天国の階段で少女の独白を、そして…
なんで螺旋階段で上に昇らなきゃいけないのかしら。
天国への階段とか洒落こんだつもりなのかしら。
でも手摺りがなくて危うい上に、足場はまるで薄いガラスの板だわ。
なのに周りは暗闇だから板が光っていて足元が眩しいなんて悪趣味だと思わない?
あら?そうよね初めて会ったのに少し馴れ馴れしかったわよね。
ああでも戸惑わないで、私、妾は貴方のこと間接的に知っているの。
地底人でしょう?その白い髪と肌、血を透き通らせた赤い瞳も覚えてるわ。
そうね、一番上に昇る前に少し休んでお話しない?
実はねここから生きてた頃の世界を見れるのよ。ふふ。
もう戻ることはできないけど、でもやはり気になってしまうの。
多くの大切を忘れてきてしまったから…本当に、後悔ばかりだわ。
生きてる時は幸せな瞬間にもう死んでもいいとか思う時あるでしょう?
でも死んでからはそう思ってた自分が馬鹿みたいだわ。
死んで全てが終わるなんて誰が決めたの?誰が知っていたの?
ただ繋がりが切れるだけ。全て無とか、そんなの死ななきゃわからないことよ。
切れた繋がりは元に戻せなくて、見守ることしかできなくて歯痒いわ。
ん?私、妾の髪が金色で太陽みたい?
ありがとう。それは私、妾にとって最上の褒め言葉よ。
太陽を希望として唱えて、未来に希望を夢見たわ。若かったのかしら。
そして勝手に絶望したり苦しんだり我武者羅に行動して…ああ、やはり若かったのね。
若いまま死んでしまったわ。どうせならお婆ちゃんになるまで生きて…セイロンと…
いえ、貴方には関係ないお話よね。駄目ねぇ、どうしても後悔が出てきてしまうの。
でも後悔のない人生だったら、きっとこんなにも愛おしくならなかったでしょうね。
後悔ばかりだから生きたくて生きたくて仕方なかったわ。そうね、生きるってやはり難しいわね。
地底人の生活は…システムエッグのせいで狂ってしまったのね。
消失文明の遺産がこんなにも波紋を呼ぶなんて…本当に愚かね。滅びてもしょうがないわね。
でも地底遊園地なんて素敵ね。一度遊びに行ってみたかったわ…ふふ。
光のない地底世界で光溢れる遊園地なんて、本当に夢みたいなお話。素敵だわ。
不老不死とか、希望ある未来のためにデータ化とか、そんなのよりずっと素敵だわ。
…彼らなら守ってくれると信じていたわ。子供だけど、でも前に突き進んでいく強さがあるもの。
もちろん一人一人の強さはまちまちだけど、束になれば本当に怖い物なんてないの。
青い血…話に聞いたことあるわ。十三人の血族、人に近い人ではない何か。不気味な話ばかりよ。
でもそれすら一人味方にしちゃうなんて、悪運の強い子達だわ。見ててハラハラしたけど。
あとはキッキくんかしら?彼との繋がりや利益があったからこその味方なんでしょうけど。
それでもやはり貴方の弟さんは頑張っていたのでしょうね。夢を叶えるために…手段を選ばずに。
非難してるわけじゃないわ。むしろそちらの方が素敵だと思うの。
手段を選ぶって、必死とは少し違うと思うの。余裕があったり恵まれてたり…
その点貴方の弟はたった一人であの遊園地を作り上げたじゃない。夢を叶えたじゃない。
ならその結果があの遊園地で楽しむ子供達の顔に現れるわ。過程よりも大事な結果だってあるのよ。
死にたくなかったわ。死んでからずっとそう思うの。
死んでからも後悔してるなら、死後も人生の一つなのかしら。おかしな話ね。
でも本当に、本当に…生きたかった。素敵な恋を成就して、友達と恋バナして、ゲームで遊んだり…
外を走り回ってもいいわね。本当に平凡で普通の、誰でもできる生活がしてみたかったわ。
もう遅い話だけど…死んでから、その普通がどれだけ輝いていて素晴らしいかを知ったわ。
…それを奪おうとしたことも…後悔してるわ。だから死んだのはある意味報いね。
…生きたい?ええ、そうね。
弟さん一人置いて行くのが辛いのでしょう?
え、違うの…ああ、そう。そうか。そうなのね…
貴方も普通の生活がしたかったのね…
弟さんにはもう家族といえるロボット達や友達といえる竜宮健斗達がいる。
でも貴方はずっと眠っていて、そういうものも作れないままここに来てしまったものね。
弟さんが大切で頑張って命張って…守れたけど、自分が死んでしまったことに後悔してるのね。
泣かないで。仕方ないわ、不老不死なんてないもの…似た方法のアニマルデータでさえ無理な話だわ。
だから、だから限りある時間を必死に生きて後悔して…前に突き進むのが人間なのよ。
間違ってない、後悔しないやり方選んでると思っても…やはり後悔することはあるのよ。
欲深くていいのよ。愛だって、恋だって、生きることだって…欲という願いじゃない。
願い事したら駄目だなんて…神様にだって言わせないわ。絶対に。
それにね、そういう欲がないと…幸せなんて掴めないわ。愛して欲しいから愛するように…ね?
そういえば遊園地の出来事見てて思ったのは、繋がりが一杯あったわ。
まるで偶然や奇跡みたいなことがいくつもあったけど、でもそれもどこかで繋がっているの。
貴方がAliceに呑み込まれたことも、それでロボット達に救いのきっかけを与えたこと。
クローバー博士が実は…あらこの続きは自分で確かめて欲しいわ。
遊園地を乗っ取ったジョージ・ブルースはキッキくんの取引相手の青頭千里に。
他にも色々あるわ。そして分かったのは全部が偶然や必然で、奇跡なんて一つも起きてないの。
奇跡的に…なんてほどの大きなこと、一つも起きてないわ。
でもこれだけ多くのことが起こっているなら、一つくらい奇跡起こしてもいいんじゃないかしら?
そうよ!起こしましょう、奇跡を!
ここで出会ったのも偶然じゃないわ。必然だったもの!
でも今からすることは本当に奇跡よ?きっと神様が驚いて説教しに来てしまうかも、ふふふ。
いいじゃない、人生長いのでしょう?百年もあるのよ?百年!一世紀よ!
奇跡の一つくらい起こしても罰は当たらないわ。怒られるけどね!
…でもこんな素敵な奇跡なら怒られてもいいわ。だって、皆頑張ってきたじゃない。
全部を救うって、誰かを大事にして…誰も犠牲を出さないって。
前みたいなこと…起こさないように頑張ったのだから、最初で最後の奇跡くらい起こしてもいいじゃない。
ご都合主義?じゃあこのまま奇跡も起こらず努力や繋がり全てが無駄になっていいと言うの?
そんな単語でこれから起こる素敵なこと否定しないでほしいわ。
じゃあ、こうしましょう。これもきっと偶然や繋がりだったのよ。
だって私、妾が眺めていたのって彼らがいたから…だからこれはきっと繋がって必然的な奇跡なの。
ね?だからご都合主義と冷やかさないで。頑張った皆へ贈るご褒美だと思えば少しは楽かしら?
具体的にどうするかって?ふふ。簡単なことよ。
例えば上が天国として下は地上や地獄かしら?
でも地獄っていわゆる地底がイメージよね。なら問題ないわ。
だって貴方が生きてた場所は地底じゃない。地獄と違うのは夢と光に溢れた遊園地があることかしら…
ただそこに戻るだけ。というわけで、えい!!
落ちれば戻るでしょう?少し長く落ちると思うけど少しの我慢よー!
そういえば夢の国の少女…あり、アリシュだったかしら?
あの子も目覚める時は夢に落ちるのと同じように落ちていくのよね。
ということは現実って夢の延長戦なのかしら?それとも現実が実は夢?
ああ、もしかしたらこの会話すらも夢かもしれないわね。なら私は水煙草の芋虫かしら、ふふ。
とりあえず走馬灯ではなさそうだから、安心しましょう。なんてね、ふふ。
それにしても少し哲学的になってしまったかしら。でもこういう考えも大切よね。
なんにせよ、人生で一回だけの奇跡かもしれないから大切にしてね!!
え?名前?
ああ、言い忘れていたわね。
私、妾の名前は…………………………




