第90話:アルシの苦難2
【人公アルシ視点】
「んあ?」
月曜日。目を覚ますと昼の十一時だった。やっべー。寝過ごした。っていうか今日はカホルが起こしに来る日だよな? なんでサボってるんだ? ボクを起こしに来いよ。まったく役に立たないんだから。
『カホル。今日はカホルの担当でしょ』
愚痴のメッセージを送る。既読スルー。最近ちょっとカホルが遠い気がする。仕方ないので起き上がり、それからカップ麺を食べて、学校に登校する。遅刻したので学内でも処理しないといけない案件だ。そのまま学校に行って、教師の御小言を聞き、それから昼休み。カホルがいる一組に顔を出す。
「花崎いる?」
一組の生徒に聞いてみる。
「今日は休みみたいだよ?」
そんな返答がきた。カホル休みか。タイミングが悪い。熱でも出しているのか? だったらお見舞いに行きたいんだけど。聞いてみるか。
『風邪でも引いてる? 見舞いに行こうか?』
これなら自然にカホルの部屋を聞ける。ついでにコヲリとホムラの部屋も。三人で同じマンションに住んでるらしいし。だが既読スルー。いつまでボクを怒らせるつもりだろう。映画デートの浮気についても言い訳しないし。ちゃんと謝るまでボクは許すつもりはない。
「二條さんいる?」
今度は二組に顔を出す。
「今日は休み」
コヲリもか。何かあった? 風邪でも共有してる? あるいはどっちかが看病してるとか? とするとホムラもいないことになるのか。一応六組に行ってみる。
「ああ、二條さん? 休みだよ」
やっぱりか。誰かが風邪引いて、看病してるんだろう。ボクは三人にメッセージを送る。
『見舞いに行きたいから住所教えて』
既読スルー。あのさぁ。ホントさぁ。舐めているとしか思えない。いくら幼馴染だからってやっていいことと悪いことがあるって普通分かるでしょ。ボクを無視するとか何様だ。
「はぁ。カホルたちにはほとほと呆れたよ」
とりあえず学食に行く。カレーを頼んで、そのまま席へ。少し離れたところに小比類巻さんがいた。やっぱりおっぱいが大きい。あのカホルとタメを張れるんだから大したものだ。かくいうボクもお世話になっている。小比類巻さんのグラビア写真はエロすぎる。あれだとG行為が止まらないんだよなー。
今は女子と食事しているらしい。男子は遠巻きに見ているだけ。ボクもおっぱいをガン見する。あのおっぱいを見るだけでも写生しそうだ。ま、どうしても付き合いたいって言うなら? 小比類巻さんを相手してあげてもいいけど?
「あー。マネージャーがいい人でさぁ」
そんな会話が聞こえてくる。小比類巻さんはプレプロの所属だ。タレント事務所としては大手も大手。シェアはトップだ。そこに所属するだけでも小比類巻さんのポテンシャルが伺える。まぁあのおっぱいなら当然だけど。ボクとしても抜くのは必然で。そういえばカホルたちとも仲いいんだよね。ワンチャンボクとも…………。
『カホル。反省した?』
カレーを食べ終えて、そうカホルにメッセージを送る。だがやはり既読スルー。
『ちゃんと謝ることを覚えた方がいいよ? ボクはカホルのために言ってるからね?』
既読スルー。
『そういう態度が良くないんだよ。カホルも社会に出たらそういうところをだね』
既読スルー。
あああああッ! もう! ここまでカホルがかたくなだとは思わなかった。悪いことをしたんだから謝るべきだろ? ボクに謝罪するべきだろ? 九王と一緒に映画を見てごめんなさい。以後気を付けます。それだけ言ってくれればボクも許してあげるのに。
『ちゃんと謝ったら許してあげるから』
だからほら。謝れ。
『ちょっと黙っててくれる? さっきからウザいよ』
ウザい? ボクをウザいって言った? カホルが? ボクに?
『そっちが遅刻したのに私に謝罪を求めるのがウザい。九王くんに嫉妬するのがウザい。連コメがウザい』
『ふーん。じゃあ許さないよ? それでもいいの?』
『じゃあ話しかけないでね』
クッソがぁぁぁぁ! 何様のつもりだ! こっちが妥協しようとしているのに善意を踏みにじりやがって。
『コヲリ。カホルが理不尽なことを言ってる。説教してやって!』
『いえ。全面的にアルシくんが悪いです』
『何でだよ! ボク何かした!?』
『自覚してないのがさらに悪いです』
ボクが何をしたって言うんだ!
『遅刻したことをカホルちゃんに謝りましたか?』
それは……謝ったよな? 多分……だけど。でもそこは幼馴染権限で許してくれてもいいと思うんだけど。ボクだってミスくらいするんだし。
『まずはそこからですよ。ちゃんとカホルちゃんに向き合うことですね』
だからなんでボクが謝る必要が。悪いのはどう考えてもカホルだろ!
『カホルだって謝ってないんだからラブオールじゃない?』
『そう思いたいなら思っていればいいんですよ』
コヲリが優しくない。ボクにだって優しくあるべきなのに。なんでカホルの肩ばかり持つんだよ。不公平じゃないか。
『コヲリは本気でそんなことを言ってるの? 信じられないな』
『私にすればアルシくんが信じられないんだけど』
だからボクは何もしてなくて。言っても無駄か。コヲリがこんなにも理解が浅いなんて思ってみなかった。
『カホル。ちゃんと謝って。そしたらボクも許してあげるから』
既読スルー。
『ボクはチャンスを上げているんだよ? 今のうちに聞いた方がいいと思うけどな?』
『ウザいです』
わかったよ。しばらく許さないから。後で後悔しろ。
「小比類巻さん。いいよなー。エロイよなー」
ボクが三組に戻るとクラスメイトが小比類巻さんのことを話していた。ちょっとイライラしていたし、ボクも会話に加わる。
「挟まれたいよな」
ボクがそう言うと、今日のグラビアが乗っている青年誌を見ているクラスメイトが頷く。
「マジでソレ。あのおっぱいに挟まれたい」
まぁその本人は九王にアプローチしているバカだけど。あんな奴の何がいいんだか。
「ちょっと頭軽そうで。そこもまたいいんだよな」
「分かる。ワンチャン俺にもチャンスないかな?」
「芸能人と付き合ってるんじゃね? 一応アイドルだし」
「すっごいシコれるんだけど。今週のグラビアも最高だよなー」
溢れんばかりのおっぱいをこれでもかと見せつけてきている。水着でかろうじて乳首は見えてないけど、そのエッチさは比類がない。
「俺告白してみようかなー」
やめとけやめとけ。脈無しだから。でもボクならワンチャン……。
「花崎さんと同じくらい大きいし」
「花崎さんもいいよなー」
おい止めろ。カホルはボクのモノだぞ。性的な目で見るな。今はちょっと喧嘩してるけど、あのおっぱいはボクだけが揉んでいいものだ。
まぁ思春期男子なら? カホルのおっぱいに欲情するのも仕方ないけど?
でもあのおっぱいはボクのモノだから。残念だったね。カホルもコヲリもホムラも、あの三人は全部ボクのモノだから。後は三人がボクの大切さを再確認してくれれば万事うまく行くんだけど。そこは三人が後悔してボクに謝ることを期待するってことで。




