第95話:期末テスト
「ふえー」
「あうぅぅう」
期末テスト一日目が終わった。俺にとってはそこそこ有意義な時間だ。多分だが今回も学年一を取れるだろう。カホルとはどれだけケアレスミスを起こさないかの問題でしかない。アイツも結構解いているだろうし。勉強を見る感じでは互いに差はない。ただあくまで学内のテストであれば、と注釈は付くが。全国模試だとまだまだ負ける気がしない。
「で、出来たのか?」
倒れ伏しているホムラとマキノに聞くと。
「まったくわからないってことはなかったけど」
「同じくっしょ~」
「じゃあ二日目に向かって勉強するか」
「「あうぅぅぅ~」」
そんなに嫌か? 勉強。
「むしろアクヤくんは何でそんな乗り気?」
「まぁやればやるだけ帰ってくるし」
そういう意味では俺にとってはとても素敵な能力だ。
「勉強は……もう勉強は……」
「はい。ファミレスに行くぞ。飯奢ってやるから」
最近のファミレスは勉強禁止だったりするところも増えたが、俺にはあてがある。この近辺じゃなければいいのだ。
「ハンバーグ定食」
「唐揚げ定食」
「……とり天定食」
「ナポリピッツァ」
「カルボナーラ」
そんなわけで、学校近くのファミレスだと生徒に見つかるし勉強会も出来ないしで。ちょっと電車に乗って遠くのファミレスへ。そこで俺たちは思い思いのメニューを頼んだ。とりあえず期末テストの一日目が終わったので、そこはまぁ。
「お疲れだったな。コヲリ」
今日は水曜日。コヲリが人公を起こす日だった。木曜日は最悪を考えてカホルが。金曜日は毎度の如くホムラが。さすがに期末テストまで遅刻されると困ってしまうので、苦肉の策である。
「……マジで寝過ごす寸前でしたからね」
溜息とともに、とり天定食を頂くコヲリ。彼女の苦労がしのばれる。っていうか勉強しているんだろうな? さすがにそこまでは俺もフォローできんぞ。人公。
とかいいつつ、既に俺の意識は全国模試へ。そろそろ近づいてきているし、勉強するにしくはない。
ファミレスで飯を食った後、各々の勉強にとりかかる。ホムラとマキノにはケーキを奢ってモチベーション維持を促進し、そうしてなんとか頑張らせる。
はー。絶対俺は教師職は止めておこう。ホムラとマキノの勉強を見ながらそんなことを思う。だってこんな懇切丁寧な授業を四十年近くもやるなんてたまったものではない。
ドリンクバーでコーヒーを飲んで、勉強に集中する。強制する気はないが、それはそれとしてホムラたちにもいい成績はとらせてあげたい。まぁコヲリとホムラの卒業資格は既に買い取っているのだが。
「ところでこの前のケーキの画像。バズってるな」
勉強の御褒美にケーキを奢ったのだが、予約投稿でマキノがアップしたケーキ画像がバズリ、色々とネットで騒がれているらしい。まぁ現役JKのグラビアアイドルだから注目度も抜群だろう。
「あー。まぁ。なんか不思議。あーしはなんでもないのに周りが騒いで」
「下手な投稿はするなよ」
「大丈夫っしょ。高評価以外はつけないようにしてるから」
それが最も無難だよな。
「で、カホルはどうだ? 分からないところあるか?」
「古文について聞いてもいいでしょうか?」
俺の最も苦手とする分野だ。分からないかもしれないぞ、と前置きだけしておく。
「ここの訳し方なんですけど……」
「ああ、そこは……」
ヒョイヒョイと教えて、そのまま没頭。
「アクヤ様もカホルも頑張るねー」
「お前はもっと頑張れ」
俺はパフェを頼んで食っているホムラにツッコんだ。
「休憩でーす」
「まぁお前がそれでいいならいいんだが」
パフェくらいでやる気出すなら言うことはない。
「で、コヲリは大丈夫か?」
「……えーと。……そこそこの点数はとれると思います」
ああ。これだよ。俺が聞きたかったの。マジでコヲリって色々と平均で安心する。
「……キャラ立っていませんよね」
むしろ助かるまであるんだが。
「コヲリの安定感よ」
「……私的には何もしていないんですが」
「いやいや。助かってるぞ」
「???」
とりあえずコヲリの安定感に拝みながら、俺も自分の勉強を続ける。
「……アクヤ様は模試の勉強ですか?」
「全国百位には入りたいし」
そのためには気が抜けない。
「……ご苦労されているのですね」
「まぁ偏に言って俺のエゴだがな」
それでも偏差値八十はキープしておきたいんだよなー。親父に我儘を聞かせてもらうって意味でも。
「ホムラは週末に21プロでデビューだろ? 大丈夫か?」
「勉強の百倍マシ」
うん。まぁ。そうだろうな。
「これで動画編集も外注に頼まなくていいな」
「ASMRはもういいの?」
良くは無いけどどうしろと。
「じゃ、頑張ろうな」
俺はガシッとホムラの頭部を掴む。
「お手柔らかにお願いします……」
「それはお前次第だな」
「ふえー」
「マキノもな」
「ちょっとあーしには難しいかも……」
「頑張ろうな?」
「アクヤ。目が怖い」
そりゃ怖くもなるさ。
「とにかく。ホムラとマキノには頑張ってもらいます」
「おにちく~」
「おにちくっしょ」
だからソレは鬼畜って読むんだよ。いい加減覚えろ。
「それじゃやりますか」
「アクヤ様ってなんでそんなに頭いいの?」
「勉強したからじゃないか? やっぱり」
他に理由も知らない。知る必要もないが。
「あ、ミルクレープお願いします」
で、あっさりと俺の奢りだということで糖分補給に余念がないホムラ。いいけど太っても知らんからな。
「大丈夫ですよ。太らない体質だし」
おっぱいにもいかないしな、という忠言は止めておいた。俺から言えることではない。
「さて。じゃあ勉強するか」
「アクヤ様の言う通りですね」
そうして俺とカホルとコヲリは勉強を再開した。ホムラとマキノ? 聞くな。




