第45話:球技大会(裏)
【人公アルシ視点】
「あー、寝過ごした」
月曜日の事。ボクはさっぱりと昼に目を覚ました。カホルは起こしに来てくれなかったらしい。まだ引きずってんのか。ボクに悪気はなかったってのに。
「腹減ったな」
金曜日にホムラの手料理食って以来だ。とりあえず適当にそこらの飯屋で食事して。学校はそれからでいいか。そう思ってスマホを覗くとクラスメイトからコメントが来ていた。
『おい、遅刻するな。人員カツカツなんだぞ』
などなど。とりあえず学校に来いというメッセージが多数登校されていた。
そっか。今日は球技大会だったな。つまりボクがいないとチームに迷惑かけると。
『すまん。朝から気分が悪くて。学校に連絡するのも苦労する有様だったんだよ。昼から行くから』
それでとりあえずの体裁を整えて、それから学校に連絡。今日は気分がすぐれなかったので遅刻の連絡が出来ませんでした。申し訳ありません。そのように言ってみる。
「それはしょうがないですね。わかりました。斟酌しますので無理しないでくださいね」
教師から温かい言葉を受けてボクはちょっと罪悪感。本当は寝坊しただけだが。
「気分が落ち着いたら昼からは出席しますので」
「無理しなくていいですからね? まずはご自愛ください」
いや、単なる寝坊なんで体調とかは別に……とか言えるはずもないが。そうして制服を着て学校に登校。昼飯は途中で見つけた行きつけのラーメン屋で済ませた。豚骨が利いた一杯。はー。助かる。そうして学校に登校。体操服に着替えて午後の部から参加する腹積もりだったが。
「ああ、ウチのバスケ部門はもう負けたから」
クラスメイトがあっさりとそう言った。
「え? 負けたの?」
「流石に五対四だとなー。お前がいなくて……ってわけでもねーよ。相手三年のガチチームだったから。人公がいても試合結果変わってねえって」
「あ、そっか。じゃあ問題ないな」
あっはっはーとボクは笑った。つまりボクの球技大会は始まる前に終わっていて、それが故にやることがない。じゃあどうしようか。今日は授業は無いし。カホルとコヲリとホムラとイチャイチャでもするか。どうせ三人とも暇しているだろうし。
「ふっ!」
カキーンとホームランが打たれる。野球の試合も大詰め。それはソフトボールも同じ。さすがに午後の試合はレベルが高いらしい。そりゃ強いチームが勝ち進んでいるから当たり前だけど。テニスは……見に行かなくていいか。野球とバスケを見るだけでいい。そうしてボクは何もしないまま球技大会を終えた。そうして全工程が終わる。プログラム通りではあった。その後に表彰。二年三組は一切勝てなかったらしい。だったら遅刻しなくても同じだったろうし、別に誤差の範囲?
「男子テニス部門。優勝者九王アクヤさん」
そこでボクはピクリとこめかみの血管が震えた。
「優勝おめでとうございます。その栄誉を称え、ここに表彰します」
そうして賞状を受け取って二ッと笑う九王。
「ちっ」
思わず舌打ちしてしまった。だが面白くないのはその通り。九王なんかがテニス部門で優勝。つまりウチのテニス部は弱小って事だろ? そんな小さな世界で満足して楽しいか? ボクなら虚無感を覚えるね。
「よ! 九王陛下!」
「九王くんかっこいい!」
「さすが九王だぜ!」
六組のクラスメイトから激励が飛ぶ。
「どもっす」
それに嬉しそうに応えて、それから六組の列に並ぶ九王。そうして球技大会は終わった。
「カホル!」
で、ボクはカホルに声をかける。
「何ですか?」
カホルが聞いてくる。
「打ち上げしないか? コヲリとホムラも呼んでさ。球技大会の……」
「えーと。それは既に予約が入っているので」
「え? だ、誰とだ?」
「女子四人でやることになっています」
「そこにボクを加えてさ」
「女子だけでやるので却下です。それではー」
「まだあの事怒ってんのか? さすがに許してくれてもよくね?」
理不尽とはまさにこのこと。
「あなたがキモデブのおじさんに掘られて許してあげてくれるなら、私もそうしますよ」
キモデブに掘られる。それは最悪の想像だ。
「でもさ。いい加減許してよくね? ボクだって悪意があったわけじゃ無くて」
「ソレを決めるのは私です」
断罪するようにカホルはそう言った。
「あ、カホル。行くよー。もうコヲリもホムラも準備できてるっしょ」
で、現れたのは小比類巻さん。金髪のギャルギャルしい女の子でパイオツがデカい。マジで何カップだ。
「ああ、行きます。それではね。アルシ」
「あ、ちょ……」
ボク抜きの打ち上げか。まぁ女子四人なら何の問題も……大丈夫だよな?
****
【花崎カホル視点】
私の名前は花崎カホル。今日は学校で球技大会があった。で打ち上げを企画している。とは言ってもファミレスだけど。
「それじゃアクヤ様の優勝を祝して。かんぱーい」
全員ドリンクバーのジュースを片手に乾杯。
「さすがですね。アクヤ様。決勝の相手。テニス部のエースだって聞きましたよ?」
「運が良かっただけだよ。ミスが少なかったのが最終的な勝因かな」
「……それでも。……アクヤ様の技術が素晴らしいのは議論の余地もありません」
「ありがとな。コヲリ」
「……えへへー」
「っていうかテニス部に入ったりしないの?」
「運動は筋トレしているし。勉強とゲームもしないといけないからなー。中々忙しいのよ? 俺も」
純粋なマキノさんの疑問に苦笑してアクヤ様はそう返す。
「でもでも。運動をしているアクヤ様はかっこよすぎです。正直濡れる」
わかる。わかるよホムラ。スポーツ選手としてのアクヤ様はマジでカッコイイ。その姿だけでワンパンKOだ。そう思っているとスマホがピロンとなった。見ればコヲリとホムラにもメッセが来ていたらしい。イランの奴だ。もちろんコメントはアルシ。
『今日はボクとお疲れ様会しない? うちでさ』
『断る』
『断ります』
『断るぞ』
三者一様にそう返す。今はアクヤ様のお傍にいることが性奴隷としての務め。アクヤ様が優勝したのだ。奴隷としてはソレを祝賀する義務がある。仮に義務が無くてもしただろうけどね。
「アクヤ様~」
で四人掛けの席に五人が座っており。必然片方には三人座り。公平にジャンケンで席決めし、私とコヲリがアクヤ様を挟むように座っている。
「カッコよかったですよ?」
「それは重畳」
「……本当に濡れました。……乳首がビンビンです」
「あのな? だからそういうことを言うのはな?」
「……アクヤ様は……私の乳首はお嫌いですか?」
んなわけねー、とアクヤ様。じゃあいいですよね、とコヲリ。それから話題は球技大会じゃなく乳首についての議論になった。誰の乳首が一番キレイか。それでマウントをとるのはどうかと思うけど、私だってアクヤ様に綺麗な乳首だと言われたいのだ。




