
こんな私が優しく見えるあなたは……
あなたこそが優しいわ
ねぇ
伝えたいことがあるのよ
だけどまだ言えずにいるのよ
いいえきっと手離せずにいるのよ
“優しいね”って
むず痒いけど
たまには救われた気になって酔いしれてみたいわ
笑顔の素敵なあの子に邪悪な棘は突き立てない
させてたまるものですか
気が済むまで私に突き立てていなさいな
あの子のように笑っていてあげるから