第91話:アルシの苦難3
【人公アルシ視点】
「っしゃあ!」
イベントボスを倒して、ボクはガッツポーズ。達成感ハンパないな。やはりネトゲは至高。
「もうちょっとやっていくか……」
この前レベル上限も解放されたし経験値稼ぎはゲーマーの義務だ。今日くらい徹夜しても大丈夫だろう。明日はコヲリが起こしに来てくれるし。何の心配もない。そもそもボクはそこそこ勉強できるし。
『お疲れでしたー』
『乙~』
『お休みー』
さすがに深夜になるとギルメンも睡眠を優先する。ボクたちガチ勢だけが徹夜覚悟でイベントに臨んでいた。
『もちろん徹夜だよな?』
ガチ勢が聞いてくる。
『当たり前だろ』
ボクもそうコメントする。それから徹夜でイベント参加。ボスを何度も倒す。経験値ガッポガッポだな。これでこそゲーマーの鑑。ちょうど空が白んできた頃に眠気を覚えた。そっか。徹夜でゲームしたんだなぁ。でも面白いんだからしょうがない。そう。ボクは悪くない。ゲームが面白すぎるのが悪い。
「さて、寝るか。水曜日はコヲリが起こしに来てくれるし」
そうしてベッドに入る。ぐっすり寝て、そして目を覚ましたら午後の二時だった。
「…………」
スマホで時間を確認。寝過ぎたことを自覚する。ちょ。コヲリは?
『コヲリ! なんで起こしてくれないのさ!』
おかげで大遅刻だ。っていうか、この時間なら学校に行ってもしょうがない。
『用事がありまして』
それがコヲリの答えだった。
『用事って。幼馴染のボクより大切なこと?』
『まぁ偏に言って』
なんだよ。そんなものあるわけないだろ。コヲリが何より優先すべきはボクだろ?
『用事ってことは学校行ってないの?』
『まぁ』
何をしているのか。そういえばバイト始めたとか言ってたね。ソレ関係かな?
『だからってさぁ。ボクを蔑ろにするのはあり得ないと思うんだけど』
『午後の二時に起床の問題を提起するアルシくんもあり得ませんけどね。ゲームは楽しかったですか?』
『いや。夜遅くまで勉強をしていて』
嘘です。ゲームしていました。
『期末までゲーム禁止って言いましたよね?』
『ちょこっと息抜きにしただけだって。ほとんど勉強してたから!』
『わかりました。信じます。勉強頑張ってくださいね』
『ああ。わかればいいんだよ』
まったくコヲリは面倒くさいんだから。この説教癖が治ればボクとしても都合がいいんだけど。ボクの事が好きなのはわかってるんだからもっと甘やかしてくれよ。
「今日はどうしようかな。学校行くのも面倒だし」
そう思っていると、青年誌が目に映った。表紙はアズキ。つまり小比類巻さん。ゴクリと唾を呑みこむボク。そういえば昨夜はゲームに夢中でG行為をしていなかった。青年誌を開く。エチエチな水着姿の小比類巻さんが映っていた。これってやっていいって言うことだよね? こんな爆乳をしておいて男の子にG行為をするなって話じゃないよね?
「……ッ……ッ……ふ……」
そうしてボクはG行為をした。達成感がハンパなくて、そのまま脱力。賢者タイムという奴だ。さすがに一回が限界だ。っていうか普通そんなもんじゃない?
『コヲリ。貸し一つね』
『善意の行為に貸しはないでしょう』
『おかげでボクは今日欠席だ』
『もうヨーロッパに行った方がいいんじゃないですか?』
だーかーらー。そうするとボクと幼馴染の関係がだね。
『コヲリはそれでいいの』
『構いませんよ?』
ジョークがきついな。ボクがいなくなると寂しいくせに。
『今度勉強会しない?』
『いえ。しません』
『なんで?』
『バイトに忙しいです』
『大丈夫なのソレ?』
バイトって言っても無理しすぎるのもいけない気がするんだけど。バイトばっかりしていたら青春の浪費じゃない? そうだ。デートに誘おう。
『週末デートしない?』
『いえ、忙しいので却下で』
『たまにはいいじゃん。幼馴染だしさ』
それにバイトしてるなら金貰ってるんだろ? ちょっと奢ってもらうくらいはバチも当たらないよな?
『スケジュールが大変なんですよ』
そんな大変なバイトをするなよって話で。
『コヲリは真面目過ぎるから。ちょっとは肩の力を抜いたほうがいいよ』
『エナドリこそが私の相棒です』
よほど根をつめているらしい。ボクは心配になる。女の子を心配するなんて、ボクは何て幼馴染想いなんだろう。
『来週は起こしに来てね』
既読スルー。おい。
「さて、じゃあイベントを進めますか。どうせ学校は休みだし」
自主休日という奴だ。別に一日くらい授業を受けなくてもボクの成績は揺らがない。
「カホルたちと会えないのは辛いけどさ。でもボクにはこのイベントを完走するという使命が……」
『カホル。九王には気を付けなよ。アイツ絶対ストーカーだから』
ちゃんと言っておかないと、ボクの問題にもなる。カホルとやっていいのはボクだけだから。あのおっぱいで挟まれると思うと、滾るな。小比類巻さんのエチエチ写真もいいけど、カホルの場合はボクにだけ心を許す爆乳だから。きっと柔らかいんだろうなぁ。とは言っても既に発射しているのでまだ回復はしていない。そういう意味では性欲は静まっているけどテンションだけ高ぶっている状況だ。
いかんいかん。今はゲームのイベントに集中。毎日ログインしているギルメンと、力を合わせて大冒険。これこそゲームの醍醐味ってものだろう。明日から頑張ればいいんだよ。時間は幾らでもある。
「ストーカーの九王には何か制裁をしないとな。警察に連絡するか。それもいいな」
豚箱にぶち込まれればいいと思う。ボクのカホルに手を出そうとしたのだ。その大罪は許されるべきではない。ちゃんと社会的な禊をしてもらわないと。
「あー、やっぱゲームはいいなぁ」
一度プレイすればしゃっきりする。嫌なこと全部忘れられる。カホルだってあんな将来性ゼロの男に惚れるわけないし。やっぱりボクの事を好きだよな。あの三人が幼馴染ってだけでボクは勝ち組だ。九王がどれだけ金を積んでも、あの三人を買うことなんて出来ないんだから。日本では基本的人権の尊重はされているし、奴隷なんてもってのほか。つまり個人を所有するには縁が必要だ。幼馴染なんて最も強力は縁だろう。たとえ九王がカホルたちに近づこうとしても、そんなことに意味は無いのだ。ボクだけ。ボクだけがあの三人を所有できる権利を持っている。
「残念だったね。九王。君がどれだけストーカーしてもカホルは君のモノにならないんだよ?」
指差して笑いたいくらいだ。カホルをストーカーしているのは明白だ。だったらそのことを学校にでも振りまこうかな。だが時期は慎重に図るべきだ。いつにしようかな?




