第98話:21プロ所属
「はーい! 無明のみなさーん! 今日も入滅してるー? 不動ミヨこと不動ミヨだぞー!」
『不動ミヨこと不動ミヨとはいったい……』
『21プロ所属おめでとう』
『命尽きるまで付いていきます』
『↑ナイスチャ』
というわけで、日曜日。昨日は愛スール先生のプロデュースで午後が終わった。低賃金で労働しろと言ってくる舐めた企業にはお断りのメールを入れて、美味しい案件だけを選別したのだ。
「ところでどう? 3Dモデルのあたし! 痒い所に手が届くよねー」
『最の高』
『3Dミヨちゃんペロペロ』
『さすがは愛スール先生だぜ』
モデリングにはコヲリは関わってないけどな。とはいえ一次創作はコヲリなので金は入って来てるけど。
「というわけで21プロ所属最初の配信! みんな! 見に来てくれてありがとー!」
『ミヨミヨはおっさんの味方』
『助かってる』
『今日もエモグロビン過剰にしてくれ』
そんなわけで21プロの本社ビルで配信の作業をしているのだろう。今まではホムラの部屋でしていたが、これからは本格的なスタジオで配信をすることになる。俺としても助かっているというか。別に負担ではなかったが、やはりトップシェアの21プロだと痒い所に手が届く。実際に3Dのモデリングは21プロだからできたことだし。ニコニコ笑顔の不動ミヨのアバターを見ると、話を受けてよかったなーって感じ。
「じゃあ一曲目! 行くよー! 勇者の嵐! 特急の勇者のオープニングだね!」
『キター!』
『投げ銭せざるを得ない!』
『待ってました』
『まさにおっさんの勇者』
そうして今日はデビュー配信ということで、三曲もアカペラで歌っていた。
「これって耳コピ音源の歌ってみた動画で上げた方がいい?」
『ヘビロテする』
『マジで聞く』
『あげてください』
『おっさんを助けると思って』
「じゃあ打診してみるねー。別チャンネルになっても追いかけてくれた無明の皆には感謝感謝だよー」
『にゅ、入滅しに来てるだけなんだからね!』
『エモグロビン欲しいだけなんだからね!』
『おっさんのツンデレは見苦しいな』
『↑やめろ。その術は俺に効く』
まぁそんなわけで、同接八千人の大成功で不動ミヨの21プロデビューは幕を飾った。
『それじゃあみんなに大日如来の加護があらんことを! チャンネル登録とSNSのフォロー、高評価も忘れずにね!』
実は俺も赤スチャ投げていたりする。俺だってバレていないだろうが。
『どうだった。あたしの配信』
とSNSでメッセージが送られてくる。21プロ本社から俺の感想を聞いてきたのだ。
『良かったと思うぞ。チャンネル登録も既に二十万超えてるし。大体のファンは付いてきてくれてるって事だろ。後はその数字を伸ばせばいい』
『アクヤ様の意見を聞いてるの! (怒っているスタンプ)』
『不動ミヨペロペロとでも言えばいいか』
『また揶揄うんだから』
『綾女さんはどうだ? 暴走してないか?』
『多分配信の部屋の扉の前で待ってると思う』
『まぁ。頑張れ』
俺は他に言い様がない。実際にホムラにとっては一種の試練だ。綾女テイルは不動ミヨガチ勢だからな。
「……よかったですね。……ホムラちゃん」
安心したようにコヲリが言う。俺も頷いた。
「ああ、このままだったら借金も返せるだろ。愛スール先生も次の仕事だが」
「……承りました」
「言っとくけど、締め切りまでに間に合えばいいからな? 早く上げても修正が出されるだけだぞ?」
「……大丈夫です。……最近コツがつかめてきて」
マジで愛スール先生の納品速度は悪魔的だ。まぁ発注側には有難いんだろうが。
「ソシャゲのキャラデザが一件来てる……ってすでに言ったが、まぁ頑張れ」
「……レッドアーカイブのお仕事ですか」
「まぁ大手だから安心だよな」
SNSのフォロワーだけで言えば不動ミヨやアズキより多いくらいだ。愛スール先生の人気は。
「じゃ、シクヨロ」
「……はい。……任せてください」
「テストの方はどうだった?」
「……アクヤ様のおかげでいつもよりできた気がします」
まぁ勉強と両立できたなら俺から言うこともないんだが。
「じゃ、お仕事頑張って」
日曜日ということで、安心して仕事に没頭できるらしい。いいことでは……あるのか?
『21プロの英断』
『チャンネルは変わっても追いかける』
『エモグロビン過剰』
ネットでの不動ミヨに噂もそこそこ肯定的。不動明王を女体化したデザインの、その3Dモデルが表情豊かに動いている動画も上がっていた。アーカイブもあるだろうしな。
「しっかし。コヲリの解釈はどうなってんだか」
不動明王の女体化とか俺では想像もつかないレベル。こういうところはイラストレーターの感性に驚かされる。まぁ不動ミヨのトークスキルも凄いし、アズキのおっぱいの揺れ方も凄いっちゃ凄いんだけど。
「アクヤ様」
で、凡人代表の俺がなにか取り残されたような感覚に陥っていると。同じく勉強を得意としているカホルが俺を呼んだ。
「えーと。何か?」
「溜まっていませんか?」
「肯定するとどうなるんだ?」
「ご奉仕します。アクヤ様♡」
ペロリ、と自分の唇を舐めるカホル。それで俺の中のオスが発情する。
「ちなみに否定したいところなんだが」
「アクヤ様を二度と自律神経失調症にはいたしませんよ?」
「それはありがたいが」
コヲリはイラストレーターの仕事。ホムラはまだ21プロの本社。マキノは昼寝している。とすると作業できるのはカホルだけで。
「本番は無しだぞ」
マキノが起きてきたら言い訳のしようがない。
「見つかってもいいじゃないですか」
まったく良くはないのだが。
「マキノもアクヤ様を求めていますよ」
「俺が許可しねーんだよ」
「じゃあトイレでしましょうか。それならバレないですし」
「ちなみに、それはアレか?」
「フェラーリですね」
イタリア人に怒られそうな表現だった。最初の三文字しか合ってねぇ。
「アクヤ様♡ そのたくましいものを私にください♡」
まぁ竿役だし。アレが大きいのはもうしょうがないというか。
「じゃあ任せるかー」
しょうがないのでレディファイトする。レディとファイトするという意味で。
「アクヤ様の……美味しいです」
きっとキスが甘いんだろうな。ほら意中の人の唾液って甘いらしいし。決して俺の何がどうのこうので果てて出た物体についての感想ではない……と思いたい。
「あと何回出ます?」
「三回くらいは出るな」
「さすがアクヤ様♡ 糸色倫ですね」
そのネタを使うな。
「お付き合いしますから」
ここまで来たら、俺としても止まれないわけで。カホルの奉仕でレディファイトして、色々と液体が出る。あ、もちろん液体って汗のことだぞ? あと唾液。その液体を口の中でクチュクチュして、俺に見せつけるようにカホルは口を開く。その後ゴックン。その光景で俺の性欲が暴発して、結局四ラウンドKO。
マジでどうにかなりませんか。九王アクヤさん。




