第56話:勉強できないのも個性
「だーかーらー。この時の式を適応させるには……」
図書室で私語は厳禁だが、勉強を指導する意味でゴツイ司書教諭には了解を得ており。いくらか声を小さくしてカホルが人公アルシに勉強指導をしているのだが。
「…………」
俺はそのカホルの対面で、片手の肘をついて科学雑誌を読んでいた。対面にはカホルと人公。で、隣にはコヲリがいた。よほど勉強をしてなかったのだろう。小さな声でガミガミ言っているカホルとコヲリの指導は控えめに言ってスパルタクス。そういや英霊になっているんだよなー。
「そもそもそこの範囲って四月の授業内容じゃないか?」
「だから困っているんですよ」
カホルの言はある意味正しい。二年の勉強範囲を全くフォローしていないとか、どういう了見だ。
「なわけで、学年一位の九王くんのお力を拝借したいと」
「役に立てるならなー」
科学雑誌をめくりながら適当に言葉をこぼす。で、そうやってカホルとコヲリがあーだこーだと勉強の真髄を叩きこんで。こと勉強では役に立たないホムラは先に帰宅。今日はマキノも家に泊まるらしく。まさか夕飯の準備を手伝うつもりじゃあるまいな、と釘は刺してある。なんで焼くだけで終わる目玉焼きで炭化させられるんだよって話。まぁメシマズもヒロインらしくはあるわけだ。
「カホル。この時の式は……」
「少しは自分で考えてください」
「コヲリ~」
「……教科書を熟読しなさい」
まぁ確かに必要なことは教科書に書いてあるんだが。ソレを熟読して、それでもわからなければカホルとコヲリが教えるという体裁を整えているのだが。俺は人公と仲良くなるつもりもないので、監督権限で科学雑誌を読むばかり。
その俺の、右隣に座っているコヲリが俺の右手をとる。自分の左手で。そうして左手で科学雑誌をめくりながら右手の誘導をコヲリに任せていると、彼女は自分の太ももに俺の手を誘導させた。スベスベの太ももを俺の指の感触が脳内に伝える。
さすがに右手が右肩に連動しているのであまり角度を付けると人公にバレる。なので必要最低限二の腕を傾けて、そこから机で隠れている肘を折り曲げ、俺の指がコヲリの太ももを撫でた。人差し指でツイーッとコヲリの太ももを堪能する。
「ッッッ」
自分から誘っておきながら、興奮しているらしい。コヲリのアドレナリンが過剰分泌されているらしい。というか想い人の人公アルシの前で、俺に太ももを撫でさせるのはいいのか? 寝取られじゃないか? まぁ俺はコヲリのご主人様ではあるが。
「…………」
まったく気づく様子のない人公アルシの目の前で、俺はコヲリの太ももを堪能する。さすがにスカートの中にまで手を入れると二の腕の角度でバレてしまうので、あくまで伸ばした人差し指で太ももを撫でる程度。そうしていると人公の物理の講義をしながら、コヲリは左手で、自分の左側面のスカートを摘まんで引き上げる。俺にだけ見えるようにスカートをめくったのだ。現れたのはレース付きのおパンツで、それを俺に見せてどうしようって言うのよ。めっちゃ興奮するけど。
「……おい」
「なんだ? お前に教わることはないぞ」
あー、さいですか。いや、俺がツッコんだのはコヲリになのだが。ピンク色の下着が俺にだけあらわになっている。そのパンツの腰の側面を俺の人差し指がなぞる。
おお。今俺は女の子のパンツを触っている。
「……よくできました」
「だろ? ボクもやるんだぜ?」
多分コヲリが言ったのは俺に対してなのだが。レース付きのドピンクおパンツを撫でる俺を褒めてくれたのだ。目の前で幼馴染を指導しながら俺とエッチなことをしている。そんなコヲリのメスに俺のオスもうずく。いかんな。さすがに学校でするわけにもいかんし。もってくれよ……俺の理性。突貫しなくていいからなウラキ。
「長い砲身にはこういう使い方もあるんだ……か」
メガビーム砲でもあるまいに。コヲリのおパンツを見るだけで俺のメガビーム砲はゼロ距離射撃をしてしまいそうだ。と、思っていると、ツイーッと今度はカホルの足先が俺の脛を撫でた。
お前もか。ブルータス。
「…………ッ♡」
俺に怪しく微笑む姿は魔性の美少女。ドピンクの髪は淫乱属性とは言うが、カホルにとって人公への勉強指導より俺とのエッチの方が大切なのか。俺はコヲリのパンツの側面を人差し指でカリカリとかきながら、カホルの足先を堪能する。そのカホルと言えば器用にも人公の勉強を指導しながら、それとは別個に俺の足を足先で弄んで、その足先が俺の股間に触れる。
「…………シャレになっとらんな」
「うるさい。そんなことは分かってる!」
いや、人公に言っているわけではなく。俺の股間を制服越しに足で挑発するカホル。カホルの足で股間を刺激され、隣のコヲリのパンツを弄っている。何も知らない人公は、俺が斜め対面で何をしているのか。まったく把握していない。
「大丈夫か?」
「だからお前に借りを作ることは……」
いや、俺が言ってるのはカホルとコヲリのエッチについて。まぁさすがに人公にバラすわけにもいかんのだが。
「ちょっと休憩にしようぜ」
そうだな。それがいい。
「コーヒー飲んでくる」
そうして席を立つと、人公は自販機まで去っていった。図書室からは距離があるのでしばらく帰ってこないだろう。
「コ~ヲ~リ~?」
「……カホルちゃんは人のこと言えないでしょう」
「アクヤ様に誘惑するのは平等に」
「……だからカホルちゃんは人のことが言えないと」
「お前らな。俺の性欲を刺激するな」
しかもあの人公アルシの目の前で。俺のメガビーム砲も限界だぞ。ゼロ距離射撃してもいいのか? デンドロビウムって「わがままな美女」って意味だっけ?
「アクヤ様を前にして発情するなって方が無理なんですけど」
爆乳を両手で持ち上げてタプンタプンと揺らすカホル。ブラ着用中なので揺れるというより揺らしているという方が近いが、それでもその大きさ相応のボリュームは圧巻。童貞の俺などあっさり撃沈。ついでに激チン。
「揉みます?」
「学校では無理」
一応図書室に俺たち以外いないことを前提に誘惑しているのだろうが。
「ちなみに。お前らって人公をどう思ってるんだ?」
「迷惑な弟」
「……手間のかかる幼馴染ですね」
あれー? 好きとかじゃないわけ? あーアレか? ツンデレ? でもコーヒー買いにいった人公にツンツンする理由もないような?
「ちょっと我慢できなくて」
「……ですです。……アクヤ様が隣に座っているのに何もしないのは」
「ホムラとマキノはズルいよね。同じクラスで隣の席でしょ?」
「……やっぱりパンツ見せてきたりします?」
「シテナイヨー」
嘘だとすぐバレた。
「そろそろ夏も近づきますし。パジャマもいらないかもしれませんね」
「……ですね。……下着姿で添い寝させていただきます」
エアコンガンガンに効かせて、か? まぁ俺もそういうことを期待してないわけじゃないが。人公に知られると新月の晩が怖いなー。返り討ちにするけど。




