第33話:ホルスタイン
「ふー」
一応尾行しておいてよかった。ラブハートでは最初の映画デートでカホルと人公がチャラ男に絡まれるイベントが発生するのだ。ソレを思い出したのが昨日のこと。それで俺は尾行を許可してもらったのだが。まさか人公がチャラ男に絆されて犯す側に回るとは。そこだけが予定外だった。
もしかしてエロゲーとは別の展開になっているのか? だとするとこれから俺はどうすれば。
九王アクヤという竿役は、どうやってヒロインたちを幸せにすれば。もちろんカホルもほのかに幼馴染の人公を想っているのだろうが、今回のことは致命的だ。二人の間に溝が出来た。コレを修復しなければならない。
「アクヤ様」
で、今日は牛柄の水着を着ているカホルが俺の目の前に現れる。爆乳に相応しいホルスタイン柄の水着だ。このままプールにでも言ったら男のおかずになること間違いなし。
「ど、どうですか? これ?」
エロいメス牛って感じでとても素敵だ、と言えばセクハラになるんだろうけど。首輪が付けられ、チリンとベルが鳴る。爆乳を押さえつけようともしていない溢れんばかりのスイカップがユッサユッサと揺れて俺を挑発する。
「エロイんじゃ……ないですかね?」
「エロイですかー。そうですかー」
「あ、お茶入れて」
「分かりました。緑茶でいいですか」
「OK」
そうして俺はホルスタインの格好をした水着姿のカホルを見る。もはやそれは肢体の暴力で。この身体を好き勝手出来る人公が羨ましい。本当に手を出していいなら、俺がそのまま頂いてしまうのに。
今のところカホルにとって人公の印象は最悪だろう。何故人公があんなことになったのかは俺にはわからなくて。ちょっとだけ想像するなら「裏切られた」と思ったのかもしれない。とはいえあの性欲に沈んだギラギラした目を見たら謝られても説得力ないだろうな。実際に帰り際のカホルは人公に塩対応だったし。というか、もしかしてナンパから守った俺の好感度が上がってるんじゃないか? ま、マズいって。こんな竿役と恋仲になってもカホルには未来がない。ヒロインはすべからく幸せになるべきだ。そのためには俺は邪魔な存在なのだ。
どうすっかな。とりあえず人公のフォローをすべきか。
『あいつも悪気はなかったと思うぞ』
『ちょっとお茶目な面が見れたな』
いくつか人公をフォローする言葉を探す。
ダメだ。どれもフォローになってねえ。っていうか俺が人公をフォローすると、なんか俺まで嫌われそうで怖い。いや、性奴隷に任命しているだけで嫌われて入るんだろうけど、その嫌われ具合を可視化したくない。
「アクヤ様。お茶が入りましたが……」
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ。私はアクヤ様の奴隷ですので。これくらいはさせてください」
「ちなみにだが、それってお前は納得してるのか?」
「ええ、アクヤ様がお望みなら今ここででも」
牛柄のデザインをした爆乳が、ユッサユッサと揺れて、ダイニングテーブルに据え置かれる。マジで大きすぎだろ。これじゃあ俺もさっきのナンパ男と何も変わらない。けどホルスタインの格好をした爆乳美少女って、まさにメス牛って感じで性欲をそそられる。
「揉んでみますか?」
「い……い……ので?」
「もちろんですとも。これは全部アクヤ様のモノですよ?」
そ、そっかー。俺のモノか。
「アクヤ様が仰ったんじゃないですか。俺の女だって」
「いや、それは言葉の綾で」
「私では駄目、ということですか?」
「そういうわけでもないんだがー」
コトッと音がした。湯呑で緑茶を飲んでいる俺の、その隣にカホルが来て、そのまま俺の隣に座る。カホルさん? 距離が近いようですが?
「アクヤ様?」
「ひゃ、ひゃい……なんでしょう?」
「キス、しませんか?」
「キスですか?」
「キスです」
「ちなみに何故と聞いても?」
「子宮が疼きます」
「子宮が?」
「アクヤ様に孕まされたいと疼くんです。だから私とキスしてください。セクロスが出来ないなら、せめてキスくらいはさせてください」
「えーと。そういうのは好きな人と」
「アクヤ様を愛しております」
いや、だからお前には人公がだな。
「ん……ちゅ……」
「ッ……ッ……」
だが俺の許可もなく、カホルは俺にキスをした。
「アクヤ様ぁ♡ アクヤ様ぁ♡ はぁ♡ はぁ♡」
そうしてついばむだけのキスをして。俺たちは距離を取る。やっべー。カホルのキスは甘すぎる。なんか味なんてしないはずなのに、カホルの匂いがそのまま唇に集まったかのような。甘くてクラクラする味だ。
「はい。そんなわけでアクヤ様の許可なくキスをした痴れ者です。私は。罰をお与えください」
罰? 何をしろと? 一週間飯抜きとか?
俺が悩んでいると、俺が座っているダイニングテーブルの席の隣で、ムチムチプルンなお尻を差し出すカホル。ホルスタイン柄のパンツを履いており、そこから牛のしっぽが伸びている。
「もちろんはしたないメス牛への罰なんて決まっています。お尻ペンペンの刑ですよ」
「…………つまり……その」
「叩いてください。遠慮なく。ご主人様を穢した愚かなメス牛に罰をください」
叩いてって。このデカ尻をか? 俺が無遠慮に? 叩いていいのか?
「アクヤ様ぁ♡」
尻を振って誘惑してくるカホル。そこで俺のリミッターが振り切れた。
パァン!
気付けば、俺は全力でカホルの尻を叩いていた。
パァン! パァン! パァン!
叩かれた尻がプルプル震えて、パンツで隠れていない部分に俺の手形が赤く付いた。
「お♡ お♡ お♡ アクヤ様の処罰ぎもぢいいぃぃぃぃ♡」
もはやヒロインとしてどうなんだと言わんばかりの声がカホルから漏れた。
「この発情したメス牛が! ご主人様を何だと思ってる! ほら鳴け!」
「も、モー♡ モーモー♡」
「本当に反省しているのか? このメス牛が!」
パァン! パァン! パァン! パァン! パァン!
「も、モー!♡ モーモー!♡」
ついにモミジのようにカホルの尻が俺の手形だらけになる。もはや見るのも躊躇われる真っ赤な尻だ。
「謝罪しろ。カホル。土下座でだ」
言われて、尻を引っ込めて、そのままユッサユッサと揺れている胸を床に下ろし、深々と頭を下げて、カホルは土下座をした。
「卑しいメス牛の分際でご主人様の唇を奪ってしまい申し訳ありませんでした。以後このようなことは無いよう努めますので、どうか土下座した私の頭を踏みにじるだけで勘弁していただけませんか……」
「こうか?」
そう言って、俺は土下座しているカホルの頭を踏みにじる。
「お♡ ほぉ♡ 踏みにじられてるぅ♡ アクヤ様に踏まれてるぅ♡」
後で俺は自覚した。やっぱりなんだかんだ言って俺は今、九王アクヤだったんだなぁと。童貞があんなことできるわけないし、根本の部分で俺はクズ男だったんだと自己嫌悪。
もちろんG行為が捗り過ぎて、五ラウンドほど戦った。




