第99話:テストの点数
「じゃ、テスト返すぞー」
月曜日。教師からテスト用紙の返却があった。土日で採点したのだろう。教師の皆様には頭が下がる思いだ。俺は自分の点数を見て、
「ま、こんなもんか」
それだけ呟いた。さすがに全教科満点ということはなかったが、それでも高得点がずらりと並んでいる。そうしてテスト用紙を受け取って、今回のポイントを解説する教師だったが、まぁ六組の連中が理解するわけもなく。赤点を取らないだけで鬼の首を取ったように誇らしげなコイツ等がちょっとだけ面白い。
「おい! 赤点王! 点数幾つだ!」
「…………」
言われて答案を見せる。
「九十八点!? お前本当に九王か!?」
まぁそう言いたくなる気持ちも分からんじゃないが。少なくとも六組が叩きだす数字ではない。俺にしてみれば当たり前なのだが。教室中が騒めいて、某有名怪獣が攻めてくるだの、隕石が降ってくるだの、モンゴリアンデスワームが鳥取砂丘で発見されるだの、好き勝手言っていた。つまりそういう天変地異が起こる程度には九王アクヤが高得点を取るのは異常で。
「うーむ」
四限目まで終わって昼休み。俺はマキノと一緒に飯を食っていた。学食。俺が天盛ソバで、マキノがサーモンの親子丼。最近経済的に余裕が出て来たのか。マキノは高い注文も平然とできるようになっていた。
「っていうかそろそろだよな。写真集」
「今月末だったかな?」
なんでもせっつくにせっついたらしい。今バズっている状況でアズキの写真集を売らずにどうする。というわけで出版社は徹夜作業。一日でも早く写真集を出すために東奔西走しているらしい。こういうのにも旬があるのは知っているから、俺も強くは言えんのだが。
「ふーん」
「っていうか不動ミヨ凄いよね。もうチャンネル登録者三十万人超えたんでしょ?」
「レッドアーカイブからコラボの話来てるしな」
「コラボって、不動ミヨと?」
「そ」
で、ホムラもそうだがコヲリも東奔西走している。ホムラには収録があるし、コヲリは不動ミヨの新しい衣装を考えるデザイン業務がある。だが美味しい仕事であることは事実だし、そういう意味では嬉しい悲鳴だろう。俺としても鼻が高いし。愛スール先生の仕事については追加で幾つか来ているが、今はレッドアーカイブの仕事だけに専念させている。これだけでも結構な額だし、ホムラにも仕事を振れるしでウハウハだ。あえて難点を上げるとするなら俺に一円も入ってこないこと。別にいいけど。
「もしかして愛スール先生って今忙しい?」
「いや? 締め切りにはゆとりを持ってるし、急がなくても納品できるレベル。ただコヲリの作業スピードが神懸ってるから、今回も即終わるだろうな」
本当に作業の速いクリエイターって何考えて生きてるんだろうな?
俺は天盛を食べながらそんなことを考える。ホムラはスタジオに収録に行っている。まぁ単位は買っているので、好きにしてくれて構わんのだが。
「…………」
「なぁに? あーしのおっぱい気になる?」
「まぁ、その、一応」
「アクヤにならいいからね?」
「お前は処女でいてくれ」
処女の奇妙な冒険。
「じゃあ処女のままならいいんだ?」
「まぁ理屈上そう言うことになるが……」
「今日はあーしとだけ寝ようね」
「泊まる気か」
学食でしていい話じゃないが、一応声は抑えている。
「要するに処女だったらいいんでしょ?」
だからって……なぁ。何言ってるかは十全に理解して、その上で俺が言えるのは。
「早まるな」
「逸るよ。逸るに決まってるっしょ」
どうにも俺が、というよりマキノがもう我慢できないらしい。とするとやることになるのだが。まぁ処女さえ守れば……いいのかな? どう思いますか? 人公さん。
「じゃあ今日の夜は楽しみにしておいてね。G行為しちゃダメっしょ?」
はーい。
そんなわけで、昼休みが終わる。それからテスト用紙の返却。どれもこれも高得点。富士山が噴火してしまうと空に向かって祈りを捧げるクラスメイトはまぁムカついたが、叩きのめす程でもなく。そもそも赤点とらないだけで誇れるとか言っている六組の生徒が俺には有り得んのだが。
「そろそろ全国模試だよなー」
それはそれとしてマキノのこともあるし。アレは本気の目だった。真剣で私に恋しよう。みたいな。そのまま授業が終わり。
「えぇへへ。一緒に帰ろ♪ アクヤ♪」
もはやこれだけで学校中に敵を作っているようなものなのだが。マキノはそんなことを気にしないらしい。まぁこれも今更。マキノが俺にベタ惚れしているのは周知の事実だ。羞恥の事実かもしれない。何せ家に帰ると俺とマキノは。あかん。何をするか分かってしまうのでオスの部分が騒めいている。
「おっつー。カホル! 今日のご飯は何っしょ?」
さすがに味噌汁を紫色に変えるマキノをキッチンに立たせるわけにもいかず。基本的に俺の部屋ではマキノは食べ専だ。っていうか料理を食ったら死人が出る。
「焼きそばだよ」
「わおっ。美味しそう」
「美味しく作りますから。楽しんでいただければ幸い」
そうしてカホルはエプロンを引っ張る。胸元が露出して、俺のアレが活ホッキ。いかんいかんいかん。今日はマキノとああいうことやそういうことを。それもそれでどうなんだ? でも今更止めますも通じないだろうし。というか俺がやりたい。
「コヲリは大丈夫か?」
「徹夜でエナドリ飲んでぐったりしていましたが……」
だから急がなくていいって言ってんのに。本人曰くインスピレーションが湧いても、それは時間経過で劣化するらしい。いいアイデアが閃いても、目の前に仕事道具が無いと不安になってしまうのはクリエイターあるあるらしい。
「大丈夫なの? ソレ……」
マキノが心配そうに聞く。
「大丈夫だ。オンスケ……っていうか納品まではまだまだ時間がある」
そもそもホムラだって声の収録をしている段階だし。レッドアーカイブとのコラボ案件は流石に大手だけあってスケジュール管理はしっかりしている。締め切りが近づいているならともあれ、今の時点でエナドリ飲んで徹夜する意味は本当はない。だが絶好調の時に仕事を止めたくないのも理解は出来て。
好きにしてくれ。
「さーて」
そうしてカホルの飯を食って、そのまま筋トレ、風呂、勉強。そして就寝……となったわけだが。問題はここから。シュルッと衣擦れの音がして、マキノが脱ぎ始める。
「えへへ。実際に晒すとドキドキするっしょ。あーしだって」
生まれたままの姿のマキノがそこにいた。恥ずかしそうに箇所箇所を腕で隠している。
「言っておくが一発じゃ治まらないからな?」
「え? そうなの?」
「最低四発」
「そ、そんなに?」
なわけでアソコとかアソコとかアソコとかを使って楽しませてもらうぞ。っていうかさすがの貫禄だな。マキノのHカップの爆乳。童貞の前、カホルの爆乳を知った時ほどではないが、同質の驚きを老練な童貞の俺は感じとっていた。さすが小比類巻マキノ。これから俺は彼女の処女以外をもらい受けるわけで……。
パフパフ。




