第93話:朝、目が覚めて
あー。やってしまった。朝起きて、自分ではどうしようもない感情に苛まれている俺。カホルとやってしまった。あの爆乳に触れて、他にも色々。一応幸せ家族計画は装着していたが、そういう問題でもないような。あの生々しい感触を否定することも難しく。
「本当に童貞じゃなくなったんだな」
魔法を使いたかったのに。
「あ、アクヤ様。おはようございます」
そのカホルとは言えば、あっさりした表情で俺に朝の挨拶。
「どもです」
ダイニングにはコヲリとホムラもいて、四人で朝食。俺は白米と卵焼きと味噌汁を喉に流し込む。思ったよりオスの部分は抑えられている。カホルが相手をしてくれるから、九王アクヤの女を犯したい性欲は鎮められている。そういう意味では助かって……いるんだよなー。女の子の身体ってなんであんなに気持ちいいんだ。
「……アクヤ様……大丈夫ですか?」
「何か変なところあったか?」
俺が聞いてみる。コヲリには何かを察しえていたらしい。
「……いえ。……その。……ボーッとされて」
「まぁ色々あるんだよ。色々と」
カホルとやったとか言えねぇ。このまま事実を公表すると後はなし崩しだろう。ホント、なんで俺はヒロインを抱いているんだ。すまん。人公。カホルルートだった場合どうしてくれよう。「…………一回使っちゃったけど……大丈夫です。綺麗です」とかの言い訳で通じるか? 通じないよなぁ。
カホルがダイニングテーブルに爆乳を乗せる。俺の喉がゴクリとなる。大きいにもほどがあるだろ。実際に揉むと柔らかくて張りがあって。いかんいかんいかん。いかんよ。カホルは人公のもの。カホルは人公のもの。
「では学校に登校しましょうか」
朝飯を食べ終えて、そのまま学校へ。駅までは車で送迎。それから駅では俺がラリルトリオを痴漢から警護。そうして電車を降りると分かれて、俺は仲睦まじく三人で歩くラリルトリオを見つつ、だがそれだけで済むはずもなく。
「アークヤ!」
マキノが駅で待っていて。俺に抱き着いてくる。
「一緒に登校しようねー」
「するのはいいんだが。いっぱしの芸能人がだな」
「大丈夫大丈夫。アクヤだって嬉しいっしょ?」
爆乳を押し付けられて、俺に言えることはそう無い。
「マジで俺のこと好きなの?」
「だーい好き♡」
「だったらいいけどさ」
「アクヤも好きだよね?」
「大切にしたいとは思ってる」
「出たよー。キープ宣言」
仕方ねーだろ。しょうがないでしょう。そもそもマキノルートだった場合俺はマキノを抱くと割腹しないといけない。
「アクヤって結構律儀?」
「律儀ではあるな」
そうでもなければなんなんだって話で。
「あーしは何時でもいいからさ」
俺が良くねーんだよ。正確には人公が、だが。
「真実の愛……か」
「禅問答?」
それに近いかもな。
「マキノは俺の何が好きなんだ?」
「王子様なところかなー」
ソレを誰に向かって言っている。
「もち。アクヤ」
「おれはそんなことを……」
「してないって言える?」
「むぐうぅ」
たしかにちょっと小比類巻家を救ったりはしたんだが。でも困っている人がいれば助けるだろ?
「だからあーしはアクヤに惚れたんだけど。ア・ク・ヤ?」
耳元で囁かれる。
「しよっか♡」
「却下で」
俺はマキノの頭を掴んでグイと離す。
「アクヤのいけず」
ヒロインの処女を守るのが俺のファンタジー。信じる者が正義なのだ。て〇をもそう言っていた。
「アクヤ。今日はイチャイチャしようね?」
「そうだな。イチャイチャ勉強しような」
「勉強はイヤだー……」
「留年するか? 楽しい二年生ライフをもう一度楽しむか?」
「ソレを言われると……」
「じゃ、放課後集合な」
「はーい……」
そうして一緒に六組へ。包丁を研いでいるクラスメイトはちょっと怖かったが、まぁそれはいいとして。
「九王くん。お昼ご一緒しませんか?」
昼休みに六組に顔を出したのは花崎カホル。なんというか。シャツ姿のカホルはおっぱいがバインボインで男子としても股間がいきり立つだろう。それはマキノも一緒だが。
「アクヤ。あーしとも一緒に食べるっしょ」
「アクヤくん。……あたしも」
もちろんマキノとホムラもこの機会を失うわけもなく。
「構わんが。大丈夫か?」
俺が懸念しているのは人公についてだ。俺のことを毛嫌いしているみたいだし。ヒロインを寝取られるようで心穏やかじゃないだろう。
「ああ、今日は来ていませんから」
「そっか。じゃあ大丈夫だな」
何が大丈夫かはこの際気にしないことにして。
「じゃあ俺はフィッシュアンドチップス」
「うな重でも頼みましょうか」
「あたしは味噌ラーメン」
「あーしはソバにしようかな」
各々好き勝手に注文する。っていうか学食のレパートリーが増えていて引く。
「アクヤ。今度の件だけど」
「一応大丈夫だぞ。予定も空けてるし」
そこは念頭に置いている。
「九王くん。マキノがどうかしたの?」
「んにゃ? 単に仕事が入っただけ」
「売れてるんですねー。マキノ」
「にはは。これも全部アクヤのおかげっしょ」
だから俺は何も……と言えないわけか。別にいいんだけど。
「だからさー。アクヤぁ。あーしと……ね?」
「ハイ解散。それではお疲れ様でしたー」
「アクヤ~~~~」
もうすでにマキノが俺にベタ惚れなのは学校の常識だ。俺的にも扱いに困っているのだが、それを率直に言うわけにもいかないし。ついでにカホルとホムラとマキノと一緒に飯を食ったことは学内のヘイトを買った。当たり前っちゃその通り。
呪うでも何でもしてくれ。




