第35話:球技大会の選別
「のこりなく散るぞめでたき桜花ありて世の中はての憂ければ……か」
聞いたことのある和歌を詠みつつ、俺は学校へと登校する。六組の教室に入って、そのまま自分の席へ。
「ア~クヤ」
隣に座っているマキノが嬉しそうだ。ニヤニヤと俺を見て笑っている。
「…………ヒソヒソ(パンツ見る?)」
「じゃあちょっとだけ」
気にしていませんよみたいな態度でそう言って、チラリと彼女の方を見る。スカートの端を持ち上げて、俺にだけ見えるようにパンツを見せる。今日は見せパンらしい。可愛らしいソレだった。
「…………ヒソヒソ(うーん。あーしのパンツ見れるなんてアクヤの贅沢モノ♡)」
「脱げって言ったら脱ぐか?」
「ここじゃなかったらいいよ?」
さいですかー。でもそうだよな。俺とマキノはセフレなんだから。にしてもデカいな。マキノの胸は。椅子が低め設定で、まるで重いものを乗せるようにおっぱいを机に置いている。たしかゲームの設定ではHカップ。カホルと同じ数値だ。ただちょっとだけバストとウェストとヒップの数値が違うくらい。たしかお尻はカホルの方がデカいんだよな。そのカホルのお尻をペンペンしたのは俺のいい思い出だが。
「じゃ、席につけー」
そうしてホームルームが始まる。最初に伝達事項があって。放課後のホームルームで初夏の球技大会のメンバー選出をやるので、出たい種目を考えておけ、というお達しが。
「球技大会ねぇ」
別に何をやってもいいけど。何やろうかなぁ。
少しそんなことを考える。
「アクヤは何にするの?」
「集団のスポーツは面倒だし。テニスとか?」
「っていうか筋肉付きすぎでしょ。それでスポーツ無双とかするわけ?」
「別にそんなつもりはないが……」
「この時の英文の訳だが、九王、わかるか」
「鉄の天使を叩いて砕く、でいいでしょうか?」
「お、おお、正解だ」
どこか驚いたように英語教師は俺の翻訳に驚いていた。まぁ偏に真面目とも言えない生徒だったしゲームでの九王アクヤは赤点の常連。むしろ英文を翻訳できるだけでも神の領域……は言いすぎだが。
「アクヤ。教科書見せて」
「構わんが。忘れたのか?」
隣ということもあって、俺の机にマキノが机を隣接させて、そのまま英語を紐解いていく。俺は真面目に勉強をしているのだが、マキノはそんなことをするほど暇でもないらしく。俺の手を取って、その手を自分のスカートの中に押し込む。
「…………ヒソヒソ(っていうかー。ちょっと興奮した)」
「俺には何もできんぞ」
「…………ヒソヒソ(ほら、アクヤ、あーしのアソコ♡)」
とは言ってもパンツ越しだ。クチュッと濡れる音がした。
「シャレになっとらんのだが」
「…………ヒソヒソ(アクヤにならぁ……いいよ?)」
俺が何ともいないのは御承知で?
「…………ヒソヒソ(アクヤは悪い子だね)」
「お前に言えた義理か」
「…………ヒソヒソ(あーしも悪い子。だからぁ。もっと弄って?)」
「お断りだ」
ムギュッと彼女の頭を押し切って、俺は授業に戻る。
「もう。アクヤのいけず」
授業中に女子のアソコを弄る方が非常識だろ
「そこはアクヤのエロエロパワーで」
「だからな? 俺にも立場ってものがあってだな」
そんな感じで授業は進み。
「じゃあ球技大会の種目決めするぞー。我こそはって奴いるかー」
こういうのは最初が肝心。
「テニスを所望します」
「お、やる気十分だな。アクヤ。いいぞ。それはいい」
「じゃああーしもテニス」
そうしてマキノまで手を挙げた。もちろんテニスの服を着るわけではないので、スコートを履くわけではないのだが、それでもマキノのエロエロな体操服を見れる。そう思った男子生徒らがテニスに殺到した。
「残念だが、最初に手を挙げたアクヤとマキノはテニス一択だ。後の奴はくじ引きでどうにかしろ」
あとはバスケと野球だけだ。男子の部と女子の部に分かれているので、バスケに五人、野球に九人、テニスが一人で男女十五名ずつ。計三十名。俺とマキノは真っ先にテニスに手を挙げたので議論の余地なくテニスに配属。
「とは言ってもテニスかぁ」
五月のイベントである球技大会。そこで俺は何をするべきだろう?
「とりあえず打つか」
そうしてマキノと一緒にテニス部に顔を出す。
「すいませーん」
「あー。入部希望者?」
いや、さほど情熱も流儀も無いのだが。
「じゃあ……何?」
何でしょうね、とか言えればいいのだが。まさかそんなわけにもいかず。とにかく俺たちが何を出来るのかを考えなければならないわけで
「どうしたものだろう?」
「いきなり諦めモード?」
そりゃそうなりますよ。マキノはラケットを持って呆然とする。
「どうしろっての、これ。」
「とにかく打つか。それしかない」
「打つっていっても」
「打って打って打ちまくれー」
もうここまで来たらやけだ。とにかく打ちまくれ。そうして球技大会までに立派なテニスプレイヤーになるのだ。俺が表彰されることはないだろうが青春が飛び出すためには、立派な足が必要なのだ。
「ところでアクヤ」
「なんだ?」
「なんでテニス?」
「その場のノリ」
「…………」
「しょうがないだろう。あそこでやる気ありませんとか言えるか?」
「じゃあやる気はないと」
「ないな」
「テニスは難しいよ」
「大丈夫だ。鍛えてますから」
「だからそういう問題じゃ無くてですね」
「ツイストサーブ!」
「そんなことできるの!?」
出来ないとは一言も言っていないのだが。
「ところでテニスを選んだ理由は?」
「あえて言うなら、テニスが俺を呼んでいた」
「はいはーい。じゃあ練習頑張りましょう」
あれー? 艱難辛苦の美談とか聞きたくないわけ? 三十分くらいなら話せるぞ?




