パーティ結成!?②
「なんだこれ!? めちゃくちゃよく見えるぞ!」
リノがあちらこちらを見渡しながら感想を漏らす。
「確かに凄いわね。効果時間はどれくらいなの?」
リュネも驚いているようだ。リノもリュネも視力が悪かったようだ。
「あっ。効果時間はリュネのメガネは、だいたい7時間くらい。リノのゴーグルは、あと2日だね」
ついでだったからリノの方の効果時間も伝えた。リュネのメガネには魔力操作も付与しているせいか、効果時間が短いようだ。
「へぇ〜、じゃあ効果が切れるまで、ずっとゴーグルしとこうっと!」
「嘘でしょ!? ゴホゴホッ。その効果時間は異常な長さよ?」
素直に喜ぶリノと対照的にリュネは急に大きな声を上げたせいか咳き込みながら聞き返してくる。
「本当じゃよ。わしのこのメガネもちゃんと3日間もったぞい」
僕の代わりにファルじいさんが答える。リュネはそれでも信じられないといった表情だ。
「視力強化の付与魔法ってベテランの付与魔術師が効果時間を延長しても、1日とかだったはずよ。魔力操作の方は3時間だったわ。これは調べたことあるし、実際に先生から掛けてもらったことあるから間違いないわ。なのに、、何なのあなたの付与魔法の効果時間の長さ」
「な、ルックは凄いじゃろ? まぁその代わり、付与できるものはメガネの類のみじゃがのぅ。わーはっはっ」
ファルじいさんが、得意げに笑う。何か笑うところはあったっけ?それに僕のことが言われてるんだけど。
「はぁ。ルック、、、年上だし、ルックさんがいいかしら?
あなたが特別なことは良くわかったわ。そして素敵な付与をありがとう。この実力なら確かにパーティを組んでもいいわよ」
リュネがお礼を口にした。そして、パーティ??何の話??
「ファルおじいさん、ひょっとしてパーティの話は、ルックさんにはしてないの?」
「あぁ、ルックには、付与が成功してから話そうと思っておったんじゃ。ルック、この2人は色々とあって冒険者学校でうまくいっとらんのじゃ。進級試験はこのメガネとゴーグルにおまえさんの付与魔法があれば問題ないじゃろう。じゃがパーティを組んでくれる人が同級生にはおらんそうじゃ。まぁ視力と魔力操作が解決できたのなら、2人パーティでも良いのじゃろうが、どうせならルックも含めてパーティを組んで初心者ダンジョンに挑んだらどうかのぅと思っての」
初心者ダンジョン。神様が作ったとされるダンジョンで、万が一、死んでも入り口に戻されるだけで死ぬことのないダンジョン。通常のダンジョンと違い攻略されても消滅しないのも神様が人々のために作ったとされる理由だ。これを攻略すると冒険者ギルドでEランク冒険者として認定される。また神様が生み出したシステム機能にパーティ登録も追加されたり、特別な報酬が手に入るため冒険者になるつもりがない人でも初心者ダンジョンだけクリアする人は多い。ちなみにリックは1年の時に初心者ダンジョンをクリアしている。
Fランクの僕も初心者ダンジョンへの挑戦自体は可能となっている。ただし、冒険者学校に在籍していない者が、初心者ダンジョンへの挑戦するには、1人40万ヨークも費用がかかる。退学になってからずっと少しずつ貯金し続けているが、まだ13万ヨークしか貯まってない。最近は魔力譲渡の仕事がだいぶこなせるようになってきたし、薬草採取も出来る目処がたってきたから収入は上向きではあるけど、40万には程遠い。
「ルック、わし、それにリノ、リュネの3人の付与について長期契約をお願いしたいんじゃが?」
唐突にファルじいさんに切り出される。
「まず期間は1年間。付与は視力強化を必要な時に掛けてもらう、最大で週2回。魔力切れや体調がすぐれないときは拒否してもらってもかまわんぞい。リュネへの魔力操作はこの契約には含まれておらん。依頼という形であれば1回5000ヨークあたりが相場じゃろうが、効果時間を考慮すると1万ヨークが妥当なところじゃろうか。
で、報酬に関してじゃが、リノとリュネともにという条件もつくのじゃが初心者ダンジョンへの挑戦する費用、1回分じゃ」
「え?」
報酬の額が正しいのかどうかすぐに計算できないけど、ファルじいさんにとっても40万ヨークは大金のはずだ。
「いやかの?」
「い、、いえ、そんなことはないです」
そう返事をするのが精一杯じゃった。
「よし、じゃあ決まりじゃの。となれば早速、パーティ名を考えねばじゃな!!」
いろんな話が一気にまとまってしまった。