プロローグ
『男装の令嬢』番外編となります。
よろしくお願いいたします。
『男装の令嬢』の方で主人公と相手役の絡みが只今大変薄いため、こちらの作品は主人公絡み多め、元の主人公たちは影薄めでお送りする予定です。
ある所に、とんでもなく実力派な家がありました。
家系全体にわたり、男性は勿論女性でさえも代々伝わる剣術と拳法を習得しておりまして。
その剣術と拳法に関しては、王族にでさえ詳細は秘密。噂では暗殺用の拳法もあるとかないとか。
なんでも、それを習得するのは嫁入りだろうと婿入りだろうと当たり前。家系の中で必要なのは根性と努力。それが満たされなければその家系の一員としては役不足でございます。
つまり、武道に関して実力派過ぎて、貴族内でもその存在は異質な家でございました。
特徴は銀髪。そしてその身目麗しさ。身目麗しい者からは、やはり身目麗しいものが生まれる。それを体現しているような家でございましょう。
その名をドルトナンドと言い、その教えの礎となったのは今の後継ぎから見て曾祖父に当たる人物。
彼は、『弱きものを守る、その力があるならば、それは惜しまずにその為に振るうべきである』を信条に掲げる、紳士でございました。
しかし稀に見る、女性好きでございました。
彼とその妻の争いは、屋敷を壊し、召使達を死の淵へと追いやり、挙句王族貴族でも手を煩わすような大きなもの。
一言で言うならばー戦争でございましょうか。
喧嘩で表すには、少々無理がありましょう。
さて、話は逸れましたが、先程申した通り、血族には血族の性格がどことなく受け継がれるものでございましょう。
さぁ、彼らの子孫はいかがなものか。
それはまた別の物語にて詳しく。
しかしこの物語の主人公は彼らではなくー彼らの家の三代目執事。
彼は一言で言うなら苦労人。
彼の仕える家の騒動に巻き込まれ、事後処理、後片付けに奔走する人物でございます。
彼には、少し秘密にしていることがございまして。
彼が美しい紅の瞳の美女と紡ぐお話の始まり始まり。
『男装の令嬢』優先につき、不定期更新となることをご容赦くださいませ。
この作品と、『男装の令嬢』を読んでくださる皆様に感謝を。