第62話:連鎖反応
というわけでアズキも不動ミヨもネットでバズっており、その影響で二人とも自立できる程度には金を稼ぐ手段を得たのだが。波及したのは二人だけじゃなく。
「ぅえぁあ~」
「おおう。思ったより酷い状況だな」
俺の用意した電動の机。最新のパソコン。ポテンシャルの高い液タブ。で、エナドリを飲みながら睡眠不足ですと言わんばかりにオーラを放つコヲリ。
「……あ、……アクヤ様……おはようございます」
すっかり沼に使っているコヲリがそこにいた。最初はイラスト投稿サイトで活動するだけだったが、不動ミヨのキャラデザ……つまりママだとバレた瞬間ネットの注目を集め、彼女の創作活動にも火がついた。俺も聞きには及んでいるが、今は同人誌を描いているらしい。十八歳以下が描いていい領域を超えてる気もするのだが、そう言えば閲覧はともあれ創作の方に十八禁ってあったっけ? 今は「愛スール」という名前で活動をしており。
「一応契約書のリーガルチェックは終わったぞ」
ネットによる活動。それから不動ミヨのイメージイラスト。加えて同人誌作成。さらに加えること商業の仕事が愛スール先生……つまりコヲリに舞い込んで来ていた。絵を描くのが上手いというのは知っていたが、それもこれも不動ミヨのバズリが原因で、そのママであるコヲリに注目が集まるのは必然。今はとあるラノベレーベルからイラストの発注が来ていた。とりあえず主人公とヒロイン三人のキャラデザと挿絵、それから表紙絵の発注。もちろん受けないのは損だということで、俺に許可を取って仕事を受けたコヲリだが、キャパオーバーな気もする。同人誌の描き上げだけでも結構な労力だ。ライトノベルのイラストレーターともなると商業デビューの一角。とてもコンディションを維持できるとは……と思っていたが。
「……やります」
覚悟をしている目だった。だったら言うことは無いんだが。
「俺への御奉仕はとりあえず忘れろよ?」
「……むしろアクヤ様……私と添い寝してください」
「あー。じゃあこれから寝るか?」
「……むに……さすがに体力が」
金曜日と土曜日は徹夜で作業していたのだろう。そろそろ眠らないと来週に支障をきたす。勉強もあるし俺への奉仕もある。俺への奉仕は後回しでもいいんだが、さすがに成績を落とされると困る。その上で同人誌と商業の仕事……死ぬ気かな?
「……クー……スー」
眠気が限界にきて、俺の腕の中で眠っているコヲリがとても愛らしい。これが今トレンドのイラストレーター愛スール先生だというのだから世の中は分からない。
「しっかし。どうしたものか」
同人はショップに下ろすみたいだし。即売会には出ないのだろう。であれば締め切りもない。というかそもそも同人に締め切りはないが。即売会も降りようと思えば降りれるし。だが商業の方はそうもいかず。まず原作者の意向を聞いてキャラデザ。それから修正をくわえてやり直し。挿絵の構図を考えて、表紙イラストもエモいものに仕上げなければならない。それらを原作者の意図通りにしなければならないという無理ゲー仕様。作業の遅れ次第では商業に穴をあけることになる。まぁそれはイラストレーターに賠償とかそういう話でもないので考えないとして。だが締め切りがあるのも事実だ。
「寝ました? コヲリ」
「寝たよ。さすがに思い詰めてるみたいだな」
「でも羨ましいです。本気になれることがあるって」
コヲリはイラストレーター。ホムラはストリーマー。マキノはグラビアアイドル。
「お前は勉強を頑張ればいいよ」
だから俺はニコッと笑って花崎カホルにそう言った。
「もしかしてアクヤ様。私のことをつまんない女とか」
「思ってないから安心しろ」
「でも私は何も出来なくて」
「そういう意味では俺も同じだろう」
「アクヤ様はスポーツ万能だし。勉強もできるし。イケメンだし」
「カホルは勉強できるし可愛いしおっぱいも大きいだろ」
「揉みます?」
「今度な」
これ以上は言わせないでくれ。
「人公との確執は終わったか?」
「まだでーす」
「明日も鬼電?」
「だよだよ」
そもそもラブハートってどういうゲームだったっけ。元々はカホルとコヲリとホムラを性奴隷にして人公アルシから寝取った九王アクヤが好き勝手するゲームだったよな。なんでその九王アクヤがコヲリとホムラとマキノのプロデュースをしているんだ。こんな展開はゲームには無かったはずだが。
「展開が変わって来てる?」
と、取るしかないのか。
「アクヤ様。お昼はどうしましょう?」
「冷凍食品でもいいぞ」
最近の冷凍食品は結構バカに出来ない。鶏白湯ラーメンとか美味しいしな。
俺は「米!」「味噌!」「醤油!」だが。
「ちなみに生臭いに話になるんですけど」
「聞くだけ聞いてやる」
「コヲリとホムラとマキノの月収合わせると結構なモノになりません?」
「まぁ百万は超えるかもな」
マキノのグラビアアイドルの給料はかなり増額されている。撮影に二百万の案件があって、もう一端のグラビアアイドルとして売れている。男の子は大興奮でマキノのグラビア写真で抜いていることだろう。その契約によってマキノに支払われる月収も増え、普通に高校生が手にしていい大金ではなくなっている。それはホムラも一緒で、一回の生配信で数十万を稼いで、グッズとか諸々も売れている。一応個人事業主だが、だから企業にもピンハネはされないし。税務も九王グループの法務部が対応してくれている。愛スール先生ことコヲリの商業デビューも(※自主規制)万円の仕事で、さらに担当したライトノベルが重版すれば追加でロイヤリティが入ってくる仕組み。同人誌になるとさらに金額は上積みされるだろう。ぶっちゃけ金額だけなら商業の仕事より同人の方が稼げると俺は知っていた。
「借金返せるんじゃあ」
「かもなー」
そしたら晴れてコヲリとホムラは俺の性奴隷を止めれる。そして二人は人公アルシと幸せな。
「私は無理ですね」
「とは言っても出資はされているんだろ?」
俺の親父がそこら辺を抜かるとは思えない。
「ですから既に我が家の会社の株式は九王グループが握っているので株主総会次第では私の両親を会社から追放することも容易で」
まぁそうなるよな。
「そこは俺もフォローするから安心していいぞ」
「アクヤ様……」
「さて、じゃあ腹減った」
「コヲリの分の料理も作った方がいいですよね」
「そうだな。精のつくものをシクヨロ」
「となれば肉ですね」
「いいな。肉」
「あのですね。アクヤ様」
「なんだ?」
「私たちはアクヤ様の性奴隷になれて幸せです。だから。本当に。ありがとうございます」
またまた冗談を。俺なんかの性奴隷になれて嬉しいわけないだろ。こんな金で女を買う男なんて射殺されても文句は言えない。銃は持っていないだろうがな。




