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魔王物語  作者: 琉音
1/3

〜第1話『出会い』〜

      [魔王物語」〜第1話 『出会い』〜



                 ―夜風をついて


                 ―馬で走るのはだれだろう


                 ―父親がわが子をしっかり


                 ―やさしく抱いている



            『父』 「坊や 何が怖いの」


            『子』 「そこに魔王が…お父さん 見えないの」


            『父』 「あれは夜霧だよ」


            『魔王』「坊や おいで たのしく遊ぼう

                 川岸に花がいっぱい咲き 金色の服もあるよ」


            『子』 「お父さん お父さん 魔王の声が聞こえないの」


            『父』 「安心しなさい 枯れ木のざわめく音だ」


            『魔王』「さ おいで うちの娘たちとお遊び

                 夜のロンドを踊って 坊やを寝かせてくれるよ」


            『子』 「お父さん それ そこに魔王の娘が」


            『父』 「坊や あれは 枯れた柳の影だよ」


            『魔王』「かわいい子 力ずくでも連れていくぞ」


            『子』 「お父さん 魔王がぼくをつかまえる」


            

                 ―ぞっとして 馬をいそがせ


                 ―父はあえぐ子を抱きしめ


                 ―やっとわが家に着くと


                 ―子は息たえていた



「…………はい、今日の授業はここまでにします。日直さん、お願いします」


「きょうつけ、これで6時間目の授業を終わります」


「「「「「「「「「「終わります」」」」」」」」」」


みんな教科書やら縦笛やら持ち、教室からでていった。…ある一人を除いては。


「美天!!美天!!起きてってば!!」


友達の春樹が寝ている美天をゆすった。実は、さっきのビデオ、シューベルトの『魔王』をみていた時も


寝ていたのだ。


「みーあーまー!!起ーきーろー!!」


ユサユサ


「おーい、起きろー」


ユサユサ


「…………いいかげん起きろ!!」


ユサユサユサユサユサユサユサ


「………………ん〜?何さ春樹…」


やっと美天は起きた。春樹は半分呆れていた。


「美天さん…今何時かわかる?ちなみに今日は45分授業だから」


美天たちの学校は45分授業、50分授業と種類が2つあった。


「…………午後の3時30分…………」


「もう授業はとっくの前に終わってるんですけど」


「…………………」


そのまま美天は固まってしまった。


「…………あたしは先にいってるからちゃんと教科書もってから教室にいきなよね」


「……うん」


そして、春樹は「早くこいよ」といった後、教室を出て行った。


「はぁ〜…また寝ちゃったなぁ〜…昨日夜更かしなんかしなければ良かった…」


教科書を持ち、教室を出ようと椅子からたちあがった時、


――――――ガシャン


「うわ!?」


何かが落ちた音がした。美天は恐る恐る後ろをみていた。すると、そこにはビデオが落ちていた。


「あちゃーもしかして落としちゃったのかな…壊れてないよね?」


ビデオが割れてないか見てみたが、どうやら以上は無いみたいだった。


「ってかこれ何のビデオなんだろ……『シューベルト〜魔王〜』?なんじゃこれ…」


黒板ではなく、いつも先生が使っているホワイトボードに『魔王』とかいてあった。おそらく今日は


これを勉強したのだろう。


「…うわ〜…どうしよ…なんかこれ面白そうなのにな〜ちょっと見たかったかも…でもまぁいいか。

また今度多分見るだろうし」


そういってビデオをテレビの上に置き、教室を出ようとドアに手をかけた時だった。


「…………待て」


後ろで低いテノールの声がした。美天はバッと後ろをみた。するとそこには黒なのか紫なのかわからない、


足までとどく髪をし、目は猫型の目で金色。変な長い黒マントをかぶった一人の男が立っていた。


「…………………ダレですか」


「我の名は魔王。暗黒の世界の王だ。貴様は誰だ」


「はぁ!?何が魔王ですか。何が世界の王ですか。頭大丈夫ですか。ってか初対面なのにいきなり『貴様』

あつかいかよ!!」


…………とつっこもうとしたけどやめた美天はとりあえず名前だけ名乗っといた。


「……美天です…」


「ミアマか。それで聞くが、貴様はキリストの子だな?」


「キリスト?……あぁ、イエス・キリストか……………違いますよ」


「なんだこの人」と内心思いながら美天は答えた。


「嘘をつくな。貴様はキリストの子だろう」


「…そんな…あたしは神様の子供じゃありません。人間です」


美天がそういうと『魔王』と名乗る男は深いため息をついた。


「下界の生き物はこんなにも馬鹿なのか。神の子供も人間も同じだろう」


「……………………………」


さすがにむかついた美天はちょっと震えていた。


「ところでミアマ。貴様、我の国にきてみないか」


「……とかいって変なところにつれていく気なんでしょ。嫌ですよ」


「………我の言葉が信じられぬか?」


「うん。ってか魔王ってことも信じてないし」


「……………ほほぅ。では信じさせてやろうか?」


その魔王と名乗る男は一つ怪しい笑みを見せてから、美天のほうに腕をのばした。


「……何する気?」


「力ずくでも貴様を連れて行こうとしているだけだ」


そういってその男が手をしたに下げると美天の体は足から順に消えていった。


「な!?何これ!!ちょっとやめてよ!!」


「暴れるな。害はない。あとほんの数秒ですべて消える」


「やだよ消えるなんて!!いや…」


そういいながら暴れているが、もう胸のあたりまで消えかかっている。


「やだ…春樹!!助け…」


最後をいい終わる前に美天は消えてしまった。…視界が一気に暗くなった。


「…………新しい奴隷が増えた…」


そう笑いながらつぶやくとその男も消え、教室には誰もいなくなった。


その数分後、いつまでたってもこない美天の様子をみにきた春樹だが、そこには美天の姿はなく、


入り口のすぐ近くで雑に落ちていた教科書、縦笛、筆箱。そして美天の片方の靴だけだった。

























            



この物語を読んでいただきありがとうございます!!

初めての作品なので上手くかけているかわからないのですが、とりあえず連載系、1話が終了しました!!

これから2話、3話など書き続けていきますので応援よろしくお願いします!!

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