第105話:許されるべきは
「この……ッッッ!」
ホムラのスットントンの胸を見て、怒りに震える人公。おい? まさかお前。
「ボクを騙したな!」
罵倒する人公。その言葉にビクゥッと震えるホムラ。もはや人公は怒り心頭で。
「よくもボクを騙したな! あの巨乳は嘘だったのか!」
「そ、そうだぞ。な……何か悪い?」
ホムラも毅然として言い返す。別におっぱいを偽装しても違法じゃないんだが。
「おかげでボクは笑いものだ! そんなにボクの事が嫌いか!」
「別にアルシには迷惑かけてないし……」
「お前が貧乳でバカにされるのがボクだって言ってんだよ!」
暴論も暴論。裁判だったら論破も出来なさそうなお粗末さ。
「お前は今までボクを騙していたって事になるんだぞ!」
「関係ないでしょ!」
「謝れよ! 土下座しろ!」
「なんで……そんなこと!」
「嘘をついていたのはお前だろ! ボクに謝罪すべきだ!」
もはやここまでくると暴論と言うより暴挙だな。
「あんな偽装した胸でボクを貶めるなんて! なんて最低な奴だ!」
うーん。すっごいブーメラン。
「土下座して謝れ! ちゃんと床に頭を擦りつけて!」
「だからなんで!」
「ボクを騙した罰だ! おかげでボクがどれだけ笑われたか! 土下座しろ!」
まぁ確かに。そりゃ幼馴染が実は貧乳でした、は格好のスクープになるだろうな。悪いのは徹頭徹尾三組の連中だが。
「悪い事したのに謝れないのか!?」
「悪いことなんて……」
「賠償しろって言ってんだよ!」
「ッッッ!」
そして一方的に言葉の暴力で罵倒する人公に、涙を見せて拮抗しようとするホムラ。そのホムラの背中を、今度は俺が優しく抱きしめた。
「アクヤくん……」
俺に抱きしめられて、それで冷静さを取り戻したらしい。
「何してる九王! セクハラだぞ!」
唾を飛ばして抗議する人公。見苦しいのを通り越すと罵る気すら失せるねェ……俺には人公がゴミにしか見えない
「ホムラ。こんな奴をまともに相手するな。俺がいるからさ」
「アクヤくん。うん。そうだね……」
「何を言ってる!? ホムラ! ボクに土下座しろ!」
「い・や・だ♪」
「反省してないのか!」
「うん。してない♪」
「そういうところだぞ!」
罵倒というかもはやイチャモンだ。
「九王も離れろ! ホムラはボクのモノだぞ!」
「だってさ。どう思う? ホムラ?」
「にははー。あたしはアクヤくんのモノだぞ?」
そう言って、ホムラは俺の頬にキスをした。
「な!? ホムラ!?」
そのキスに、誰より動揺したのは人公自身。自分が何を手放したのか。ソレを理解しているのか否か。俺はキスされた頬を撫でた。
「ありがとな。ホムラ。嬉しいよ」
「にへへ。大好きだよ。アクヤくん♡」
「ホムラ! そんな奴に騙されるな!」
「まぁアルシの百倍マシだから。ううん。ゼロを何倍にしてもゼロだから、倍数では表現できないね。無下限呪術?」
「お前が謝らないって言うなら絶交だからな! いいのかソレで!」
「じゃあもう話しかけてこないでね? 絶交しよう♪」
「本当に本当だぞ! 後で後悔するなよ」
ホムラを指差して、怒り狂う人公。
「じゃあホムラにも」
今度は俺からホムラの頬にキスをした。
「アクヤくん♡」
「大好きだぞ。ホムラ」
「あたしも。アクヤくんが大好き♡」
その一言で決着だった。
「ホムラ……嘘だよな? お前が悪いんだろ?」
「そだよー。だから縁を切ろうね。一生話しかけなくていいよ♪」
「九王……ッッ」
「なんだ? もうホムラは渡さないぞ? 俺のモノだ」
こんなバカにホムラを土下座させる気は毛頭ない。そんなことさせるくらいなら、俺がホムラを寝取る。何も悪いことをしてないホムラに頭を下げさせるわけにはいかないのだ。
「さっすがー! それでこそアクヤっしょ!」
そこに教室にいたマキノが参加してきた。
「やっぱりアクヤはカッコいい! それでこそあーしの想い人!」
それでホムラを抱きしめている俺を、マキノが抱きしめる。
「あー。マキノ。ズルい!」
「アクヤに抱きしめられているホムラがズルいっしょ」
「あたしもアクヤくん抱きしめる!」
「じゃあ二人でギューッ!」
そうしてホムラとマキノが俺を取り合って。ていうか分かってます。ここ。六組の教室ですよ? ポカンとしているのは六組一同。それから人公。
「なん……? なん……ッ!?」
言葉が出てこないらしい。別に何を言われても、もうホムラは俺のモノだが。
「九王! テメェ! 人の女に手を出してんじゃねえぞ!」
「いつからホムラがお前の女になった?」
俺が聞く。
「そーだそーだー!」
「そうだよねー」
ホムラとマキノも追従する。
「ホムラはボクの幼馴染で……ッ!」
「土下座を強要する最低男だろ」
「それはホムラが!」
「俺は別にホムラの胸のサイズなんて気にしないし」
「アクヤくぅん……素敵すぎるよぉ♡」
さらにギュッとホムラが抱きしめる。
「お前らのことは生徒指導に報告するからな! せいぜい停学して内申点下げてろ!」
「お好きにどうぞ」
もう人公にホムラを渡す気はない。ホムラは俺のモノだ。
「本気だからな! 後で後悔するなよ!」
「はい。用事は終わったし。御退散くださーい」
俺はホムラとマキノに抱きしめられながら、ヒラヒラと追い立てるように人公に手を振った。
「おまえぇぇぇ? わかってんだろうな?」
なんだ? やるか? 腕の筋肉を見せる。暴力沙汰になったら、人公は俺に勝てないだろう。そこら辺はやっぱり九王アクヤの功績だ。筋肉って素晴らしい。そうして未練がましくホムラを脅して土下座を強要する人公は最後まで見苦しく去っていった。さて。そうすると。
「「「「「九王くーん?」」」」」
ホムラとマキノに抱きしめられた状況を六組の男子が座視するわけもなく。いや、これはね? 深いわけが……あぁぁぁ~……。




