第48話:G行為
「う……うん」
朝起きると、目の前におっぱいがあった。という比喩は比喩じゃないのだが。まぁたしかに比喩表現だった方がまだしも楽ではあったろう。
「ホムラか」
「あたしじゃ不満ですか?」
「んなこたーないが。ホムラ可愛いし」
「あたし、可愛い?」
「鏡を見てこい。美少女め」
「じゃあせめて抱いてくださいよ」
「い・や♪」
そうして俺は起き上がり、ダイニングへと顔を出す。朝飯は既に出来ていて。今日は木曜日なので人公アルシの家へのヒロイン派遣は無し。その事に安堵している自分と、「マズいだろうヒロイン」と危機感を覚えている自分がいる。どっちも俺だ。そうしてラリルトリオと飯を食って、学校の準備。そのまま登校。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
マキノがグラビアデビューしたことは学校側にも知られていた。仕事は禁止ではなかったので、学校側もとやかくは言わなかったのだが。それはそれとして学校中の男子がゲッソリしている。理由は分かっている。マキノのグラビア写真がエチエチ過ぎたのだろう。あれは抜くしかない。おっぱいがバインボインでスケベな水着を着ていれば、男の股間などすぐに天元突破だ。
「ま、いいんだけど」
俺は何時もの通り最後方の席に座って、マキノとホムラと談笑する。そんな俺が違和感のようなものを感じると。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
男子の一部が俺を睨んでいた。まるでマキノとホムラと話すのを妬んでいる様な。というか妬んでいるのだろう。実際に彼女と距離の近い男って俺だし。マキノもマキノで「自分を他の男にマウント取るためのアクセサリーにしていいっしょ」とか言っていたが、そんなことができるなら既に抱いているんだよなぁ。
「アークヤッ! 学食行くっしょ」
そんなわけでマキノと一緒に学食へ。そうしてアクヤとしてマキノと一緒に飯を食っているのだが。
「お前のエチエチ写真。流行ってるみたいだな」
俺は飯を食い終わった後、定食を食べているマキノの前でスマホを弄っていた。ネットでもマキノの評判は高かった。青年誌の掲載ということで、どこまで評価されるか不安だったが、思ったよりネットはアズキに食いついた。そういえば信濃シイナさんも言っていたっけか。アズキちゃんは売れると。
「今週末の撮影っしょ? 固定給が出ると嬉しいよねー」
まぁ金を稼ぐためにやっているところはあるしな。
「アクヤも抜いてくれていいんだよ?」
「すでに通過点だ」
「え? したの?」
「…………」
コックリ頷く俺だった。
「…………ヒソヒソ(あのさぁ。そういうのはあーしを直接抱けばいいじゃんって言ったじゃんよー)」
「はっはっは」
「笑い事じゃなくてー」
今の九王アクヤは童貞だ。マジで非モテの陰キャ。
「勉強はしているか?」
「まぁそこそこって感じかなー」
「中間テストとかで赤点とるなよ」
「アクヤが赤点連発って聞いたけど?」
「俺は親が学校に献金しているから大丈夫なんだよ」
「偏差値八十がそれ言いますか」
「はっはっは」
もう笑うしかねえ。
「で、マジでアクヤって何者で?」
「どこにでもいる社長の子息だぞ」
「あーしをプレプロに所属させるのも?」
「難しい話でもないし」
「ちなみに写真で抜くくらいなら……」
「自重しろ」
「おっぱい揉んで欲しいのに」
ゆっさと学食のテーブルにおっぱいを乗せてニコッと微笑むマキノ。
『アクヤ様。マキノのおっぱいアピールは罠です』
『揉んだりしたらいけませんよ。それより私のを……』
『巨乳がそんなにありがたいですかー!』
ラリルトリオからメッセージが来ていた。見れば少し離れたところで、こっちを窺っているラリルトリオ。俺が校内でマキノとエッチなことをしないか気が気じゃないのだろう。俺としては冤罪だが。
「揉む?」
「揉みません」
それだけはたしかな俺の意思表示で。揉んでいいと言われている俺のおっぱいが目の前にあって。俺は何故躊躇を?
****
【人公アルシ視点】
「は……は……は……うっ」
さすがに二回が限界か。それも二回目はすっごい薄いし。でも出せただけでも御の字だ。
「これは……やべえな」
中間テストも近づいているのに、今のボクは小比類巻さんのことで頭がいっぱいだ。マジで何も手につかない。これというのも小比類巻さんのグラビア写真がマズい。こんなエッチな格好されたら男なら抜くって。
「アズキ……か」
彼氏とかいるのかな? そういえばボクの自慢の幼馴染たちが懇意にしていたみたいだけど。どこかで共通点があったのかな? だったらボクに紹介してくれてもいいと思うんだけど。ほら、カホルたちの友達ならボクの友達でもあるだろ?
「さすがにもう出ない……な」
じゃあ勉強するか。とはいってもあまり身も入らない。今まではカホルたちと勉強会を開いていたから、なんとなく勉強する機会はあったんだよな。で、成績もそこそこだったし。ボクがやればできる子だと証明できるいい機会だ。勉強頑張るかー。
「でもその前に……」
ちょっとだけゲームをしよう。三十分くらいなら大丈夫だろう。コンセントレーション維持には息抜きも必要だしね。
「フーンフフン♪」
こんな学校のテスト前にイベントを発生させるなんて鬼畜か。運営は。ソレをあっさりプレイしているボクにも問題はある気がするけど。でもネトゲって面白いんだよなー。ガチャで高レア引いた時なんて脳汁ドバドバだし。
「おっと。もう朝か。今日もいっぱいゲームしたなぁ」
すうすると小比類巻さんのグラビアを思い出して。
「ちょ、ちょっとだけ」
そしてトイレに籠る。エッチすぎるだろ小比類巻さん。これじゃ襲ってくれって言っているようなものだ。ボクが何とか守らないと。そのためには小比類巻さんに近づいて。ホムラあたりから連絡先聞けないかなー。ボクが守ってあげないと小比類巻さんが危ない。だからこれは小比類巻さんを想っているってことだよな? きっと小比類巻さんもそんなボクに感動してくれると思うんだけど。
「うっ……はぁ」
そうして果てて、それからボクは学校の支度をする。寝不足あまりあるけど、まぁ別にって感じ。学校で寝ればいいんだし。最近授業聞いてないなー。寝てばっかりな気がする。あと小比類巻さんで抜くこと。あとでカホルに勉強会を打診するか。ボクが困ってるなら助けの手を差し伸べるのが幼馴染の義務だろ?




