第22話:コヲリの仕事と御褒美
【アルシ視点】
「……ほら……起きる!」
シャッとカーテンが開けられ、そうして朝の光が差し込む。ボクが嫌々起き上がると目の前にはコヲリが。綺麗な髪の、とてもかわいい女の子。ちょっとクール系というのか。あんまり表情は豊かではないけど、「それがいい」と学校では評判。さすがにカホルみたいな爆乳ではないけど、それでも巨乳と呼んで差し支えない立派なモノをお持ちで。挟まれたいなーとは常に思っている。ソレを言うわけにもいかないんだけどさ。
「……起きてください。……アルシくん。……遅れますよ」
昨夜は深夜までネトゲをしていた。とはいえ怒られたくなかったから二時くらいで切り上げて寝たのだ。ボクってこういうところしっかりしてるよなぁ。
「……朝御飯です」
で、起きた先のダイニングで、サラリと出されるコヲリの手料理。ボクはソレを頂いた。美味しい。カホルにしろコヲリにしろホムラにしろ全員料理が上手い。こんな美少女三人と幼馴染のボクって生まれただけで勝ち組。人生イージーモード。
「くあ……」
「……昨夜は何していたんですか」
ネトゲ。というわけにもいかないのは百も承知なので。
「勉強してたよ」
「……殊勝な心掛けですね」
そのまま制服を着て登校する。あの二條コヲリと登校。これ以上の幸せがあろうか。いやないね。実際にコヲリを見る目は憧憬のソレで。ボクたちは仲睦まじい幼馴染であるが故に近づくことができる特権を持ち。周りから羨ましがられながら登校路を歩く。
「二條さん……だよな?」
「姉妹のどっちかはわかんないけど」
「でもいいよなぁ。人公。あの三人と幼馴染なんだろ?」
もちろんですとも。だからカホルとコヲリとホムラはボクのモノだ。誰にも渡さない。問題は三人とどうやって付き合うかだよなぁ。三人から一人を選ぶなんて、そんな残酷なことできるはずもなく。三人ともボクが好きだろうし。だって今まで男の告白は断ってきている。
はい論破。
ボクが告白してくるのを待っているのかな。でもさぁ。こういう時って女子から告白するモノじゃない? がっついた男に見られるのは不本意だよなぁ。
「コヲリって好きな人いる?」
「……ええと……何故?」
「いや。いるかな……って」
「ええと。まぁ。気になる人なら」
もう。その気になる人がボクってわかってるから。告白してよ。そしたらOKするからさ。カホルの爆乳には負けるけどコヲリだって立派なモノをお持ちだ。ボクとしてはギリ合格ライン。好み的にはもうちょっと大きくてもいいんだけどね。
「……アルシくん?」
「あ、はい」
「……気持ち悪いので胸を見ないでください」
あかん。バレテッラ。でもしょうがないじゃん。コヲリの胸が立派過ぎてさ。
「ごめんごめん。気を付けるよ」
「……そうしてください……怖気が走るので」
えー、でも好きな人におっぱいを見られるなら女子として本望じゃない?
「……勉強は出来ていますか」
「昨日も結構遅くまでしていたしね」
嘘だけど。
「……成績を落としたらヨーロッパ行きですよ?」
「分かってる。だから頑張っているじゃないか」
「……その殊勝さは褒めてあげましょう」
ツンと前を向いて、それだけ。さすがクーデレのコヲリ。氷のように凛としている。
「ほら。学食に行きますよ」
水曜日はコヲリの担当ということで二人で学食へ。ボクと一緒にご飯を食べる。うん。美味い。マーボー丼は。
「……授業態度に改善が見られない、と報告を受けておりますが?」
「大丈夫だって。赤点は取らないからさ」
「……取ったら割腹モノですよ」
今までも何とかなったんだ。ゲームと勉強の両立は出来ているつもり……あれ? でも最近はゲームしかしていないような。親がいないので止め時が見つからないんだよなー。誰も止めないからついつい深夜までやり込んでしまう。
「赤点とったらゲーム禁止ですからね」
「分かってる。ちゃんとするから」
これが証明書の文言にもなっていないことを果たしてコヲリは理解しているのか。いや、だって最近のあのゲームはイベントクエストが熱い。ぶっちゃけかなり面白いのだ。
「…………」
そうして学食で飯を食いながらチラリと端っこを見る。そしてデッッッッッなモノを持っている女子を見つける。小比類巻さんだ。既に学校中が噂をしているらしい小比類巻さん。ボクも近くで見たことあるけど、あの胸は反則。カホルと同レベル。しかも金髪のギャルで誰にでも気さくというとても明るい人。彼女に惚れている男子は数知れず。今までボクの幼馴染三人が学校では人気だったけど、今はそこに小比類巻さんが数えられる。どうせだから小比類巻さんもボクを好きになってくれないかな。そう思って対面を見ると。
「…………」
「……どうかしましたか? ……アルシくん」
「いや、ちょっと」
「……?」
そうしてコヲリも視線を振って、小比類巻さんともう一人、九王アクヤを見る。あの小比類巻さんがアクヤと仲良く飯を食っている。そのことがどうしても許せない。九王ってアレでしょ? 赤点連発で進級が危うくなったって。そんな将来性のない男と話して何が楽しいんだか。その点ボクはそこそこの成績だし。九王の数十倍は将来性があると思うんだけど。そんなことを思っていると、九王さんが席を立ち、ソレを見送るように小比類巻さんが手を振る。そうして九王は去っていった。
もしかしてフラれたのかな? いい気味だ。
あんな六組の底辺野郎に小比類巻さんは相応しくない。今度ボクが勉強教えてあげようかな? いやほら。平均よりは勉強できるし。それにカホルを誘ったら爆乳同士で勉強会が始まるんじゃないか? やべぇ。滾る。
「……アルシくん。……用が出来ました。……食べ終わったら教室に戻るんですよ」
スマホを見ながらそんなことを言って、そうしてコヲリは消えていった。ボクより優先する用事って何だろ? 友達よりボクじゃないか? 優先されるべきって。
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【コヲリ視点】
校舎は走ってはいけないので、速足で私は屋上まで行きました。学校にしては珍しく私立アルケイデス学園は屋上が解放されています。ただ厳密には利用禁止なんですけど。堕ちても責任はとらんぞという学校側の意志が感じ取れます。
「……あの……アクヤ様?」
そこで私は呼び出しを受けました。アクヤ様が会いたいとメッセージを送ってくださいまして。屋上で待っているとのこと。そうして私が現れると、アクヤ様はギュッと私を抱きしめます。強く。逃すまいと。
「……あ……の? ……アクヤ様?」
アクヤ様の側から好意を示されるのは得難い幸運。だけど私はアクヤ様を駆り立てている感情の正体を知りません。えーと?
「ごめん。ただのワガママ。ただちょっとだけ、コヲリを抱きしめたかった」
「……そんなことなら幾らでもどうぞ。……私はアクヤ様の御所有なされるモノですので」
私はアクヤ様の大人のおもちゃだ。だから抱きしめたいのなら幾らでも私を抱きしめていい。この後は授業が終わるとアルシくんの部屋に行って、今夜と明日の分の食事を作らなければならない。でもそれはそれとしてアクヤ様の寵愛を頂けるのは光栄で。
「ありがとう。だからソレを言い訳に俺はコヲリに甘える」
「ご主人様ぁ♡」
太い腕も、硬い胸も、高い背も、全部が私のマスト。アクヤ様、しゅきぃ♡




