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ANDOLL*ACTTION遊園地編  作者: 文丸くじら


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人外

うっすらとシュモンが意識を取り戻す。

しかし視界部分は暗く、何も見えない。同じく音声収得機器の部分も音を捉えない。

翼を動かそうにも、関節の電気信号が狂っているのか動かせない。

ただデータに破損は見られない。さらには記憶回帰にも問題ない。

つまり通信できる距離に、生きている籠鳥那岐がいるということだ。

常に微弱な通信で一個人としての記憶を完全に思い出せる状態、それは人間側が生きていないとできない。


<…那岐。那岐、いるか?那岐…>


うわ言のようにシュモンは何度も名前を呼ぶ。

しかし誰の声も返ってこない。それでも何度も呼ぶ。

シュモンが恐れるのは名前を呼んでも返事がないこと。

ある記憶が思い出される。世話をしていた子供がいくら名前を呼んでも返事しない。

だから焼くしかなかった。真っ赤な炎が目に焼き付いて離れない。

死んだら燃やすしかなかったあの恐怖を、シュモンは二度と味わいたくなかった。


<…那岐。頼む…返事をしてくれ…那岐…>

「…え?なんだ、このデータ量は!?」


そこで初めてシュモンの音声収得機器が音を捉える。

しかしそれは籠鳥那岐の声ではない。慣れ親しんだ子供達の声でもない。

遊園地を支配する地底人、キッキの声だった。

その声は驚愕で震えている。


「人工知能…無理だ!!こんなデータ量を地底人の技術でも機械一つに収められない!」

<…?>

「地上の文明でさえ無理だ…あの文明の…消えた文明の技術?まさか…」

<…!?>


消えた文明。その言葉にシュモンはある単語を思い出す。

消失文明。アニマルデータ達が人間だった頃に過ごしていた文明。

身に余る願いにより滅び、その跡形すら消えていった。

何故地底人がそのことを知っているのだと、シュモンは驚く。

そして思い出すのは消失文明について調べる際に地底人との交流があったということ。


「もしかして…あの伝説本当だったのか…人をデータにして生き返らせる…」


シュモンからはキッキの表情は見えない。

もし見えていたら小さな悲鳴を上げたかもしれない。

それほどキッキは食い入るように、獰猛な肉食獣のようにシュモンを見ていた。

一歩遠ざけて見れば、小さな希望に縋る哀れな子供のように。


「もしそれが出来たなら…病気に、太陽に…怯えなくて済む…」


キッキの頬に一筋の涙が零れる。

しかし目が狂ったような光を湛える。

白い肌をした手が、静かにシュモンの体へと伸びる。


「仮死なんか必要ない………兄さんが、兄さんが生き返る」


触れそうになった手は、シュモンの声で止まる。





<機械の体を甘く見るな、地底人の子供よ>





嬉しさで歪んでいたキッキの笑顔が固まる。

シュモンは聞こえてくる音声だけで全てを判断している。

体を動かすこともできないから抵抗なんてできない。

それでも言わずにはいられなかった。壊されても仕方ないくらいに。

我慢できなかったのだ。


<愛しい者も抱けぬ、体温もない、食欲もない、人間の体でさえない…たったそれだけで人が死ぬ>

「でも死なない、病にならない、年も取らない、老いない…理想じゃないか」

<理想だと?ほざけ、小僧っ!!我等がどれだけ苦悩して選び、どれだけ後悔と涙を流したかも知らぬくせに!>

「…っ、そっちこそ地上でのうのうと生きていたから知らない!!僕達の苦しみを…光の下では生きれない葛藤を!!」


キッキは知らない。アニマルデータによって人が死んだことを。

シュモンは知らない。地底人がどのように生きていたかを。

お互いがお互いを知らないまま感情をぶちまける不毛な言い争い。


「あの太陽さえ克服できるなら…僕だって友達が出来るはずなんだ…」

<友…>

「君は知らない。もう地底人の子供は僕だけだということを…僕には同年代の友達がいないことを…」


友達、という言葉にシュモンは動揺する。

それはいつも一緒にいる少年、籠鳥那岐に持って欲しかったもの。

今では多くの友達を持ったことがとても嬉しいこと。

ふと、シュモンはキッキと籠鳥那岐を重ねた。


「…全て、全てあの太陽さえなければ…僕達が焼け爛れる体じゃなければ…あの病が流行らなければ…全て」

<あの病?…この地底はなんなんだ?お前は…何を隠して、何を企んでいるんだ?>

「…喋りすぎた。君の電源を落とそう。仕組みについてはまた今度…」

<待て!!お前は、お前は一体…>

「僕は地底遊園地ワンダーグラウンドのオーナーキッキ。目的は…夢の国を作ること」


そう言ってキッキは無情にシュモンの電源を落とす。

データさえ消えなければシュモンは死なない。今は眠りに落ちるだけ。

夢のない眠りを味わうだけ。機械の体では夢も見れない。

キッキは手伝いに来たゴーレムのレムにシュモンを保管庫に仕舞うように指示する。

レムは最初キッキの指示にすぐに従おうとした。

しかしその白い肌がいつもよりも白く、気分が悪そうに見えた。


<オーナー、大丈夫ですか?>

「…うん…ねぇ、僕のことどう思ってる?」

<私達はオーナーが大好きです。私達を作ってくれて、意思を持たせて、子供達と遊ばせてくれる…>

「うん」

<生まれて良かったと言うのも変ですけど…今動けるのがとても嬉しいんですよ!>


キッキはその言葉を聞いて、少し気分を落ち着かせる。

そしてそっとレムの体に触れる。機械独特の冷たい、鋼鉄の体。

硬くて体温のない、しかし太陽の下でも動ける体。

死ぬ恐れのない、病もない、整備さえしていけば永遠に生きれる体。


「…僕が機械になりたいと言ったらどうする?」

<……オーナーが決めたなら。でもそれは自分の意思で必ず決めてください>

「どうして?」

<体は命と同じです。一度っきりなんです……失敗や後悔はできないんです>


思ったよりも真剣なレムの言葉に、キッキは目を丸くする。

レムは機械の体で表情は作れない、しかし機械音声だけでその優しさを感じる。

自分自身の体を軽く叩き、軽い空洞音が聞こえる。


<この体も…同じなんです。いつか朽ちる日がくる>

「それは…、僕がちゃんと整備していけば…」

<ええ。でも錆や老朽化で取り替えます。時には全ての部品を…だからよく考えてください>

「…これじゃあ、まるでレムが僕のお母さんみたいじゃないか」

<そうですね…きっと私達とオーナーの関係はそういう…家族、かもしれません>


ロボットだから、そういう存在知らないんですけどね、とレムは照れくさそうに言う。

まるで人間のように、優しくも温かい感情で話し、動く。

キッキはそれを見てほくそ笑む。人間とロボットになんの違いがあるのだろうと。

体の仕組みが少し違うだけで、大きな利を得るのになぜ否定するのか。

キッキはシュモンに向けて勝ち誇った目を向ける。


「…何が、人が死ぬ、だ……」


馬鹿らしいとキッキは先程のシュモンの言葉を一蹴する。

キッキは知らない。本当に人が死んだことを。アニマルデータすらも死んだ事件を。

それがどれだけ多くの人間を傷つけたことを知らない。


知らないままアニマルデータの秘密へと手を伸ばしていく。






地上のNYRON北エリア、玄武明良の家で一人残った扇動岐路は分析作業をしていた。

一つは布動俊介達を昏倒させた腕時計に付着していた薬の解析。

もう一つは謎の科学者達の技術提供によって作り上げた、人間とほぼ変わらぬ体のロボット。

最初は娘である扇動涼香のために作ったので、扇動岐路はこのロボットを試作機SUZUKAと名付けた。

人間そっくりのマネキンと変わらない体だが、アニマルデータや人工知能を入れて起動させれば人間と変わらぬ機能で動くことができる。

痛覚機能に咀嚼機能、体温調節に人工皮膚からの接触機能…あらゆる先端技術、いや未来の技術を詰め込んだ体。

まだ量産できるほどではないが、将来的なロボットとしての完成形だった。

扇動岐路はその技術を改めて一つ一つ見ていく。


「…見れば見るほどあり得ない。薬も…この体も」


作業の手を止めて扇動岐路は一息ついて、独り言を呟く。

最近だったら扇動美鈴や玄武明良が会話をしてくれるのだが、今は地底遊園地に向かってしまい不在である。

目の周りを指でほぐしながら、コーヒーを淹れに台所に向かう。

パックのインスタントコーヒーで満足しつつ、パソコンのテレビ電話機能動かす。

連絡先は今の雇い主、昔からの友人でもある御堂正義である。

アンドール販売会社であるCROWCROWN、通称CCの社員専用通信ライン。

しかも社長室に直にかけられる仕組みである。


『はい、こちらCC社長だ…何か進展が?』

「ああ。全く理解の範疇超えていることだけ分かった」


扇動岐路からの芳しくない答えに、御堂正義は苦い顔をする。

今もまだ布動俊介は目覚めない。その気配すらなく、医者も匙を投げている。

扇動岐路の専門はプログラム方面とはいえ、娘のことがあってから医学にも精通していた。

天才と言うだけあってその知識は専門並に広い。それでも首を横に振られた。

それはつまり他の医者にも困難だということを表わしている。


「というか…私としてはアンドールも調べたいな」

『…何かあったのか?』

「お前らも少しは疑問に思ってはいると思うが…アンドールの体自体に多くの技術が使われている」


青い西洋竜のアンドールであるセイロン。

体についている翼は、飛ぶにはあまりにも飛行力学を無視している。

それでも飛べるのは反重力装置など、今でも一般普及には難しい代物だ。

他にもアンドールにの体に当てられた技術は現代では再現不可能な面も多い。

それなのに子供用玩具として作られている。

少々値は張るものの、携帯電話機能を持つデバイス付きで一般家庭で買える値段で売られてる。

もちろん疑問を持つ者もいたが、利便性や利益の潤沢さにあまり追求する者はいなかった。


「一度、あるアンドールを解剖したが…私が開発していた頃より仕組みが大きく変わっている」

『それはお前が抜けた後、制作会社が名乗り出て…私の所は販売専門になった。まぁ、多くの権利はこちらが握っているがな』

「制作会社名はBlueBlood…有名な一流企業だな。そこの技術者の名前見たが…私や明良くん程の技術を持つ名前はなかった」

『…?お前は何が言いたい』

「誰かが裏で動いている。アンドールの体…これはアニマルデータ専門に作られたようなもんだ」


音声機能をつけてないはずなのに音声を出せる。

それも当然だ。目立たないように隠されているが、音声を発する機器が付けられている。

内臓CPUの容量もある程度の人工知能を受け入れられる。

微弱な電波通信も行える通信機器の優秀さ。

他にも多くの気になる点はあるが、扇動岐路はこれだけで全て分かる。

子供用の玩具ではない、行き場のないアニマルデータを受け入れるためだけに作られた体。

アニマルデータを理解し、なおかつ幅広い知識を持っていないと作れない代物だった。


「さらに…私が作った試作機SUZUKA…あそこに使われた技術と似た癖のある技術がある」

『確かあれは謎の…マスターとクローバーと名乗った二人の科学者の技術があると言っていたな』

「ああ…つまりBlueBloodにはどちらか片方がいる…しかも隠されている」


扇動岐路は下唇を噛みつつ、歯痒い思いで言う。

それ以上のことが分からないのだ。

本来の専門であるプログラムで、あらゆることを調べようとした。

専門であり天才と言われ、だからこそ掴めると思った。

しかし相手の技術はそれすら上回った。まるで今現在の技術が古いと嘲笑うように。

扇動岐路にとっては衝撃だった。最先端どころが、新技術ともいえるほどのプログラムをはねのけられた。


「……屈辱だ。これで天才とのたまっていたら笑われるほど、完敗した」

『お前すらハックできないか…そうするとわが社のマザーコンピュータに送られているアニマルデータには…』

「ああ。もしかしたら…な」


アニマルデータは復元された後、扇動岐路がマザーコンピュータに送っていた。

それがクラリスの意思で、メンテナンス機械を通してアンドール達にインストールされた。

多くは不完全のまま片言の機械口調で個性もない状態。

しかし稀にセイロンのような最初から一個人を獲得した、ほぼ完全なデータも存在する。

ずっと気になっていたその格差を、扇動岐路はここでやっと理解した。

そして遺跡から消えていく、アニマルデータ設計図行方不明の数。

後から分かったこと、それこそ御堂霧乃が宣言した数と実際に行方知れずの数が合わない。

さらには今でも南の遺跡からアニマルデータは消え続けている。

どんなに警備を強化しても、それを一蹴するように痕跡もなく盗んでいく。


「…私が復元したデータが不完全…そしてもう一人がほぼ完全なデータの復元の主だ」

『警備すらかいくぐり、ハッカーとしても一流、アンドール製造に、本当にこの現代に生きる人間か?』

「馬鹿な話だが、未来の科学者が手を貸していると言われた方が納得するな」

『ははは。お前の冗談にしては笑えるな。しかし否定できない冗談な気もするよ』


アニマルデータに関する謎は次々と浮かび上がり、解明尽きることがない。

まるで意図的に謎を増やし、攪乱していくような悪意すら感じるほど。

もしかしたら悪意ではなく、ただの興味本位による実験の一つのような。

なんにしろ味わされている身としては不愉快な感覚しか湧いてこない。


「どちらかでも所在が分かれば…いや、分かったところでここまでの技術の差は埋められんか」

『…あと一つ。どうしても理解できないことがある』

「なんだ?急に…」

『アニマルデータ達はわずかながら初期実験による話やバグ、システムの話をインストール最初から話したという』

「?…実験の際に意識があったとかが?いや、おかしい…それに…」

『ああ、おかしい。また自分達のデータが不完全なのは消去された影響だとも考えていたらしい』


扇動岐路は言葉を失くす。なぜそこまでアニマルデータ達は知っているのかではない。

どうしてそんな嘘ばかりをデータである状態で見聞できないはずなのに、情報として共有しているのか。

セイロンが最初に竜宮健斗に説明した事柄。それが今更になって全てが嘘と発覚する。

もちろん途中で研究が中断された話などは本当だ。しかし本当を散らばめた嘘。

それは相手をだますのに最も効果的な、嘘のつきかたである。

だからといってセイロンが嘘をついたと思えないし、嘘をつく必要がない。

ならば誰に必要か。子供達とそれに関わる大人達に邪魔されたくない、第三者。


「…どこまでが手の平だ。私達はどこまで踊らされているんだ!?」

『早急に我々は子供達に本当を教えなくてはいけない。そしてアニマルデータ達に確認をとらなければいけない』

「しかし、今子供達は…」

『ああ、遊園地だ。大人は行けない…地の底にいる』


これすらも第三者による思惑なのか。

それとも偶然なのか、扇動岐路達はただ待つしかない。

主要な子供達が全員無事に帰ってくることを。この事件を解決してくることを。

社会的な地位や明晰な頭脳があったとしても、今の扇動岐路達にはどうすることも出来なかった。





地底遊園地にある監視カメラ部屋。

そこにあるカメラが一斉にジャックされる。

画面が砂嵐によって不鮮明になったと思われた。

その次の瞬間には全ての録画画面を一枚のパネルとした映像が映し出される。

藍色のスーツを着た青年が微笑んで、キッキに問いかける。













『君の血は何色だい?』

















キッキはもうそんな時間かと、不機嫌そうな顔で映像の先にいる青年の顔を見る。

特に特徴のない、整った顔というだけの印象しか植えつけさせない普通の顔。

しかし肌の色が青白く、下手したらキッキの不自然なほど白い肌より青味が強い。

まるで血が通っていないように見えるが、青年にはしっかり血が流れている。


「赤いよ。で、今日は何?」

『おや?不機嫌だけどなにかあったのかい?僕でよければ相談に乗るよ』

「いやだね。そうして交渉材料にするつもりなんでしょ、社長さん」

『そんな呼び方はやめてくれよ。僕はまだまだ若輩者さ…表向きはね』


不機嫌でぞんざいなキッキの対応にもめげず、青年は和やかに話を続ける。

しかしキッキの機嫌は直らず、画面を上目遣いで睨むように見上げる。

青年は特に動じずに、定期の報告による商談を始める。


『…というわけで、このオリハルコンはあるかい?』

「あるよ。持って行ってもいいけど…分かるよね」

『もちろん遊園地運営に必要な物全て請求してくれ。君達の価値観が僕達と違ってて大助かりさ』

「…あのさ、僕達っていうけど…社長さんは人間じゃないじゃん」


青年は返事をしない。和やかな笑顔のまま目を細める。

キッキはドリルを整備し始め、どうでもいい世間話のように会話を続ける。


「血が青いし、数百年以上生きてるのに人間とか図々しいよ」

『いやはや返す言葉もない…だからこそ人間になるための研究をしているつもりだよ…ね?マスター』


青年は肩を竦ませつつ、背中の方へ話しかける。

たまにしか姿を見せない研究者の名前を聞いて、キッキは顔を上げる。

画面には新たにもう一人の人間が現れている。

長い金髪を簡素な髪飾りで一部分だけまとめている、白衣姿の女性。

巨乳のナイスバディだが、気にするでもなく色気のない黒のハイネックと短パンで動きやすさを追求している。

黒のブーツで床に落ちた赤い液体を踏みにじっている。


『実験中。話しかけるな、人外』

『…キッキ君、慰めて。僕だって傷つくくらいはするんだよ』

「白々しい笑顔で何言ってんだが…てか何を踏んでるの?」

『そこの人外御所望の赤い血。でもやっぱり人外には適応しない…さてどうするか…』

『あの…僕、青頭千里という名前あるんだけど…まぁいいや。もう好きなだけ実験やっちゃって』


後ろでひたすら赤い血を踏みにじるマスターを無視し、青頭千里はキッキに向き直る。

片手でパソコンを操作しつつ、新たな発注書データを作成しキッキがいる地底まで繋げた回線でデータを送る。

そのデータを眺めつつ、キッキは珍しく出会えたマスターに気になっていたことを問いかける。


「人がデータになる方法って知ってる?」


マスターの動かしていた足が止まる。

粘り気が出て靴底にへばりつき始めた血も気にせず、通信画面へと近づいていく。

絨毯が汚れるのを気にせず、青頭千里も面白いことを聞いたと言わんばかりに目を見開く。

二人の顕著なる反応の違いに、キッキは確信する。

この二人は膨大なデータについて知っていると。


『地底人、そこに竜宮健斗とその仲間達が来ているのか?』

「竜宮健斗?誰かは知らないけど…シュモンとか籠鳥那岐とか分かる?」

『…仲間の名前だな。興味深いが…どうする、人外』

『偶然って怖いね。扇動博士がこちらにハックを仕掛けて失敗したタイミングで…入園か』


いきなり二人だけしか分からない会話をし始め、キッキは眉根を寄せる。

竜宮健斗、一回も聞いたことないが籠鳥那岐の仲間という。

さらに達ということは、仁寅律音も仲間という線が濃いだろう。

キッキはそこまで考えて、二人からさらに詳しく聞き出そうとした。


『ああ、そういえばお兄さんどうなの?』


そのタイミングを狙ったかのように、青頭千里が話を逸らす。

舌打ちしたい気持ちを抑えつつ、キッキは変わらないと返事する。

青頭千里は胡散臭い笑顔で少し悲しそうにしつつ、お大事にと言う。


『地底人、それは私の研究対象の一つ、アニマルデータだ。と言っても片手間程度だが』

「マスターの片手間は、僕らにとって永遠の謎レベルだよ…で、あれは何?永遠の命を叶える技術?」

『…近いが、遠いな。私独自の理論で言うなら、魂の昇華、もしくは高次元転化と言うべきか…』

「分かりやすく」









『簡単に言えば、人間を捨てる、ということだ』







マスターは数学の計算式による最後の部分だけを抜き出したような答えを出す。

そしてアニマルデータの本質を掴んだ答えだった。




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