第87話:アズキの写真集
「いいねー。アズキちゃん。映えてるよー」
ノリノリでカメラ撮影をするカメラマン。ところでグラビア撮影のカメラマンってどうやったらなれるんだ? 結構役得というか働けるだけで天国じゃね?
「アクヤ!」
そうして写真を撮られ終わると、アズキ……つまりマキノが俺に駆け寄った。零れ落ちそうなオッパイを見て、目を逸らす。カホルのおっぱいもこれくらいあったよな、とか思った時点で俺が敗北しているようなものだ。
「じゃあ着替えてくるっしょ」
「アズキちゃーん!」
ああ、行ってこい。と言うより先に同じグラビアアイドルの信濃シイナさんがマキノに抱き着いた。
「あー。アズキちゃんだー。ペロペロー」
「あのシイナ先輩。それ以上は……」
「いいですよね? マネージャーさん」
「好きになさって」
「裏切ったっしょー! マネージャー!」
「お前が女性からも魅力的に見えてる証拠だろ」
「そんな甘言でだまされされれれれれれ……」
騙されそうだな。
「言ったでしょ? マネージャーさん。アズキちゃんは売れるって」
「ええ、御慧眼素晴らしきと存じます」
巨乳新人グラビアアイドルことアズキはすでにネットで大いにバズっている。アウトスタグラムのフォロワーがこの度二十万を超えた。もう一種のインフルエンサーだ。彼女の言動一つがネットを騒がせる。マキノのグラビア写真が載った雑誌は出版社が三割増しで印刷するとまで言われている。つまりそれだけ勝負しても売れるという証拠だ。
「あー、羨ましいなぁ。アズキちゃんペロペロ~」
「信濃さん。さっさとアズキと着替えてきてください。過程は問いませんから」
「うん! マネージャーさんからアズキちゃん寝取りますからね」
俺の女じゃないんだがな。あーれー、と連れていかれたマキノの今後には議論しないとして。
「…………」
プレアデスプロダクション。つまりプレプロから出頭の御達し。俺が何かしたのか、と思ったが、同じメッセージがマキノにも来ていた。話があるから事務所に出向くように。
「何っしょ?」
「さぁ。なんだろな」
そもそも既にマキノはマネージャーがついているし、俺が出向く必要もないはずなんだが。ただそれだとマキノのモチベーション維持が難しいと社長に泣き付かれて、俺は未だにマキノのマネージャーを務めていた。
「ああ、来てくれたか。アズキくん」
「えーと。なんでしょう?」
「出版社に仕事を依頼しようと思う。君の写真集を出したいとな」
「は……はぁ」
困惑するマキノ。だが俺にしてみれば納得だ。むしろ今まで写真集の話が無かった方がおかしいくらい。
「それでタレントの合意を得なければならないのだが。大丈夫だろうか?」
「一応契約は結んでいますし。そちらの都合では?」
と言ったのは俺。タレントの権利なら、すでに事務所が持っているだろう。
「それはそうなんだが。アズキくんは高校生だしね。こういう話は慎重に。それに九王の御曹司に話を通さないのも不義理かなと」
それで俺まで呼んだのか。
「契約書を用意した。本来は必要ないだろが、九王グループでリーガルチェックをしてもらいたい」
「受け取りました。では後に返答します。とはいえ多分そのまま通ると思いますよ」
「今はアズキくんの人気が沸騰している。プレプロとしても盛大に売り出したい」
「仕事も増えていますからね。既に週二で稼働していますし」
さすがに未成年は夜十時以降は働けないが。
「よろしくお願いいたします」
「いえ、こちらこそ。そもそも無理を言って天下のプレプロに所属させてもらったのは私の方です。アズキのことをよろしくお願いします」
「はい。私どもの会社で全力を尽くさせてもらいます」
そうして書類を手に、俺はマキノと帰路につく。
「今日は泊っていっていい?」
「いいんじゃね。ミキノさんに連絡とれよ」
「もろ手を挙げて歓迎だろうけどね」
「堕とせとでも言われたか?」
「失礼のないようにとは言われたっしょ」
「まぁ俺の機嫌次第ではあるが。言うほど堪忍は浅くないぞ」
「まぁそりゃ首根っこ掴まれているわけだし」
「とはいえ、俺は九王グループには関係ないしな。ミキノさんが誠実に働いていれば、たとえ本社の指示でもコンビニがミキノさんを手放さないと思うぞ」
「結婚相手も見つかるかな?」
「だといいなー」
「…………ボソボソ(脈無し……か)」
何か言ったか。
「ううん。アクヤのことが大好きだよって」
「何もしてないがな」
「本気でそう言えるのがアクヤの凄いところだね」
それこそ何もしてないだろ。そうして法務部に顔を出してリーガルチェックを頼む。書類を精査されて、簡略的に内容を教えて貰った。事務所が利益を獲得すること。写真の肖像権はマキノにあるが出版する本の権利は事務所のもの。出版社にも一部権利を仮託する。その上で(※自主規制)円の支払いをマキノに確約。なお、重版出来した場合はその増刷額に応じてさらにロイヤリティを払う。などなど。最後に、特に不自然な点はありませんと法務部の社員が保障してくれた。
「え? そんなに貰えるんですか?」
当事者が一番引いていた。たしかに女子高生が稼ぐ額じゃないが。
「受け取っとけ」
「え、でも事務所だって利益が……」
そこはちゃんと確保されているから心配するな。
「ふわー」
とにかくこれで一定の金はマキノに入ることになる。このままなら経済的な心配はいらないな。人公も安心するかもしれないし。
「アクヤッ!」
で、俺に抱き着いて、俺の胸板におっぱいを押し付けるマキノ。ちょ。マキノさん。胸が当たっております。
「アクヤ! アクヤ! アクヤ! 大好きだよ?」
惚れてまうやろー。そんなこと言われたら惚れてまうやろー。俺の童貞舐めんな。あ、童貞じゃなかった。
「とにかく。帰るぞ。泊っていくんだろ?」
「うん。一緒に寝ようね?」
はぁ今日も5ラウンドKOか。さすがにカホルとばかり寝ると怪しまれるし。と、思ったのだが。
「ア・ク・ヤ・さ・ま?」
一緒に風呂に入る権利を主張して、俺の入浴にカホルが同行した。もちろん水着着用を謳ったが、そんなことを聞くカホルでもなく。風呂には流石に幸せ家族計画を持ちこめず。だが俺の煩悩(あくまで煩悩な!)を鎮める方法はそれ以外にも女体にはたくさん存在する。例えばHカップの爆乳とか。唾液まみれの口内とか。いっぱい俺からハーベストしたカホルは美味しそうに俺のモノを飲んでいた。美味しいか? ソレ……。




