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メガネ限定付与魔法の検証②

 途中、休憩も挟んで付与魔法を色んなものに掛けていく。


 結果として付与ができたのは、目に関係する道具かつレンズがあるもの。レンズの精度は問わないが、木や石などレンズとしてありえないものを使った場合は付与ができない。またメガネの形をしていてもレンズなしだと付与は失敗。


 ゴーグルという両目をまとめて覆う道具にも付与ができた。これは本来、目を保護するためのものらしい。


 剣のつかにメガネをくっつけてたヘンテコなものもファルじいさんが用意してくれていたがそれにも付与は掛からなかった。けど盾に覗き穴がついてるタイプでレンズありだと付与に成功。ちゃんと見る意図があるものはいけるってことなのかもしれない。


 あといけそうな気がしたが仮面は、微妙な結果だった。まずレンズなしの仮面はダメ。レンズをつけていても顔を覆い隠す仮面はダメで、目元だけを隠すレンズ付きの仮面の付与だけ成功。これにはまだ検証の余地があるとファルじいさんは興奮しながら言っていたけど変な趣味とかじゃないよね??



 そして付与魔法の効果は視覚だけじゃなくて聴覚や嗅覚、他の五感強化も出来た。メガネを身につけている人のその効果を得られている。強化も筋肉強化で付与すれば装備者に効果があった。しかも、その効果が通常よりもずっと強く、効果時間も長い。特に視力強化は一般的な効果時間をはるかに超えていた。付与魔法の重ねがけは2つまでだったけど、それは僕自身の技術やレベルで増えていくだろうとのこと。



 気づけば夕暮れになっていた。




「もうこんな時間か。どうする?

今日は泊まっていくか?


あそこじゃ寒さもキツイじゃろう?」


 ファルじいさんがそう提案してくれた。あそことは【ゴブリンの寝床】亭のことだ。貧困街でも最低ランクの宿屋。僕がずっと宿泊してる場所。


 10歳前の子供達はどんなクラスになるか分からないから孤児院で育ててくれるし、ひどい扱いを受けないように街の兵士たちも最低限、守ってくれる。けど10歳すぎたらクラスとその後の実力で待遇は大きく変わる。戦闘系のクラスなら騎士団への入団や冒険者学校へ通えるようになる。生産性のクラスならその特徴に合ったギルドで働くことになる。


 僕のクラスは付与魔術師だったから最初は期待された。けど付与魔法が全く使えない付与魔術師だったため冒険者学校を退学させられてFランク冒険者になった。他の仕事をするにも肝心の付与魔法が使えないからどうしようもない。



「ルック?」


「あぁ、はい、大丈夫です。帰りますね。

今日は本当にありがとうございました」


「何を言うか、お礼はこちらがいいたいわい!

ルックの付与魔法があればまた鍛治が出来るんじゃからの。ちゃんとその分の報酬も弾むぞい。


そうじゃこの前のと今日の付き合ってくれたお礼をせねばの」


 ファルじいさんが、奥にいってゴソゴソしている。そして、マントとリュックを持って帰ってきた。


「ちと汚いがビッグボアの皮でできたマントとリュック。リュックの中にも毛布が入っておるから少しは寒さが防げるじゃろう。あと皮袋に干し肉やパンなんかも入れてある。ひょうたんの水筒には井戸水が入っておるからの。それとこの前の付与魔法の代価として、、、こいつじゃ」


 ファルじいさんにリュック、マントを渡されて両手が塞がった状態だったが、頭に何かをのせられる。荷物を落とさないようにしながら右手で何かを確認する。



「ぅえ!? ゴーグル??


あ、これってとんでもなく高いんじゃ?」


 変な声が出た。



「なぁに、そんなことはないぞ。別に特殊な素材も使っておらんからの。だいたい6000ヨークくらいじゃ。今日はもう暗いし、金よりこいつの方がいいじゃろう? これからは1回につき6000ヨークいや8000ヨークは渡すぞい。


いいか、これは付与の対価としては安いくらいじゃからの。高すぎると思うんでないぞい」


 反論する前に押し切られてしまう。今度は明後日の日曜日の昼の鐘が鳴ったあとくらいにきて欲しいと言われた。


 リュックを背負い、マントをまとって帰路に着いた。ゴーグルは腰にぶら下げて、マントに隠して人目につかないようにした。


 【ゴブリンの寝床】亭は、煉瓦造りの平屋。

宿屋というより牢屋に近い。入り口は一つ。台所とトイレは共同。部屋は12部屋あって、部屋のスペースは畳2枚分。窓の代わりにレンガの壁に隙間が少しだけ空いている。明かりなんてもちろんない。一晩で2000ヨーク。


 それでも外で寝るずっとマジだ。しかも安全面では最強に近い。宿屋のおかみさんがオーガみたいな体格の人で、宿内での揉め事は一切禁止にしている。前に揉めていた男2人を素手でまとめて叩きのめしていたのは今、思い出しても、ゾッとする。ちなみに旦那さんは、ヒョロとしている。


 僕の部屋は1番手前で今は1ヶ月 5万ヨークで借りさせてもらってる。今日はボロボロの敷物だけじゃなく、マントに毛布もある。しかも夜ご飯にパンに干し肉まで。そして何よりこのゴーグル。


 ゴーグルをつけて、視力強化を付与する。レンガの隙間から見える星空がとても綺麗だった。



メガネ限定付与魔法。



 これをどうやって活かせばいいかまだわからないけど、それでも今までよりずっと希望が見えてきた。



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