第108話:カホルとコヲリの焦り
【花崎カホル視点】
「まずいね」
「……マズいですね」
私こと花崎カホルは二條コヲリと一緒に戦慄していた。何にって、ホムラとマキノに関して。
「今、九王くん、二條さんと小比類巻さんに二股してるらしいよ?」
「えー、でもわかるなー」
「九王くんに愛を囁かれるなら他に女いてもよくない?」
「わかりみー。でも実際どっちと付き合うんだろうねー」
「同じクラスだからどっちもあり得るー」
キャイキャイとクラスの生徒が話している。それだけで焦りは募るのです。
「あの二人……同じクラスだからってアクヤ様とイチャイチャ……」
「……私たちもアクヤ様とイチャイチャしたいです」
「だよね。そうだよね。コヲリ」
「……ええ。……まさに、です」
私は一組。コヲリは二組。アクヤ様とはちょっと距離が遠い。
「もういっそ告白する?」
「……そうするとアクヤ様を困らせませんか?」
「むぅ」
冷静なコヲリのツッコミに、私もちょっとだけ躊躇する。たしかに。既に学内ではホムラのマキノがアクヤ様の女ムーブをしている。私たちもアクヤ様の性奴隷とは言え、その背景を余すことなく詳らかにはできない。そもそも基本的人権の尊重が保証されている日本で奴隷契約をしている時点でマズいのだ。私たちは納得してアクヤ様に仕えているけど。
「でもさぁ。アクヤ様をあの二人に独占されるのも違わない?」
「……まぁそうですね。……面白くありません」
「とすると……」
「夜這いでもかけますか?」
ギクリ。既に私がアクヤ様と寝ていることはコヲリには伝えていない。アクヤ様自身もこの世界がエロゲーだと知って、私たちの貞操を大切にしている……とは聞いているけどそれはそれとしてアクヤ様を性的に我慢させないために私がアクヤ様のお相手をしている。でもホムラにもあのタトゥーシールをあげちゃったし。十中八九やってるよね?
私とホムラじゃ女性としての身体も違うけど、そこで依怙贔屓するアクヤ様じゃないし。マキノは……どうなんだろ。実はやっていると言われても驚きはしないんだけど。とするとあとやっていないのはコヲリだけ。
「夜這いする?」
「……その……したいですけど。……それもアクヤ様を困らせませんか?」
「まぁ徹底的に私たちを抱かないしね」
あっさりと嘘を吐く自分にちょっと自己嫌悪。
「コヲリは仕事は大丈夫?」
「……レッドアーカイブの件ならもう納品しました」
仕事が早いとか言うレベルじゃない。私は絵を描かないのでわからないけど、コヲリが異常な速度で絵を描くというのはアクヤ様から聞いている。
「……カホルちゃんにも助けられています。……イメージを固めるとき、……言語化してくれるのは本当にありがたいので」
「適当に言ってるだけだよ。コヲリの画力が無いとそもそも前提が崩れるし」
「……それでも有難いんです」
「うん。まぁ。じゃあ、借金返し終わったら、いっぱいたかるから」
「……ええ、……その時はよろしくお願いします」
「じゃなくて。アクヤ様だよー」
「……現状を訴えますか?」
「現状を?」
「……アクヤ様に、……ホムラちゃんとマキノちゃんとイチャイチャしすぎです。……私たちともしてくださいとメッセージを送るとか」
「あー、いいかも。確かに二人に独占されているのはアクヤ様を分かっているだろうし」
「……ちょっとくらい……私たちにも……ね?」
「だよねー」
よし。そんなわけで。私のスマホとコヲリのスマホから抗議のメッセージを送る。
『あー。すまん。じゃあ今日は二人とデートするか』
「やたー」
「……やりましたね」
アクヤ様は優しいから。私たちを平等に愛してくれる。まぁ私の子宮はもうアクヤ様に屈服してるんだけど。
そうして放課後が来て、そのまま約束の駅へ。
「アクヤ様♡」
「……アクヤ様♡」
私とコヲリがアクヤ様に抱き着く。
「悪かったよ。学校ではホムラとマキノばかりに構って」
「同じクラスですし」
「……仕方なくはないですけど、……仕方ないです」
「今日はいっぱい甘えろよ」
「じゃあアクヤ様。チューして」
「……あ、……私にも」
駅から電車に乗って、庵宿区へ。そうして学生の姿を確認した後。
「ん。ん」
アクヤ様は私とコヲリにキスをした。
「うへへぇ」
「……えへへぇ」
そうして私たちは相好を崩す。アクヤ様にキスされちゃった♡
「お茶でもするか。コーヒーが飲みたい」
「アクヤ様にお付き合いします」
「……私もです」
「じゃあケーキの美味しい近くの喫茶店を……」
そうして私たちはティータイムを楽しみます。アクヤ様は眩しいくらいにイケメンで。私もコヲリもドキドキしています。でもそうだとしても、私たちは幸せです。
「……アクヤ様。……夜の相手は困っておりませんか?」
「ま、性欲はそんなに強くないからな」
また嘘ばっかり。そうやって自律神経失調症になったのを、私は一生忘れない。
「アクヤ様。今日は私と寝ましょ?」
軽やかにウィンクする。ソレで伝わったらしい。アクヤ様は苦笑した。今日はレディファイトするので暮れの四回はしなくていいということだ。そもそも朝三暮四がありえないんだけど。英雄色を好むとはいうけど。
「……明日は私と寝ましょうね?」
「ああ、楽しみにしてる」
そうして私たちはお茶の時間を楽しむ。
「ああ、やっぱり……」
「?」
「?」
「カホルとコヲリは可愛いな」
「「ッッッ!!!」」
瞬間、私たちは真っ赤になった。予想外のところからの攻撃。けど、それをアクヤ様が本気で言っていることは理解していて。
「アクヤ様。それは。その……」
「……本当ですか?」
「おべっかは言わないよ。そもそもお前ら、今学期で何回告白された?」
たしかに片手の指では数えきれないけど。それはコヲリも一緒だろう。
「……私は……アクヤ様の女ですから」
「私も。私も」
「知ってるよ。だから、俺は嬉しいんだ」
ああ、メスが疼く。今日の夜はたっぷり可愛がってもらおう。アクヤ様のデカい活ホッキで私のモノを貫いてもらって、そうして幸せ家族計画を消費するのだ。




