第18話:マキノとアルシ
【人公アルシ視点】
「ほら。行きますよ。アルシ」
ボクの手を引いて学食まで向かっているカホル。ピンク色の髪のとってもかわいい美少女で、ついでにおっぱいも大きい。小顔だし、瞳も大きいし、愛らしいマスクで誰だって推すだろう。そんな可愛い女子がボクの手を引いて学食へ。羨ましそうな視線が心地いい。ボクはカホルと幼馴染だから、彼女の好意を余すことなく受けることができる。今日だって月曜日ということでボクの家までお邪魔して起こしてくれたのだ。朝食を作ってくれて、ソレを食べた後、一緒に登校。昨日はネトゲで徹夜してたけど、それは午前中の授業でぐっすり寝て大丈夫。とにかくカホルが起こしてくれたからボクは遅刻をせずに済んだ。水曜日はコヲリが。金曜日はホムラが。それぞれお世話してくれるという塩梅だ。
マジで勝ち組じゃね? ボク……。
「言っておくけど。昼ご飯くらい奢ってもらうからね?」
「分かってるよ。何がいい?」
「肉豆腐定食」
またそういう渋いチョイスを。
「いいの。豆腐は大豆だから糖質抜けるのよ」
白米食べれば一緒じゃないか?
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
衆人環視の視線が心地いい。俺をここまで世話してくれるカホルの行動が不審なのだろう。残念だったねー。カホルは僕の幼馴染だから。
「夕餉は何を作ってくれるの?」
「アスパラガスの炒め物とポテトサラダ。あと御飯」
「えー。肉は?」
「ベーコンでも焼きましょう」
ならいいか。
「ありがとね。カホル。カホルが幼馴染でよかった」
「迷惑をかけている自覚はあるみたいね?」
「そりゃ、まぁ、そうだけど……でもこうして助けてくれるじゃん?」
「死なれても困るしね」
「悲しんでくれる?」
「いえ。香典を包む金が勿体ないだけだよ」
そこは悲しんでくれると嬉しいんだけど。まぁ気安い幼馴染ジョークだな。
「あっれー。カホルじゃん。学食?」
で、そんなボクとカホルの昼食に割り込んでくる存在。声で女子だと分かったけど、ボクたちの会話に割り込んでこないでほしい。と、思ったのだけど。
デッッッッッ!
声に出さなかったのは奇跡に近い。カホルはこの学校で一番胸が大きい。そのカホルに匹敵するレベルのおっぱいの女子がカホルに声をかけていた。髪色が金髪で、メイクバッチリのギャル。どう見ても清楚系のカホルと接点が無いと思うんだけど、美少女同士で気でも合うんだろうか。
「今日はー。あー……。あーし邪魔?」
「滅多なことを言わないでよ」
嫌そうにカホルが言う。そうだそうだ。邪魔ではないけど邪魔。いや、でも、その胸は。
「ま、友達が席とっててくれててさ。じゃあねー」
「ええ、良き昼食を」
ヒラヒラーとカホルがさっきのギャルに手を振る。
「え? 知り合い?」
ボクが呆然として聞く。
「まぁ。そうだね」
肉豆腐を食べながらカホルが言う。そっかー。知り合いかー。ということはカホルを通じてボクにもワンチャン……。いやー、凄いもの見た。カホルに匹敵する胸の持ち主がいようとは。学校で噂になっていればいいのに。完全にノーマークだった。
「もしかして連絡先知ってる?」
「知ってるよ?」
「じゃあ教えてくれない?」
「変態」
カホルが即断した。いやいや、とボクは釈明する。
「ほら、カホルが友達っていうならボクからも挨拶するのが義理かなって」
「大丈夫ですよ。そういうの気にしないサバサバした性格だから」
はー。あんな爆乳ギャルがカホルの。あ、でもカホルも負けてないし。ちょっと嫉妬心煽ってボクのモノにできないかな。
「可愛かったね」
女子の前で別の女子を褒める。これは女子にとって座視できないだろう。
「そうだね」
けれど帰ってきたのは四文字。特にカホルの側に異論はないらしい。あれ? ボクの幼馴染ならボクが別の女子に目移りしたら焦るもんじゃない?
「じゃ、御馳走様でした」
肉豆腐定食を食べ終わると、彼女は席を立った。
「ちょちょちょ。ボクが食べ終わるまで待ってよ」
「全国模試に向けて勉強したいんだけど」
「一人暮らしなら帰ってからできるだろ? ボクとの時間は大事じゃない?」
「厄介な弟に寄生されたと悔恨するばかりだよ」
あははー。カホルは冗談がキツイな。
「あんまり勉学にばっかり構ってないでさ。青春もしない?」
「……………………」
ボクが何気なく言った言葉に、少し悩むカホル
「青春……か」
「あ、映画見に行くとか。アクション映画とか興味ない?」
「特に」
「じゃあどこならいいの?」
「場所より相手で選びたいね」
つまりボクと一緒ならどこでもいいと。照れるなー。幼馴染って何て甘美な響きなんだ。
「じゃあ今度出かけようよ」
「全国模試が終わって、その間に一回も遅刻しなかったら熟考するよ」
「じゃ約束ね。遅刻しないからさ」
「…………ボソボソ(熟考するだけだけどね)」
「何か言った?」
「そろそろ春も中ごろだなと」
「寒さもなくなったよね。あ、で、さっきのギャルだけど」
「個人情報は渡さないよ」
「あんまり毒されないでね? ボクも心配するから。一応幼馴染として、さ?」
「…………ボソボソ(おっぱい大きければ誰でもいいんだね)」
だから何を言ってるのか聞こえないって。
「じゃ、私は行くから」
「そこは待ってよー」
「全国模試を舐めてませんか? アルシ?」
「ボクは受けないから知らないけど」
「そうでしたね」
「なぁ。グレード落とさない? 幼馴染四人で同じ大学行きたいよね?」
「別に」
「もう。カホルは冗談が上手いなぁ」
「…………ボソボソ(アルシの学力に合わせる理由が無いだけだよ)」
「だからさぁ。ボクも勉強頑張るからコヲリと三人で……」
「ホムラは?」
「ああ、うん。でもさすがに厳しいのでは?」
「…………ボソボソ(そのアルシのホムラに対する感想がそのまま私の感想だよ)」
最後まで何言ってるのかボクにはわからなかった。




