第57話:ボクのカホルとボクのコヲリ
【人公アルシ視点】
「なぁ。カホル。コヲリ。ボクの追試が終わったら映画デートとかしねぇ?」
相変わらず図書室。ボクはカホルとコヲリに向かってデートのお誘いをしていた。そうしてニヤリと九王を見る。だが九王は科学雑誌を読んでおり、こっちに気付いた様子もない。
チッ。少しは羨ましがってくれることを期待していたんだが。
花崎カホルと二條コヲリとデート。こんなことが出来るのは学校全体で見てもボクだけだろう。
「あー、遠慮するかな?」
だがカホルがあっさりと却下してきた。
「理由を聞いても?」
「身の危険を感じるから」
このバカ女ぁ……ッ。
「コヲリは? コヲリはいいだろ?」
「……映画……ですか。……見たいのはありますけど」
「さっすがコヲリ。オススメの映画があるんだな?」
「……オススメ……というか気になってる映画ですね」
「じゃあソレにしよう。来週末でどうだ?」
「……構いませんけど。……予定だけ確認させてください」
そう言って、コヲリはスマホで予定を確認していた。同時に九王がスマホを弄り始める。なんかタイミングが一致しているんだが繋がってないよな? まぁそれはないか。コヲリがアカウントを九王に教えるわけもないし。そうして二人がスマホを弄ると、そのまま結論が出た。
「……来週末なら大丈夫ですよ」
よし。やっぱり持つべきものは幼馴染だよな。それもすっごい可愛い女の子。ボクは九王に優越感を覚えながらニヤニヤとしてしまう。ところで勉強はいつ終わるんだ?
「どうせだからカホルも一緒しねぇ? ボクも反省したし。一緒に。ね?」
「えー……」
「そんな嫌そうな顔しなくていいじゃん。コヲリの楽しみな映画なら期待大だしさ」
「ちなみになんて映画?」
「夏が空から降ってくる」
あー、アレか。役者が話題になってる青春映画。ボクはアクション映画が好きなんだが。
「……あくまでアルシくんが再追試にならなかったらですよ? ……今のペースだとギリギリだと思いますけど」
「大丈夫だって。本テストは調子悪かっただけだから」
「……ついでにゲームも禁止です。……家に帰っても勉強するように」
「それも分かってる。ボクを信頼してくれ」
「…………ボソボソ(……信頼してほしいなら赤点とらないでください)」
「じゃ、ボクが再追試回避したらカホルとコヲリと映画ってことで」
やっぱりボクって持ってるなぁ。羨ましいだろ? 九王。お前が幾ら学年一位をとってもカホルとコヲリを手に入れることは出来ないんだぜ?
「どうせなら九王くんも行かない?」
「……いいかもですね。……九王くんも来てくれると盛り上がるんじゃ?」
おいおいおい。それはねーだろ。こんな女食うことしか考えてない奴呼んだら事案だろ。さすがにそれはちょっとなぁ。カホルもコヲリも危機感が足りないっていうか。もうちょっとこうボクの特別感を演出してほしいよなぁ。
「じゃあ勉強しましょう。公式は気合で憶えてください。問題は幸いにもいっぱいあるので片っ端から解いてくださいね」
「……古文に関しては九王くんの指導も必要ですし」
クソ。こんな奴に教わることなんかねーよ!
「……英語は私も教えられるかもしれません」
まさかボクだって全教科赤点とは思わなかったんだよ。しょうがないだろ。ゲームが面白かったから。ボクのせいじゃない。
「本当に私たちがいないとダメなんだから」
「……やっかいな弟ですね」
「だからカホルたちが必要なんだよ」
「そうですか」
「……ふーん」
だからリアクションが軽すぎるって。
「で、九王くんは映画行きます?」
「いや、俺は興味ないかな」
「……奢りますよ?」
「そういう問題でもないかな」
よしよし。立場は分かっているらしい。そうだよ。カホルとコヲリと映画デートできるのはボクだけなんだよ。ボクだけの特権だ。
「じゃあ決まり。ついでにホムラも呼ぶか?」
「……忙しいそうにしているし、……今回は止めておきましょう」
「忙しいの?」
「……ええ、……まぁ」
その時はボクはホムラについてよく知らなかったんだけど。
「ふぅ」
そうして図書室での勉強も終わり。今日は解散ということになった。
「はぁ」
勉強は疲れる。ボクとしてもしなくていいならしたくない。けれどさすがに今日から追試まではゲーム禁止だな。追試さえクリアすればカホルとコヲリと映画デート。
ああ、ボクって何て幸せ者なんだ。
神美少女と二股デートとか選ばれし者としか思えない。二人ともおっぱい大きいし、セックスシンボルがムンムンなんだよなー。気付いたらエッチな女の子になっていた。そういうところも好きなんだがな。
特にカホルの爆乳とか。何度お世話になったか分からない。小比類巻さんとかグラビアしてるし、カホルもワンチャン。あー、でもボク以外の男にエッチな目で見られるのはなー。あくまでカホルはボク専用のドスケベ女の子でいてほしい。
そうして四人で勉強を終えて帰っていると。
「俺トイレ」
「あ、じゃあボクも」
そうして誰得かもわからない連れションが成立した。微塵も嬉しくない。便器を前にして用をたしていながら、ボクは気になったことを九王に尋ねてみた。
「九王ってさ」
「…………」
「カホルのことどう思ってるんだ?」
ちょっと牽制するように聞く。最近九王とカホルのカップリングが囁かれていた万年一位の花崎カホルを下した赤点王。スポーツ万能で勉強も出来てイケメンで。まさかカホルを狙っているとか。そう思える考えはボクにもあった。たまに会話していたり学食を一緒することもあった。もしも九王がボクのカホルにいやらしい感情を持っているならボクにとっては敵だ。カホルは幼馴染のボクとイチャイチャするのに忙しいんだから。
「どう……と言われてもな」
「好き……とか」
「好意的ではあるが……好き……か」
悩んではいるらしい。ということは脈無し? ボクの勘違い?
「ま、でも可愛いよな。幼馴染の人公が羨ましいよ」
おいおいおい。よくわかってるじゃないか。そうだよ。カホルとコヲリとホムラはボクのモノなんだよ。他の男に渡す気はない。ふん。さすがに分はわきまえているようだな。
「そっか。ちょっと学校で変な噂が流れててさ」
カホルと九王のカップリング。まったくふざけた話だ。カホルはボクのもの。カホルの処女もボクのもの。それはボクがカホルと幼馴染になった時から決まっていること。
いやー。ごめんねぇ?
ボクがカホルとコヲリとホムラと運命の赤い糸で繋がっていて。三人を好きな男子は可哀想だね~? ププッ。残念でしたー(笑)。
「まぁお前が追試に受かればだけどな」
それがあったか。だがそもそも九王がボクの勉強時間を奪ったのが悪いんだよな。巡り巡ってボクが勉強できなくなった。責任を取って欲しいけどボクは器が大きいから責めたりしないぜ。
ありがたく思えよ? 九王。
訴訟しないのはボクの優しさだと思ってくれ。ま、とは言ってもカホルとコヲリとデートするボクの方が男として上だがな!




