目次 次へ 1/56 0話 「……つまらない」 誰に向けたのかさえ曖昧なその呟きのあと、 彼は静かに世界を見下ろし、ためらいもなく自らを砕いた。 散った破片は黒い空に溶け、やがて細い尾を引く光となって落ちていく。 流れ星にも似たそれらはひとつ、またひとつと地上へ降り注ぎ、夜の静寂に微かなきらめきを残した。 どこに落ちたのか、 どんな影響を残したのか、 彼自身にもわからない。 けれど、その日を境に世界は確かに軋み始めた。形の見えない小さな亀裂があちこちに走るように、人々の内側で何かが変わっていった。