第102話:小さな女の子の決意
「こんふどー! 無明のみんなー! 今日も入滅してるー?」
「こんあやー! ガイシャのみなさーん! 七色脳細胞使ってるー?」
と、いうわけで。今日は不動ミヨと綾女テイルのコラボ配信。
『アヤメル可愛いよー』
『アヤメルしか勝たん』
『ミヨちゃんペロペロ』
『入滅しにきた』
「ありがとー。ありがとー。でも私より断然ミヨちゃんが可愛いからね。これマジだから。なんでVキューバーやってんの? ってくらいミヨちゃん可愛いよォォォ!」
「綾女先輩。それくらいで」
「今赤スチャ投げるからね!」
「何で配信者が赤スチャ投げるの!? 社長に怒られるから!」
『草』
『アヤメルの平常運転』
『あやふどは正義』
『二人とも歌姫なんだよなー』
わかる。不動ミヨ……ホムラが歌上手いのはそうだが、綾女さんも抜群に上手い。ぶっちゃけ歌だけで言えばホムラに匹敵する。声の質とか総合を加味すると、オタク受けがいいのは不動ミヨだろうけど。
「配信終わったらイチャイチャしようねー。私ミヨちゃんになら三時間くらいペロペロできるから」
「たしか警察って百十番だよね?」
『合ってる』
『通報しとこうか?』
『アヤメルからは逃げられない』
『いいぞ』
『命を燃やすのはこれからだったわけだ』
『魅せてみろ! あやふど!』
「ちょ。無明のみんなも乗らないで!」
『それは無理な相談というもの』
『あやふどでオリ曲歌わない?』
『セカンドテイクとか』
「もっちろん! 社長に進言してくる!」
「綾女先輩! 今配信中だから!」
もはや暴走特急となった綾女さんは止まらない。
「現役JKとかどんな御褒美? お姉さんと遊ばない? ゲヘヘ……」
「あとでお茶しましょうね」
「わーい! 言質取った! じゃあ今日も元気に不動ミヨチャンネル行きましょー!」
「それを綾女先輩が言うの!?」
二人とも絶好調だな。そうしてトークが炸裂する。21プロが誇る二人の歌姫だ。もちろん綾女さんがコラボしてくれている。同接が二万を超えていた。ここら辺の影響力はまだまだ綾女さんが上。今のホムラ単独では同接八千人で好調な方だろう。
「っていうわけで今日の配信では二曲ほど歌うんだけど。一曲はミヨちゃんが。もう一曲は私が選曲したから。懐メロとポップ。どっちも楽しんでねー」
『アヤメルの懐メロ』
『いや。ミヨミヨのポップだろ』
『↑屋上』
『↑こっちのセリフだ』
「コメントで喧嘩しないでー」
「みんな違っていいんだなぁ。てつを」
そんなこと言ってたっけ?
「じゃ、まずはミヨちゃんの選曲から。SNSでリクエストあったんだよね?」
「はい。聞いてみると名曲で。綾女先輩はどうですか?」
「懐メロは詳しくないけど名曲だと思った。昭和もバカに出来ないねー」
というわけで一曲。
「――――♪ ――――♪」
「――――♪ ――――♪」
そうして歌うミヨと綾女さん。麗しいまでの声で、華麗に歌い上げる二人。もちろん投げ銭もバカみたいに飛ぶ。特におっさん連中はミヨの懐メロを聞きに来ているのだ。
「ありがとー。みんなのおかげで気持ちよく歌えたかな」
「はー。ミヨちゃんの歌声を生で聞けるなんて。エモグロビン過剰~」
『出た』
『エモグロビン』
『でもわかる』
『過呼吸になるよな』
『三半規管が狂う』
「というわけでこの曲はSNSのリクエストで……」
トークが途切れることはない。3Dモデルの不動ミヨと綾女テイルが快活なトークを炸裂させていた。そうして二曲目。今度はトレンドを意識したポップ。沸騰したのはガイシャの視聴者。つまり綾女さんのファンだ。華麗に歌い上げる綾女さんの歌声に感動し、投げ銭を投じる。だが、その歌に負けていないミヨの声を聴いて、やはり感じ入るところはあったらしい。ガイシャの中にもミヨに意識を引かれるコメントが散見された。
「ね? いいでしょ? ミヨちゃんの歌」
『悔しいが認めざるを得ない』
『ミヨミヨは神』
『アヤメルは姫』
『チャンネル登録を……』
「神! もう神! ミヨちゃんラブチュッチュ!」
「BANされるから!」
『もっとやれ』
『通報しました』
『警察署の方から決ました』
『↑警察じゃねーだろソレ』
そうして総合で一時間くらいトークして、そのまま配信終了。
「高評価を忘れないでね! ガイシャの皆さんも聞いてくれてありがとー!」
「ガイシャのみんなもミヨちゃんのチャンネル登録すること!」
そうして不動ミヨと綾女テイルのコラボ配信は終わった。ちなみにまだレッドアーカイブのコラボ案件は発表するには早すぎる。既に愛スール先生ことコヲリはラフを何件かゲーム会社に提出したらしいが。仕事が早すぎる。
「ただいまー」
で生配信を終えて21プロからホムラが返ってきた。女子高生なので夜十時以降は働けない。まぁコヲリは普通に働いているが。
「おう。お疲れ。綾女さんとお茶してきたのか?」
「奢ってもらいました」
「本当に綾女さんは不動ミヨガチ勢だな」
「何がそんなに気に入ったんでしょうか?」
「歌声も可愛いし。顔も可愛いし」
「おっぱい無いけど」
「ばっか。ちっぱいにも需要はあるぞ?」
「アクヤ様も?」
「もち」
この道だけは譲れない。
「あのさ。アクヤ様……」
「どうかしたか?」
「これからパッドは止めようって思ってるんだけど。どう思う?」
二條ホムラはAカップ。コヲリがDカップで、それに対抗していた形だ。パッドを外せば絶壁になる。それは学校中で噂されるだろう。ただでさえ二條姉妹のファンは学校には多いのだ。仮に貧乳がバレれば学校での笑いものになるのだが。
「うん。だけどもういいかなって。アクヤ様が認めてくれるなら見栄張るのも疲れるし」
「まぁ確かに俺はホムラの胸も好きだが……」
「だからさ。学校中が笑っても、アクヤ様だけは味方でいてね?」
「そういうことなら任せろ。俺はお前をバカにしない」
「うん。信じてる……」
「風呂入ってこい。一緒に寝ようぜ」
処女は奪わないが、添い寝くらいはさせてくれ。
「アクヤ様。大好き」
「あー、さいですか」
とか言いつつ。ちょっとドキッとしている。何かもうラブハートの展開など超越している。もう本当にヒロインたちは俺のことを好きなんじゃないか。人公アルシではなく九王アクヤを好きなのではないか。そんな勘違いを起こしそうだ。俺は竿役なのに。
「じゃ、ベッドで待っててね♪」
「あー、はいはい」
そうして風呂上がりの色っぽいホムラにドキドキしながら、俺は眠りについた。今日のスーチャだけで不動ミヨチャンネルには(※特秘)円投げられた。その内の不動ミヨの取り分があれやこれやで。このままだとマジで卒業までに借金返せるんじゃないか。21プロの給金もあるし。
「ぜーんぶアクヤ様のおかげ♡」
「お前の実力だよ」
「借金返し終わったら、あたしがアクヤ様を養ってあげるからね」
「期待しないで待ってる」
俺はホムラを抱きしめて、そのまま眠った。その俺に抱きしめられて、ホムラがナニをしているとも知らずに。カホルの処女は奪ってしまったが、まぁそれはいいとしよう。まったく良くはないが、ホムラの処女まではいただけない。




