第101話:首の皮一枚
【人公アルシ視点】
「なんで呼ばれたか。分かってるよな?」
まぁ。予想は付くけど。そんな嫌味な言い方をしないといけない案件か? これ。
「まぁ別に進学しないってんなら赤点さえ回避すればいいわけだが。進学希望だったな?」
そりゃまぁ。学生になったんだから大学くらいは行ってみたい。だが今回の成績が悪かったのも事実。赤点こそなかったが、ほぼ全てが低空飛行。とはいえ、これは個人情報だし、追試が無いってわけだからカホルたちには平均点を取ったと詐称すればいいわけで。
「このままだと底辺の私立大学になるぞ?」
「以後気を付けます」
せめてホムラと一緒の大学に行きたいんだけど。本当はカホルとがいいんだけど、あそこまで頭良くないし。まぁホムラもDカップはあるし、ギリギリ及第点みたいな?
「はぁ」
成績が落ちたのは間違いなくゲームのせい。とはいえ止めるわけにはいかないし。とするとカホルとコヲリとホムラに養ってもらうか。それもいいかもしれないな。それだと三人を平等に愛せるし。溜息だけが人生よ。と思っていると。
「ねー。見た。学年順位!」
「見た見た! 花崎さんと九王くんが同点トップだよね! やっぱり持ってる人は違うなー。絶対九王くん花崎さんのこと意識してるでしょ」
は? アイツがカホルと同点一位? また成績を金で買ったのか? それでカホルと同点に詐称して? 点数を詐称するなんて、なんて卑劣な奴なんだ。
「九王くん誰の告白も受けないよねー」
「やっぱり花崎さんが本命じゃない? 二人とも頭いいし」
「でも小比類巻さんもアプローチしてるよ?」
「いいよねー。あの二人。胸大きくてさー。ズルいよー」
たしかにカホルはおっぱい大きいけど。小比類巻さんも大きいけど。あんなドブカスに惚れるわけないだろ。頭腐ってんじゃないのか?
「…………」
で、職員室からの帰り。渡り廊下で。
「チッ!」
たしかにカホルと九王が同列一位だった。またしても金で成績を買ったのか。去年も進学が危うくなって進級を金で買ったらしいし、そういうことが出来るんだろう。でもボクは騙されないぞ。九王がそんな点数を取れるわけないんだ。
「九王くん、もうこれ本物じゃん。勉強もスポーツも出来るイケメンって何!?」
「告ったらワンチャンないかな? 私超気になるんだけど!」
「でもすでに一学期で十人くらいフッてるよね?」
「やっぱり普通の女の子じゃダメなのかな?」
「花崎さんも小比類巻さんもスペシャルだからねー」
「っていうか小比類巻さん凄くない? アウトスタグラムのフォロワー何十万人でしょ?」
「持ってる人は違うなー」
ああ、くそ。不愉快だ。九王なんて馬鹿に妄想抱いている女子が不愉快だ。あんな奴が大したものであるわけあるか。カホルが惚れるわけないし。小比類巻さんが惚れているのだって何かの間違いだ。そもそも惚れるだけの魅力がないだろ。
「あのたくましい身体で壁ドンされたいなー」
「恋人繋ぎとかできたら最高なんだけど」
「私らじゃダメだよねー」
女子どもが妄言を吐いている。
「人公。女子どもが何言ってるかわかるか?」
「まったくわからんね」
「だよなー。そもそも九王が学年一位とかありえないだろ」
「学校側の運営責任に問われるよなー」
「っていうかスポーツ出来てもプロにならなきゃ意味無いし?」
「結局勉強できる奴の勝ちだよな」
どうせ本当は全部赤点だろ? ボクは赤点回避したけどね!
「女子どもも目を覚ましてくれるといいんだけど」
「もち上げるほど魅力あるかって話だよな」
マジでソレ。あんな奴を持ち上げる女子が理解不能だ。
「あんな奴がありなら、小比類巻さん俺にワンチャン」
ノーチャンだから止めておけ。まぁボクなら? 小比類巻さんがどうしてもって言うなら付き合ってあげてもいいけど? 小比類巻さんが頭を下げるならね?
「っていうか九王どうするんだろうな? 一年の成績がアレだから推薦とれなくね?」
「内申点ボロボロだからまぁ無理だな」
マジで将来性ゼロ。惚れている女子どもが哀れだ。
「っていうか小比類巻さん、今度写真集出すんだろ? 買うか?」
「そりゃ買いだろ。小比類巻さんの爆乳が拝めるんだぜ?」
「捗るよなー」
「マジで揉みてぇ。ちょっとくらい揉ませてくれてもいいんじゃね?」
「滾るよなー。小比類巻さん。頭軽そうなところもいい感じ」
「ただ趣味悪いよなー」
「九王に惚れてるんだろ? まぁ六組相応っていうか」
「アレさえなければ最高の女子なんだがなー」
はぁ、ホント頭の軽い女子って魅力無いよな。いくら爆乳でもちょっと無理っていうか。まぁ写真集は買うけどさ。G行為のために存在する女子っていうか。
「アクヤー♡ 待ってー♡」
「男子トイレに行くんだよ!」
で、学内で九王と小比類巻さんがイチャコラしていた。見ている男子が不機嫌になるのがわかる。頭悪い奴同士、通じ合うものでもあるのか。小比類巻さんの程度が知れるってもんだけど。
「やっぱり小比類巻さん、九王くん好きすぎでしょ」
「でもわかるよ。九王くん魅力的だし」
「もう推し。てぇてぇが激しい」
「九王くんも写真集とか出さないのかな? プレプロ所属もあながち無理じゃないでしょ」
無理に決まってんだろ。九王如きがプレプロなんて。タレントと比べるとそんな誇れる容姿かアレが? ちょっとイケメンってだけで学外では通用しねえよ。
「アクヤ♡ 大好きだよ♡」
「トイレの前で待つな」
「えー♡ いいっしょ♡ でさぁ♡ 今日のことだけど♡」
「デートはしないぞ」
「奢ってあげるからさー♡」
九王、小比類巻さんのグラビアの報酬で奢らせているのか。最低だな。男としてそれはどうなんだ? 男ならむしろ奢る側だろ。そこら辺の甲斐性がないのが九王の残念なところだよなー。やっぱり持っている人間が違うっていうか。
「マジムカつかね? 九王……」
「ちょっと調子のってるよな」
「制裁するか? 宗教裁判開いてさ」
お。いい流れ。精々九王を貶めてくれ。ボクは何もしていないし。他の連中が叩いてくれるなら、それに越したことはない。最近は創作AIで証拠も作り放題だし。
「まぁ出る杭は打たれるって言うしな」
九王さんにはご退場願いまーす。マジざまぁ。自業自得だ。
「アクヤ~♡」
「だからいい加減にだな」
今は調子に乗ってろ九王。お前には裁きが下るから。
「こういうのってよくね?」
「わかるわ。最高じゃね?」
「もうちょっとセンシティブに出来ねぇ?」
「イリーガルにしようぜ」
生成AIを使って男子どもが何かしているらしい。これで九王は終わりだな。後はカホルとコヲリとホムラとボクが幸せになるだけ。まったく人生イージーモードだよ。あの三人と幼馴染ってだけでボクは勝ち組なんだから。九王と比べるのもおこがましいよな。さて、じゃあ今日はコヲリを誘って帰ろうかな。一応水曜日の担当はコヲリだしさ。




