魔女の告白
「わかりました。あなたの立場は理解しました」
安堂光雄は魔女ラムワイヤーの話を聞き終えて、やっとのことで言葉を絞りだした。
彼女の告白は恐るべきものだった。
そして、同情を禁じえないが、同時に、彼の立場ではそれを容認することはできなかった。
「……あなたが人を襲うのを見逃すことはできません」
安堂光雄はきっぱり言い放った。
自分がこんなにも決然とした態度を示せると思ってもいなかった。
だが、不思議と彼の中の正義は炎のように身体から立ち昇っていた。
「そうよね。それはそうよ。ただ、そういうゲームのルールなの。これはデスゲームなのよ」
悲しそうな瞳で魔女は言った。
「でも、たぶん、あなたに協力することはできるかもしれない」
安堂光雄は続いて言った。
魔女ラムワイヤーは少し驚いたような表情で、彼の顔をまじまじと見つめた。
「そんなことができるの?」
「やってみないと分かりませんが」
「確かに、そうね」
魔女は大きく息を吐きながら、瞳を閉じてしばし黙考した。
「それで、どう手助けしてくれるの?」
ライムワイヤーは暗い瞳で安堂光雄を見つめた。
「あなたの守護天使とやらを殲滅します」
安堂光雄はさらりと言ってのけた。
「冗談でしょう! 奴は血も涙もない機械天使よ。あなた達が敵う相手ではないわ」
ラムワイヤーのエメラルドグリーンの瞳が妖しい光を放っている。
「この新宿、歌舞伎町からあなたが解放される手段はそれしかない。それに勝算がない訳ではない」
安堂光雄の語った戦略は奇想天外であったが、ラムワイヤーにとって悪い話ではなかった。
「分かったわ。それでいきましょう」
彼女は最後には同意した。