第96話:落ちぶれたもの
【人公アルシ視点】
「起きなさい。アルシ」
調子よく眠っていたボクに、その頬をつねるという暴挙でホムラが起床を促した。
「痛い痛い。何するの」
「今日は期末テストの最終日だぞ。分かってるよね?」
「わかっては……いるけど」
「では準備をして。あたしは飯を作るから」
レンチンのご飯にレンチンのおかず。あとお湯を注ぐだけの味噌汁。
「テストは大丈夫?」
「もちろんだ。まさか心配してる?」
「まぁ面倒だな程度には」
「大丈夫だって。ホムラには迷惑かけないし」
「それは前提条件ですけど」
「じゃあ行きますよ」
「あ、待ってよ。ボクと一緒に登校したいでしょ?」
「いえ。そんな気は毛頭」
この照屋さんめ。ボクの事が好きなくせに。
「…………」
そんなボクのことを無視して、ホムラは英語の単語帳をめくっていく。そういえばホムラは本気で勉強してるんだなぁ。まぁそれでもボクには勝てないだろうけど。そうして二人そろって学校へ向かう。ボクにとってはあっさりしたものだ。今日はテストを受けるだけで終わりなんだから。
「ホムラも頑張れよ」
「そういうアルシもね」
大丈夫だって。別に赤点を取るわけでもないし。そう思って臨んだ期末テスト。その最終日。
「…………」
一切。何もかもがわからなかった。それは一日目も二日目も同じだったけど。ここに来て勉強をしていないことが裏目に出た。一切わからない問題。それによる成績不振。
「…………」
呆然としたままテストが終わる。ボクは何をしているんだろう。こんな分からない問題で、何を誇っているのか。でも確かにボクにはわからない問題で。どうしようもなく不利益で。けどしょうがないじゃないか。ボクにだってわからない問題はある。ソレを責める方が酷だ。
「アクヤ。今日はちゃんとできたよ♡」
「偉いな。マキノは」
で、茫然として期末テストを終えると、六組から九王と小比類巻さんが現れた。イチャイチャしているのはムカつくけど、今のボクにはそれよりも問題がある。
「ど、どうしよう……」
期末テストが壊滅的。このままじゃ親から何て言われるか……。
「アクヤ。だからさぁ。あーしといいことを……」
「御遠慮召され」
九王が遠慮しているが小比類巻さんが押しを続ける。
「ねーぇ? あーしと……さ?」
よくそんな男に媚びを売れるな。ボクならまず無理。そんな男に関わるのがもう無理。
「アクヤ~」
「だからしないって」
バカどもは頭が軽くて幸せだな。ボクはボクで、期末テストを終えたことを幼馴染と分かち合おう。
『期末テストの打ち上げしない?』
幼馴染たちにそうメッセージを送る。
『ああ、無理だよ』
『無理ですね』
『無理だぞ』
え? なんで? ボクと打ち上げできるんだよ? いいことじゃないの?
『じゃ、そういうことで』
『また今度』
『っていうかテストできたの?』
それは。まぁ出来てはいないけど。でもホムラには負けないと思うよ?
『ところでカホルはストーカーの件は大丈夫?』
『ストーカー?』
『九王だよ。ストーカーされているだろ?』
既読スルーだけついた。
『アイツは危険だよ。カホルも注意してね』
『はぁ』
あんな奴に犯されて処女を失う羽目になったらボクとしても悔やみに悔やみきれない。
「なんとなくマズいんだよなー。九王って」
ボクはまだその本質を知らなかったけど。
****
【花崎カホル視点】
「アクヤ様……」
期末テストも終わり。私はアクヤ様の相手をしていました。このHカップの爆乳で色々と。何をしているというかナニをしているというか。あくまで私から言えることはありませんけど。もちろん何もしてませんよ? 悪魔の証明です。
「カホル……」
アクヤ様は嬉しそうです。私の身体も使い様があると言いますか。
「アクヤ様ぁ……」
私にとってアクヤ様は絶対。誰よりもお仕えすべき存在です。
「ん♡ ちゅ♡ アクヤ様ぁ♡」
ああ、素敵な殿方に奉仕できるのってなんて幸せなんでしょう。あの一回からアクヤ様は私を受けいれてくれるようになりました。一度抱けば後はなし崩しに。私もたまに『アクヤ様専用』の文字のタトゥーシールを子宮の上に張り付けて、アクヤ様の性欲を刺激しています。このタトゥーを入れるとアクヤ様のアレが三割増しになります。
「カホルッ! カホルッ!」
アクヤ様の情熱的なキス。ソレを受け入れて、私はアクヤ様に奉仕します。
「アクヤ様……ぁ♡」
もうアクヤ様しか見えません。アクヤ様がいれば私にはそれでいい。
「気持ちいいですか? アクヤ様♡」
「ヤバイ」
ああ、アクヤ様が感じてくださっていらっしゃる。その事がとても嬉しい。私の身体でもアクヤ様は喜んでくださっている。
「もっとしますね♡」
そうして乳圧でアクヤ様のを責め立てる。何をしているかって? アクヤ様のお身体におっぱいを押し付けているだけですよ? それくらい女の子ならするでしょう? 別にエッチなことは……していないと言えるかどうかが不明レベルに困惑するには妥当ですけど。ほら。抱きしめるだけでもおっぱいは当たるものですし……ね。ナニもしていませんよ?
「アクヤ様。私の身体で気持ちよくなってくださいね♡」
「もうマジで無理。果てるけどいいよな?」
「ええ。構いませんよ♡」
私にとっては何時ものこと。アクヤ様が身体を許してくれるようになって、それから私とアクヤ様の関係は始まりました。もうアクヤ様を自律神経失調症にはしたくない。いえ。そうじゃないですね。私がアクヤ様を求めているんです。アクヤ様に女子を抱いていいと教える役目が私です。アクヤ様が倒れるまでセクロスを我慢する必要はないんです。
「コヲリとホムラですけど……」
「アイツらまでは……巻き込めない。っていうか、すまん。果てる。何とは言わんが」
「あん♡ 熱いです♡ 私はいいと思うのですけど……コヲリも、ホムラも」
アクヤ様が言うこの世界がエロゲーで、アルシが主人公というのもなんですかね。




