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報われなかった少年のスローライフ~神様ポイントで加護ゲット!?~異世界で忠犬とのんびりと暮らします。  作者: LostCun


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今日から画家だ。いい作品を作るぞ。

「オーライ!オーライ!」

「なんだか活気づいているね」

「おお!ロハン殿、戻られましたか。もう少しで倉庫の整理が終わりますじゃ」

「仕事が早くて助かるー」

「おーい。その机はこっちじゃよ!」

よし!老人の背後を取った!今のうちに!

「……鑑定」

ぼそっとワードを呟いた。おじいちゃんの鑑定結果は


名前:リジウ

種族:ドワーフ

備考:長年、王家に仕えて今は引退中の貴族

余生を過ごしながら年月をかけて鍛えた審美眼を

生かしてプチビジネスをして生活している。

一度戦闘で死にかけたことがある。

それ以来、内政を担当していた。

弱点:背中


「おお、結構詳しく出るものだね。おじいちゃん、意外としっかりした経歴だな」

審美眼、か。お眼鏡にかなったということかね。

「ほかにも鑑定してみよう」

「この倉庫を鑑定できるかな?鑑定」


名前:西の倉庫

備考:かつて世を賑わせた天才画家のアトリエだったことがある

天才の死後は木工職人の在庫を保管するのに使われた。


「天才画家とは……?作品はないのか??おじいさん!」

「何じゃ?」

「ちょっと小耳にはさんだのだけど、昔、ここには天才画家がいたらしいじゃないか」

「どこでそれを……?まあ、いずれ伝わる話、ですじゃよね。話しますじゃ」


約50年前、一人の中年が絵を売りに来たらしい。

その中年を支援して支援者として活躍をしたのが30年前までの話だとのこと。

「ヒューマンの寿命は短い。我々ドワーフに比べても、の」

「おじいちゃん、背が小さいと思ってたけどヒューマンじゃないんだ」

「亜人差別ですじゃ?」

「初対面なだけだよ」


そうか。かつてパトロンをしていたのか。

だから話がスムーズに進むんだ。

一度やって終わったことをまた再開しようという話か。

たまたま歯車のかみ合わせがよさそうなロハンを見つけて

喜んでいたというところか。


「その画家さんの絵って残ってないの?」

「この辺には残っていないはずですじゃ」

「商人ギルドにも?」

「主に王家の人間にのみ卸していたからの」

「絵を売るのが得意なんだおじいちゃん」

「そこそこじゃよ」


バウバウバウバウ!

ウリが何かに反応している。

「どうしたウリー。何か気になるのかな?」

バウバウバウ!

「この壁の裏に何かが?」

壁を触ってみる。妙にひんやりとしていた。

「鑑定」


名前:西の倉庫の壁

備考:天才画家の最後の傑作として名高い未完の作品が埋められている。

「!?」


「おじいちゃん!この壁の中に何かが埋まっているようなんだけど?」

「なに?ちょっと調べさせるか。おい!小僧ども!壁を開けてくれ!」

「へい!」


ガラガラガラ……と音を立てて壁が崩される。

中から出てきたのは……

キャンバスから外された布地だった。

ガラ付きの。

「いや、この柄……もしかして、絵画か!?」

「これは……あの時描きかけていた伝説の!?」

「鑑定」


名:未完の傑作

備考:とある天才画家の未完の傑作、あるいは出来損ない。


裏側に何かメッセージが書いてあるの。

「この作品を見つけた人へ。これは私がこの世から消そうとして消せなかった

悔いの残る作品です。できれば焼き払ってほしい。だが、世に出すのなら

できるだけ少数の人にしか見せないでください。模写の課題にするのなら了承します

完成させられなかった私の不甲斐なさを許してください。

願わくばこれを見つけるのは友のリジウであってほしい。さようなら」


布地の表面をなぞる。

しっかり乾いているから絵の具が手に付くなんてことはない。

デザインは……夜の川を斜めから見た構図だな。

印象的な光の使い方をしている。

石橋が輝いて見えるような、現実ではありえない光景を描いた絵だ。

「いい絵じゃないか?」

「いや、本人の弁の通りコレは未完成じゃ」

「なぜわかるんです?」

「かの天才画家が最後にモチーフとしていたのがドラゴンだからじゃ」


日常とその破壊にこそ神秘が宿る。とはこの世界の絵画の格言らしい。

夜の街と言う日常は描けてもそれが破壊されるところまでは描けなかった。

だから未完、とのことだ。

「え、ドラゴン?空飛ぶ怪獣がこの世界にいるんですか?」

「ああ、時々山から下りては小さな村を崩壊させて飛び回っておるわ。

人間同士の争いがなくなってから200年、この世の最後の災害ですじゃ」

「そのための城壁なんだね」

「しかり」


「おやっさん!机の設置と片づけ、終わりましたぜ!」

「ふむ。みんなありがとう。追加で壁の補修を任せるが、荷物運びはひとまずおしまいじゃ!」

「解散だ解散!」

「おつかれっしたー」

「おいおい早く終わったな。飲みに行こうぜ!」


部屋をぐるりと見まわしてみた。

真っ白なキャンバスが10枚。机が一つ。キャンバスを立てるイーゼルが一つ。

棚には絵の具のセットにパレット、バケツ、筆が何本か。

「鑑定」

名前:そこそこの筆

備考:ロバのしっぽで作られている。


「壁のことは気にせんでいいからな。今日中に直させるから」

「さっそく描いてみますね」

「水は裏庭に井戸があるからの」

「わかりました!大事に使います。ああ、前掛けとコップを買ってこなきゃ」

「仕方がないのう。銀貨5枚前払いじゃよ。いい作品を書くんじゃよ」

ロハンは買い物に出かけることにした。

前日にリサーチしていたから雑貨屋には迷わずたどり着いた。


「すみませーん!前掛けとコップが欲しいんですが!」

「前掛けは皮のと布のがあるよ!どっちが欲しいんだい?」

「うーん、布でいいかな!」

「まいどあり!」



夜、壁の補修が終わって静かになったころにロハンは筆をとる。

忠犬のウリも期待の眼差しでしっぽを振りながら見守っている。

「モチーフは頭にある。あとは描き出すだけだ」

スゥ……と筆が走る。

昨日地面に描いた絵をさらにスケールアップさせて色の感覚を捉えなおして……

ディテールにもこだわろう。色と色の対比も考えながら指先に神経を集中させる。

3時間、一心不乱に描き続けてできた絵は……

「ふう。こんなものか。我ながら良い出来だ」


うずっと好奇心が湧いた。

いまのロハンには値段がつく前にそのものの価値を知る方法がある。

「いいのかな?なんか背徳的な気がするな……」


鑑定、スキルを使った。


名前:名無し(駄作)

備考:何の価値もないただ風景をなぞっただけの絵です。


「え!?辛口評価すぎない?」

鼓動がドクドクとうるさい。

ロハンの創作意欲を否定し、裏切る鑑定結果に驚きが隠せないのだ。

胃液が逆流しそうだ。

めまいもしてきた。

「ああ、ボクには才能なんてなかったんだ。いや、でも?女神の加護だぞ。スキルだぞ?

それが何でこんな結果に……」

クーン

ウリも悲しそうに鳴いていた。

考えろ、考えるんだ。これじゃあ世話してくれるって言うおじいちゃんに顔向けできない。


「駄作、駄作か……あはは。創作ってこんなにつらい作業だったんだ」

ロハンはひどく落ち込んだ気分になった。

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