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41、二日酔い

 


 ――旅に出て、一人になった事で少し弱気になったのだろう。慣れ親しんだ友との会話でそれに気づいた。

 今にして思えば、知加子の変化はたいしたものでは無く、ごく自然なものだといえる。俺の方が態度や雰囲気がぎこちなかったんだと。

 だから、いつもの俺と違って流されるままモヤモヤ感が残る事になったんだ。

 疲れが溜まった状態で旅をしたのがそもそもの間違いだったのかもしれない。

 そう思うと知加子に変な気を使わせてしまったんだと妙な後悔を感じてしまう。



 ……頭が割れそうなぐらい痛む。勢いに乗って飲み過ぎたせいだ。

 あれから緒方の部屋になだれ込み、宅飲みに突入した酔っぱらい二人。

 酔いに任せて夜通し積もる話に花を咲かせ、気がつけば明け方になっていた。

 カーテンの隙間から薄日が差し、二日酔い特有の不快感の中、目を覚ます。雑魚寝したから体の節々は悲鳴を上げ、疲労感が全身にのしかかる。

 「……は、吐きそう」

 死んだ様に眠る緒方を横目に俺はフラフラと立ち上がる。そして、重い足取りで洗面所に向かう。

 たった数歩の距離が果てしなく遠くに感じ、行き倒れにでもなるんじゃないかと本気で不安になる。それくらい今の俺のダメージは深かった。

 しばらく酒は断とう。俺はそう心に誓い、冷たい水で顔を洗った……。


 「――死にそうんだ。昨日は飲み過ぎたな……」

 開口一番、緒方はそう言うとコップに入った水を一気に呷る。

 「……俺はしばらく酒を断つよ……」

 俺も力無く頷き水を飲む。

 飲んだ後の水は格別だ。

 さすがにこんな時は煙草を吸う気にもなれないので俺達はひたすら水を飲んで床に寝そべる。

 ここにいられるのも今日しかないのに、気力・体力ともに回復するまで時間が掛かりそうだ。

 何やってんだか……気だるい空気の中、俺は溜め息を漏らす。だが、緒方と飲んだ事に対してのものではない。このふがいない体に情けなさを感じたからだ。

 年には勝てない。まざまざと見せつけられた様な気がして少し切なくなったのだ。


 ……ゴロゴロと寝そべり、テレビを見ながら回復に専念する。体力の消耗が気力を萎えさせているので、俺達は取り立てて何かをするわけも無く安静にしていた。

 夜になれば回復だろう。

 そんな思惑があったので俺達はテレビ番組の内容に軽いつっこみを入れたり、これからの予定や正月休みの話をしながら時間を潰す。

 ――特別なイベントがなくとも、ただだらけていても楽しめる関係。そんな俺達だからこそ、こんな時間の浪費とも取れる無駄な事ができるのだった。








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