鑑定スキルが認めてくれない?なぜなんだ!
作品を書き上げる。
「鑑定」
備考:駄作です。
作品を書き上げる。
「鑑定」
備考:駄作です。
作品を書き上げる。
「鑑定」
駄作です。
な、なぜだ……?女神の加護によってたぐいまれなる芸術の才能を授かったハズなのに!
「作品を描くってことっていったいどういうことなんだ?わからない」
か、鑑定……
備考:駄作です。魂をもっと込めてください。
「心を込めるってなんだ……?」
クーン。ウリも心配そうに鳴いていた。
気がついたら一夜が明けていた。
お腹が空いた。ご飯を食べに行こうか。
◇
「はあ……うまくいかないものだね。芸術って難しい」
バウバウ!
ウリも元気にご飯を食べている。お腹が空いていただろう。ごめんねウリ。
「ハイお待ち!特性サラダとお茶だよ!」
「ありがとう」
「どうしたんだい?景気の悪い顔をして!」
「お姉さん……聞いてくれますか?いま、期待されて作品を描いているんですが、
なかなかうまく完成しないんです。魂を込めるってどういうことなんですかね」
「そんなのは簡単だよ。うちのパンを食べな!魂がこもっているから」
「とてもおいしいパンですよね。自家製なんですか?」
「粉から作ってるんだい。ずっとずっと先祖の代からね」
「魂のこもったパン、か……そうだ、このおいしいパンを目に焼き付けておこう」
◇
一晩眠って次の日の朝、アトリエでキャンバスに向かう。
「あのおいしいパン……香り、触感、口当たり、ウリの嬉しそうなしぐさ……
思い出せ。そしてキャンバスに焼き付けろ!」
スッ……スッ……と筆を運んでいく。
「魂を込めるんだ」
迷いなく描き上げていく。
汗が止まらない。体が熱い。楽しい。ドキドキする。
筆が止まらない!
「思い出せ。あの小麦の香りを……パンから湯気が立っているおいしそうな様子を」
筆先を巧みに操り繊細なタッチでイメージを具現化していく。
「ふぅ……できた、かな?」
6時間後、作品が出来上がっていた。
「さて、審判の時間だ……鑑定!」
備考:及第点。世に出しても恥ずかしくない作品です。
「タイトルは、パンと幸福だな。おじいさんが来たら見せてみよう」
内心でわくわくが止まらなかった。
ついに鑑定スキルが作品を評価したのだ。
後は実際に世に出してみてからだね。
なんだか気分が高揚している。描くのがとても楽しかった。
「久しぶりに清々しい気分だね。ウリ、気分転換に薪拾いでもしてこようか」
ワンワンワーン!
ヘッヘッヘ!
「ウリもこの絵に満足なんだね。ありがとうウリ」
◇
「これは……日常が題材なのじゃな?」
「はい。パンと幸福です」
「さっそく知り合いに売りつけてこようかね」
◇
ピコン!ファンが3人増えました。
「神様ポイント30ポイントゲットです」
「ロハンよ。驚け。対価はなんと金貨10枚じゃ」
「どひゃあーーー!100日間は宿に泊まれる金額じゃないですかー!あとは……魔法の筆も買える?」
「魂を込めた結果じゃよ。確かに良い絵じゃったよ。新しい画材も運んでおくでな」
「モチーフ探しのために街の周囲を散歩しようと思います」
「芸術にとっては大事な時間じゃな」
「ついでにウリと一緒に薪拾いをしているんです」
「この辺でも弱いがモンスターが出るからの。気を付けるんじゃよ」
「モ、モンスター?」
「人を襲う魔物のことじゃ」
「ところで、どんな人に売れたんですか?」
「地方の領主じゃよ。昔、世話してやっててな」
「権力者がボクの絵のファンに……しかもおそらく家族ごと……3人、3人か……」
「ほほほ。何やら嬉しそうじゃの」
◇
夕方、宿のベットにて。
「戦闘スキルを手に入れておいた方がいいかな?ショップを覗いてみよう」
スススとショップ画面をスクロールする。
「お?これは?眷属の強化?なんだろう?」
眷属……眷属か。サーバントと言うことか。
「あ!ウリに戦闘力を付加できるみたいだ!これだよコレ!」
ウリ……強くなってボクを護ってくれよ。
わんわんわんわん!
「30ポイント投下!これでウリが護衛をできるようになるね。
明日の薪拾いが楽しみだ。まあ、モンスターにいきなり出会うなんてことはないだろうけどね」
ワオーン!
ウリが飛び上がるとその高さは天井まで届いた。
「わあ!すごいジャンプ力だね!バッチリだね。ウリ!」
スキルでも見てみようか。
「鑑定」
名前:ウリ
種族:犬
備考:愛され忠犬。ちょっとは戦えるやつ。かわいい。もふもふ。
作品が評価された高揚感とともに眠りについた。
その日はぐっすりと眠ることができた。




