第26話:朝三暮四
朝三暮四という言葉がある。誰でも知っている四字熟語で、意味は目先の差を重視するが故に総合的に何も変わっていないことに気付かない愚か者を揶揄する言葉なのだが。
「ふ……ふっ……んぅ……」
俺にとっては深刻な意味合いを持つ。いわゆるG行為の回数が朝三暮四なのだ。朝に三回して、暮れに四回する。逝くときに放出されるアレがどこで精製しているのか分からない人体の神秘で。恐ろしいまでに性欲が強く、ついでに枯れるまでに朝でも三回は必須。日が落ちると四回やってようやく鎮まる。
「ふー…………」
で、今日の朝のミッションを終えて、俺はカホルとコヲリとホムラと朝食を食べる。
「今日はとろろ昆布のお吸い物にしてみました」
「ん。美味い。やはりお前らの料理は美味しいな。ありがとう」
「いえいえー。こういうのは愛が全てですので~」
愛、ね。その意味をツッコむのも野暮なので俺はホケーッとしていた。カホルが問う。
「ところでアクヤ様。全国模試受けましたよね?」
「一緒の教室で受けたろ」
「結果はどうでした?」
「まぁボチボチってところ」
「勉強している姿は見ていますが、ちょっと信じられない気持ちで」
たしかにあの九王アクヤが全国模試はへそで茶が沸くだろう。
「成績は?」
「点数は覚えていないが。偏差値は八十だったな」
「「「……は?」」」
カホル、コヲリ、ホムラがポカンとする。失礼な顔だが、それを是正する気もなく。
「全国で九十八位。まぁさすがに教師も驚いていたな」
「全国百位以内……ですか?」
そう言ってる。
「成績表見せてください!」
見るのは構わんのだが。そうして俺は模試の結果を見せて、それで大体悟られた。
「本物……ですよね?」
「画像加工で作る可能性を考えると、どうやって証明したものか分からんがマジだな」
「スポーツ出来てイケメンで…………勉強まで出来るんですか?」
「イケメンねぇ」
俺は恥ずかしくて頬をかいた。
今日は火曜日。人公アルシの家にヒロインを派遣する日ではない。
「じゃ、学校行くか」
そんなわけで学校へ。駅まで車で送ってもらって、そこから駅を通って学校へ。電車までは四人一緒だ。痴漢が出るかもしれない、とラリルトリオに言われて。俺の性奴隷が俺以外に嬲られるのも不愉快なので電車では一緒にいて、電車を降りた後で他人の振りをするようにしていた。
「ふー……」
一応今のところ凪だ。あまりに強い性欲も、朝に三回すれば少しは疲労を覚えると言える。このまま枯れてしまえと思うのだが。竿役ってこんな辛い性欲を抱えて生きてんの? そりゃ女子の一人や二人は犯すよ。
「アークヤッ!」
で、俺がどうしたものか悩んでいると。ニコニコ笑顔でマキノが抱き着いてきた。俺を抱きしめることで爆乳が背中に押し付けられているのだが。その柔らかさというか、ブラ付きの硬さまで含めて天国。ヘブン。女子とはまこともって不思議な生き物だ。
「ああ、マキノ。土曜日は空いてるか?」
「予定は無いよ。あーしがアクヤのために予定空ける予定はあるけど」
「じゃあよかった。グラビアアイドルデビューしてもらうぞ」
「あー、前に言ってた」
「そ。エロエロな服を着て写真撮られるの。まぁ多分水着だが」
「そういうのってどうすればできるの?」
「まぁ事務所に所属するのが一番だな。なわけで名刺切って、九王グループの抱えている事務所に頼んで、お前を所属させた。週末は撮影があるのでそのつもりで」
「人気出ると思う?」
「出なかったらまた俺のセフレでもすればいい。一緒に寝てやるから」
「この男寝るだけだもんなぁ」
さすがにセクロスはな。童貞にはきつすぎるって。
「事務所に所属すれば仕事なんて幾らでも入ってくる。特にウチは景気がいいから。漫画雑誌だったりなんだったり。色々とグラビアアイドルの仕事を待っている業界は多いぞ」
「水着とか着るんだよね?」
「そうなるな」
「おっぱい大きいのも一つの才能?」
「だと俺は思っている」
「うん。じゃあ頑張るよ。応援してくれる?」
「もちのロン」
何せ俺も同行するんだからな。マキノのエッチな水着かぁ。今からでも興奮する。やべ。九王アクヤの性欲がムクムクと。落ち着け俺。学内で致すわけにもいかないので鋼の意志で抑え込む。
「アクヤが抜けるって言ったんだよ?」
「実際お前はエロイんだよ。そのドスケベボディをどうしてくれよう」
「好きにしていいからね?」
「だからそういうことをだな」
言うなって話で。
「…………ヒソヒソ(あーしのパンツ気になる?)」
「超気になる」
「…………ヒソヒソ(触って確認してみる?)」
だからお前は俺をどうしたいのよ。
「…………ヒソヒソ(これはお礼だから)」
じゃあせめてグラビアで頑張ってくれ。
「それは頑張るよ。あーしだってお金欲しいし」
「後は運否天賦だな」
「っていうか既にグラビアアイドル?」
「ああ、勝手に事務所所属させたから。既にアイドルと言えるな」
「マジかー。あたしが芸能人……」
「なわけで社会的責任とか発生するが勘弁な」
「勘弁はいいんだけど、あ、今日はそっちに泊まっていい?」
「構わんが。お前もよくよく平日に男の部屋に泊まれるな」
「アクヤはあーしのスポンサーだから」
ついでにプロデューサーでもある。そうしてトントン拍子で話は進み。
「うおーっ!」
暮れの四回。俺はトイレで自らの幻影と戦っていた。四ラウンド戦い抜いて、そうして身の内に眠る獣を抑え込み、そうしてベッドに寝転がる。すでにマキノは寝転んでいて。
「アクヤって頭もよかったんだね」
「照れる」
照れるモノでもないが。
「はい。御褒美のおっぱいアイマスク。とりあえずはコレで我慢して」
「むしろ我慢できなくなるんだが」
性欲の疼きが酷い。このまま押し倒してマキノを無茶苦茶にするに一票。実際にアクヤとしての肉体の性欲ははっきり言って異常だ。
「やっちゃっていいからね?」
「ガチで? 俺が?」
「ガチで。アクヤが。その……大きいし」
そりゃ竿役なんだからデカいに決まっているだろう。ゲームプレイ中はヒロインたちが何度甘い嬌声を上げたことか。無理矢理襲ってて手籠めしようとするアクヤは鬼畜。そのアクヤが俺か。そもそもなんだよ朝三暮四って。やり過ぎだろ。




