第30話:なにか忘れている気がするのだが
「うーん」
週末の事。マキノと一緒にグラビアの撮影も終わって、俺は部屋に戻っていた。そうしてラリルトリオとマキノと一緒に飯を食って。その後は日課である筋トレ。腹筋と腕立て伏せを千回ずつ。この身体は鍛えれば鍛えるだけ筋肉がつくからいいよな。只野ヒートの時なんてガリガリもいいところだったのに。
ところで明日はカホルが人公と映画デートをする日だ。俺的には是非とも人公の頑張りに期待したいところ。やっぱりヒロインは幸せにならないと。それも主人公と仲良くなるのが一番。
「そのー。アクヤ様……」
で、俺が筋トレを終えて汗を拭いていると、カホルが話しかけてくる。明日の予定で何かあるのか……と思ったが。
「ちょっと汗を舐めていいですか?」
思ったより上級者な提案が来た。
「舐めるのはいいが」
「あはぁ♡ ありがとうございます♡」
そうしてカホルは俺に近づき、その腹筋に流れている汗を舐め始める。ほぼ変態の所行だが、彼女にとっては御褒美らしい。
「ん♡ ちゅ♡ ちゅぱぁ♡ れろ♡」
バッキバキに割れている俺の腹筋。その腹筋に流れる汗を舐め取るカホル。その舌は俺の身体を這って、そのまま胸板まで来て、首筋へと到達する。俺の汗をどこまでも舐めたいという感情が溢れ出し、そうして唾液が俺に纏わり。
「はい。そこまで」
首筋を舐められると俺としても対処が難しいので、ここで終わり。
「じゃあせめてアクヤ様の汗を拭いたタオルをください」
「おかずにするのか?」
「はい♡」
そっかー。即時肯定かー。
「アクヤ様の汗♡ 男らしい汗です♡」
「ああ、じゃあ好きにしてくれ」
そうして俺はシャワーを浴びるために浴室へ向かう。今日はカホルと添い寝するターンで、そのカホルは俺のタオルに夢中。なにやら高い声が聞こえてくるが、きっと気のせいだろうと俺は十字を切った。で、何をどうするでもなく。
「ふい」
シャワーで汗を流して、そのまま入浴。はぁ。いい感じ。ただなぁ。何かなぁ。忘れている気がするんだよな。何だったかなぁ?
「明日はカホルが人公と映画デート……か」
仲良くなるのは一向にかまわないのだが、あのデートってたしか途中でチャラ男に絡まれるんだよな。で、人公が勇気を振り絞って撃退。そうしてカホルがキュンとなるイベントだ。まさに王道。エロゲー主人公はやるときはやるんだという典型。であれば心配することはないはずなんだが。どこかでそれに疑問を持っている自分もいる。思い出すのはホムラを詰っていた人公の姿。責任転嫁して自分のミスをホムラに押し付けようとした人公。そこでちょっとだけ懸念を持って。風呂上がり。俺はカホルに聞いてみる。
「なぁカホル」
「あ、はい。何でしょうか?」
「明日のデートさ。俺が尾行していいか?」
「構いませんけど。何か不穏な点でも?」
「ちょっと嫌な予感が」
なんも根拠が無いので、俺から言えることはそう無いのだが。
「じゃあ庵宿区の駅で待ち合わせをしているので、そこに付いてきてくださると」
「すまん」
「いえいえ。アクヤ様が護衛につくなら三百人力です」
「多分大丈夫だとは思うんだが」
膨らむ懸念が消えてくれない。
「はー。では今日も添い寝ですか?」
「ああ、頼む。一緒に寝てくれ」
「そのー。セクロスも無し?」
「そういうのは俺以外とやってくれ」
例えば人公とか。
「女の子は逞しい男性に滅茶苦茶にされたいんですよ?」
「残念だったな」
「アクヤ様は意地悪です」
はっはっは。そうして俺たちは寝室に行き、一緒に添い寝して、そのまま。
「はぁ。カホルの身体は最高だな」
ギュッと彼女を抱きしめて、その柔らかい身体を堪能する。いい匂いがして、頭がくらくらする。朝三暮四をしていなければ、そのまま襲っていただろう。
「その。アクヤ様……」
「どうかしたか?」
「私を抱いてくださらないのはよくわかりましたけど……」
まぁな。
「キスも……ダメですか?」
「キス……ですか?」
「キス……です」
カホルの顔は真っ赤になっていた。おそらく清水の舞台から飛び降りる覚悟で言ったのだろう。それに応えられるかと言われると、なかなか難しく。
「それも好きな人にとっておいた方がいいような」
「私は。アクヤ様と。キスが。したいのです」
一語一語区切って、そういうカホル。俺が彼女を抱きしめて爆乳を胸板に押さえつけているのだが。このままキスをすると最後まで行ってしまいかねない。
「私じゃ不足ですか?」
「そういう聞き方はズルい」
「あ、ごめんなさい……」
シュンとなるカホル。しかしキスかぁ。キスねぇ。してもいいというか俺としてはめっちゃしたいのだが。
「いい……のか?」
「私がアクヤ様としたいんです」
同じことをまた言うカホル。
「じゃ、じゃあ、よろしく」
俺が遠回りに肯定して、そうして真っ赤になっているカホルが俺をすぐそばで見つめる。というか抱き合っているんだから、顔が近いのは必然。多分俺も顔が真っ赤になっていると思う。
「アクヤ様……」
「カホル」
そうして二人の唇が近づいて。
「ん」
「ん」
俺とカホルはキスをした。ついばむような軽いキス。それだけで俺の股間はシンギュラリティ。さすがにここでカホルを襲う真似はしないが、ちょっと性欲を持て余しているのも事実で。なんで九王アクヤってこんなに性欲が強いんだろうな?
「んッ」
さらにカホルが俺にキスをしてきた。もうどうにも止まらない。
「ッ。ちゅ。はぁ。はぁ」
性的に興奮しているのは俺だけじゃないらしい。カホルもまた興奮しているようだ。とはいえその処女は人公に捧げるべきもので、俺が頂いていいわけじゃ無いのだが。ままならないなぁ。エロゲーの竿役って。
「アクヤ様。アクヤ様がお眠りになられた後、ここで私を慰めていいですか?」
「好きにしてくれ」
カホルのG行為は興味あるが。ここはいっそ寝たふりをして彼女のニーオナを観賞するか? それもアリではあるんだよな。カホルは俺の性奴隷だから。




