第50話:幼馴染のネットワーク
【人公アルシ視点】
『今日のことはどういうことだよ!』
カホルとコヲリ、ホムラとボク。四人の共有の場で、ボクは当たり散らかした。
『どういうとは?』
自覚がない!? それともすっ呆けているのか?
『なんで図書室で九王なんかと勉強しているんだよ!?』
とぼけているのなら猶更。ボクの不満は止まらない。家に帰って、用意されていた飯を食って。それから皿洗いは後にして。ボクはSNSで幼馴染たちに糾弾していた。
『いえ。三人で図書室で勉強しようという話になって。ちょうど九王さんも勉強していたので一緒に、という流れです』
コヲリがそういう。
『あんな赤点常連の奴と一緒に勉強しても効率下がるだけだろ!』
『それはアルシに関係なくない?』
ホムラはホムラで容赦なかった。
『関係大ありだよ! 九王がお前らを狙っているのは目に見えてるだろ!』
『それはつまり九王さんが私たちを性的に見てると?』
『だよ! もっと警戒してくれ! アイツは女と見れば性的に見るしか能がないオスなんだよ!』
『『『そっかー』』』
三人揃って、何とも言えない答えを返してきた。
『だからな? あんな危ない奴に心を仮託するな。ボクの言うことを聞いて、もっと安全に学生生活をだな』
『でもそれはアルシには関係なくない?』
このバカ女どもが! ボクがこんなに心配しているのに! 他に言うことはないのか!? 頭湧いてんじゃねーの!?
自室のベッドに寝転がって、スマホをタップする。
『あんな女たらしに構っているだけ時間の無駄なんだよ! どうせ夜遊びして女を引っかけて泣かせるようなことをしているんだよ! アイツは!』
『ソースプリーズ』
『見ればわかるだろうが!』
そもそも金髪というのがあり得ない。ボクのように自然な髪色じゃないなんて不良の証拠だろ! まったく! どこに目を付けているんだ!
『でも、結構いい勉強会でしたよ?』
『だからソレはアイツの常套手段で……』
『そういうアルシは勉強していますか?』
『してるよ! あんな赤点常連と一緒にするな!』
『最近は授業態度も悪いと聞いたよ?』
それは……まぁ、寝ていたかもしれないけど。しょうがないだろ。ネトゲが期間イベントをやっているんだから。乗り遅れたらネトゲでアドバンテージを得られなくなる。となると夜通しゲームをするのは必須で。睡眠時間は授業とトレードオフだ。
『ゲームしていて寝不足と見ましたが?』
『いや、勉強してるって。それにボクは三組なんだから。成績は上の下だろ?』
『まぁ否定はしないけど』
『それよりホムラはどうなんだ? 勉強してるか?』
ここは話題逸らしだ。ホムラがボクたちの中で一番成績が悪い。だから心配するふりをして矛先をホムラに向ける。
『しているかと言えばしているけど。今回の中間テストは楽しみだぞ』
バカはバカなりに勉強しているのか。まぁいくら勉強していても勉強をしていないボクを超えることはできないだろうが。バカはどこまで行ってもバカなのだ。それは九王にも言える。
『そもそもあんな赤点常連に勉強教えても無駄だろう?』
ボクの根本の意見はそこにある。
『まぁある意味無駄だね』
『ですね』
『意味無いしねー』
だろう。あんなバカに関わるとロクなことがないんだ。ようやく分かったかバカども。
『それより今度勉強会しようぜ? カホルにも家庭教師してほしい』
『お断りします』
『なんでだよ!?』
『犯されそうで怖いです』
『そんなことしないって!』
まだあの事引きずってんのか。しょうがないだろうアレは! そもそもボクと手を繋いでくれなかったカホルに原因があるし。あんな映画デートなら手を繋いでキスしてエッチまでするのが普通じゃね? カホルもボクの事が好きなんだろ? だから今までいろんな男子に告白されても断ってきたんだろ?
『ちなみに赤点を取ったら対処を考えさせ貰いますからね』
『赤点なんてとるわけねーじゃん。九王でもあるまいし』
『まぁそうだね』
『そうかもですねー』
『知らないって怖いぞ』
何がだよ。
『だから勉強会をだな……』
『一人で頑張ってください。そっちまで行くの怠いですし』
『じゃあどこで一人暮らししてるか教えてくれよ。ボクがそっちに行くから』
『却下』
『拒絶』
『ノーセンキュー』
くそ! だからなんでだよ! そもそも一人暮らしをすることにボクが納得していないっていうのに! 幼馴染に無断で部屋借りるとかありか? それに一人暮らしならやり放題だろ。ボクとしてもラブホにいかなくて済むし。カホルもコヲリもホムラもボクの事が好きなんだろ!? そうだよな!?
『男連れ込んだりしてないよな?』
『当たり前でしょう』
そ、そうだよな。一人暮らしって言ってもその線引きはあるよな。ボクをかたくなに部屋に誘ってくれないからちょっと邪推したけど。まだ処女だよな?
『とにかく勉強だよ。カホル。ボクに教えてくれ』
『謹んでごめんなさい』
『だからあの時のことはゴメンって。何度も言うようにアレは全部カホルの勘違いで。だからボクは悪くないんだよ』
『それは納得してるよ』
それが嘘だと、この時のボクは知らなかった。
『でも勉強は家でも出来るし』
だーかーらー。それだとボクの勉強がだな。家に帰るとパソコン起動してゲームしてしまうから勉強に身が入らない。このままだと点数も危うい。さすがに赤点は取らないだろうけど、三組の成績としては底辺になりかねない。
『勉強はしているんでしょう? そう言っていましたもんね?』
コヲリが鋭いところをついてくる。
『まあね』
つい見栄を張ってそう答えてしまう。実際はかなりヤバイ。さすがにホムラには負けないだろうけど、それでも最悪を考えてしまう程度には。
『とにかく九王と勉強するくらいならボクとしてくれ。それだったらボクも何も言わないから』
『っていうか何でそんなに九王さんを敵視しているので?』
『敵視じゃない。心配してるの。カホルとコヲリとホムラがあんな馬鹿の餌食にならないように。隙を見せると犯されるんだから距離を置けって』
三人の処女はボクが予約してるんだから、危ないことはしてほしくない。それはカホルとコヲリとホムラの想ってくれているボクの優しさだと思えるだろ?




