悪魔になった女の子
昔々
中の良い二人の女の子がいた
名をアマリリスとイルローゼ
彼女達は正反対とまではいかなかったが大きな違いがあった
アマリリスの髪は白髪に近く水色がかった雪を連想させるまっすぐな白銀なのに対し
イルローゼは、炎を連想させるようなウェーブのかかった緋色をしていた
そして、彼女らの一族は魔法が使える一族であり
個人差はあるが、家系によって得意不得意があった
アマリリスの家は治癒系の魔術をもっとも得意とし治癒と相性のいい水や氷系、音系の魔術も得意としている。反対に炎系の魔術や呪い系の魔術はほぼ出来ないといってもいい。
そしてイルローゼの家系は、攻撃系の魔術を得意としそれと相性のいい炎や風、爆破系の魔術も得意としている。しかし、細かいことが苦手であるため、集中力を要する治癒系や呪い系はできない。
そんな2つの家門は中が悪いともいえず悪くないともいえないそんな微妙な関係である
しかし、彼女らが仲良くなったことで互いに親交を結ぶようになった。
彼女達が出会ったのは、約六年前の学校の入学式である。
始めはぎくしゃくした関係であったが、やがて親友と呼べるような関係となった。
あのときが来るまでは
ある日二人が魔法の特訓をしていると
赤いボコボコした物体がこちらに迫ってきた
嫌なものだと本能的に察しった二人は逃げようとしたが
赤色の結界が行く手を阻まった
アマリリスはしょうがないといった手つきで水を出した
水をナイフのようにし
赤いボコボコとした物体を少しづつだがすり減らしていった
彼女はこのことに集中していた
だから気づかなかったのだ
赤黒いナイフがこちらに向かっていることを
それが悲劇の始まりだった
赤黒いナイフが彼女を突き刺そうとする寸前で
イルローゼがかばった
それは一瞬の出来事だった
赤黒いナイフは彼女の心臓をエグリ
彼女は
血を吐き呼吸もままならない状況だった
アマリリスはその状況を見てこういった
「どうして庇ったの。」
つかさず親友はこういった
「貴女に生きてほしかったから。貴女を愛しているから。」
「なんで、じゃあ貴女がまるで自分で自分をいらないといっているようなものじゃない。私は貴女に生きていてほしい。ヒール。」
「リリー、私はもうだめそうだ。行くよ。」
「まってイル。」
「貴女にこの心臓を捧げます。この魂を捧げます。どうか私のことを忘れないでください。また
会える日までさようなら私の愛しいリリー。」
「まってイル。」
血塗れになりどんどんと冷たくなっていく親友に対し彼女は自分の無力感に絶望していた
そんな彼女に黒い影が忍び寄る
その影は彼女の身体を掴もうとしたが
それは阻止された
なぜかって
アマリリスという存在が人間という殻を破ろうとしていたからだよ
簡単にいうと無意識に魔法を使っているんだよね。
彼女はその影に尋問をしようとした
しかし、黒いその影は人の形となった
こいつはイルローゼを殺したやつだと
野生の勘で彼女は察した
段々と怒りと悲しみが込み上げてきて
変化していった
頭には大きな角が出てきて
背中には悪魔のような羽が生えてきて
腰のあたりが尾のようものが生えてきてだんだんと長くなっていく
服装も変化し
きっちりとした訓練着から露出の多いドレスになり
目もとは赤褐色に変化した
杖は鎌に変形し
黒い影だったものを一撃で殺した
アマリリスは感じた
自分は悪魔になってしまったのだと
そして、イルローゼの心臓を受け継いだことを
なぜそれがわかったかと言うと
悪魔へと自らが変貌した時
髪が緋色に変化し腕に鳥の羽のような朱色の痣が発現し
これは後で分かったことだが、胸のあたり鳳凰の形をした痣が現れた。
どちらも一時的ではあるが、
いやこれは言わないでおこう。
もしあの時死の呪いの耐性をもっとつけていたらと自己嫌悪に浸っていたが
段々と日常に戻っていった。
今でも彼女の遺品や写真は手放せない。
アマリリスはこう語ったのであった。
pixivでこれに加筆修正したものとイメージ画像を投稿しました。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25380310←加筆修正版
https://www.pixiv.net/artworks/132912370←イメージ画像