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採取クエスト

 初心者ダンジョンをクリアして3日が過ぎようとしていた。初心者ダンジョンをクリアしたことで僕、リノ、リュネの冒険者ランクはEランクに昇格。リノとリュネはこれでほぼ進級は間違いないそうだが、油断できないと学業に専念(リノはもっと冒険したいと叫んでたけど)。

 

 僕は貧困街から少し離れた森の中で採取のクエストの中でも比較的、簡単なダンジョンに潜らなくても取れる種類の魔草探しをやっていた。ランクFでもできるクエストだったが目が悪い僕には難しかった。だけど、今はメガネがある。さらにメガネに魔力探知の付与を掛ければ遠くからでも魔草を見つけることが出来る!って思ってたんだけど、なぜか初心者ダンジョンのクリア報酬で手に入れた水色の縁のメガネには僕の付与魔法は掛けることが出来なかった。このことをファルじいさんに相談したらメガネをつけたままでも掛けれるゴーグルを用意してくれた。ゴーグルに視力強化も付与したらメガネがいらなくなるけど、気に入ってるからこのメガネは掛けておきたい。メガネは高価なものだから貧困街では掛けない方がいいと言われて街中では掛けてないからなおさらだ。



付与魔法(エンチャント)魔力探知(マナサーチ)


 魔力探知の付与魔法を掛けてゴーグルをかける。森の中を見渡すととこどころに輝いて見える部分がある。この輝いているところが魔力のあるところだ。その一つに近づいて確認する。魔力を放っているのは木の根元に張り付いている苔だった。苔は採取のクエストの中になかったけど、ナイフで削ぎ落としながら皮袋に回収する。他の輝いている場所も見て回ってお目当ての魔草を採取できた。他にも魔力を帯びた昆虫なんかも見つけたので捕まえて皮袋に入れる。



 「ふぅ、、、寒いなぁ」

 

 春にはまだ遠い。指先を擦り合わせて温めながら探索を続ける。森は静かだった。生き物は時折、鳥が飛んでいたりするのを見かけるだけ。ダンジョンの外とはいえ、モンスターがいないとは限らないし、野生の動物にも気をつけないと。万が一、クマなんかと出くわしたらゴブリンより厄介だ。



「ワオーーーーン」


 突如、聞こえた獣の鳴き声に慌てて僕は身を伏せて隠れる。野犬の鳴き声に似ていた。鳴き声は1回だけ。森の中をこだまして距離感が分からない。鳥たちが一斉に羽ばたく音で森が騒がしくなる。


 どうする? すぐに逃げるべき? いや森の中といってもそこまで視界は悪くない。周囲を確認して様子を見守ろう。



ーーーーがさっ


 すぐ近くで音がした。音の方を確認する。槍を握る力がこもる。焦っちゃダメだ。


 音のでところは野うさぎだった。さっきの鳴き声に驚いて茂みから出てきたのだろう。少し気が緩んだ直後だった。ハッハッと荒い息をしながら2m近くある巨大な狼が現れて野うさぎをパクっと咥えた。そして咥えたまま、こちらに気づいたジロリと見つめてくる。


 野うさぎは必死に暴れているが狼の閉ざされた口はビクともしない。僕と狼の眼は合ったままだ。ドクンドクンと心臓が高鳴る。灰色の毛皮、ギラッとした鋭い瞳。その瞳には殺意は感じなかった。ただこちらは観察しているだけのような。でもいつ気が変わるかわからない。なにより間違いなく勝てない。


 野うさぎよりも僕の方が餌にふさわしいと思われたら終わりだ。それに狼なら群れの可能性が高い。狼がこの森にいるなんて聞いたことがなかった。モンスターならゴブリンとか低級、野生の動物なら熊。まぁ熊もゴブリンの群れにも僕は勝てそうにないけど。熊はまだ冬眠中の時期だしゴブリンは勝てなくても逃げるだけなら難しくない。そう思って1人で採取してたけど、狼。どうする?どうしたらいい?


 狼は、ぷいとそっぽを向いて野うさぎを咥えたまま歩き出した。そのまま姿が見えなくなるまで見つめていたがこちらを振り向くこともなくそのまま消えていた。



「よかった」


 いや油断したらダメだ。他の狼もいるかもしれない。まだ昼間だけど早く帰ろう。



 無事に辿り着いた僕は魔草の受け渡しと狼について冒険者ギルドで受付のお姉さんに報告した。



「あぁ〜。その狼はリゲルさんの従魔のルプスね」


「従魔?」


「そうよ。首輪をしてたと思うけど見えなかった?」


 そう言われても全然、分からない。見る余裕もなかった。



「結構、有名な人と従魔だから知ってると思ったけど、そっか、採取のクエストも始めたばかりだもんね。冒険者になりたての子には教えてあげてたけど、ルックくんに言うの忘れてたわ」


 僕はFランクの冒険者になってからも採取のクエストは早々に諦めてしまって町から出ることもほとんどなかったから教えてもらってなかったと。



「リゲルさんは元Bランク冒険者のクラスは狩人。モンスターとの戦いで左眼と左足に大怪我を負ってね。それがすぐに治すこともできなくて後遺症が残って今はDランク。従魔の狼、ルプスはグレーウルフってDランクモンスターよ。といってもルプスはだいぶ成長してるし凄く賢いからCランク以上の実力があるわ。リゲルさんは大怪我を負ってからはダンジョンに潜ることはほとんどなくて、森の様子を確認しながら狩りや採取をやってくれてるの。お願いすれば採取や狩りなんかもしてくれる面倒見のいい人なのよ」


 受付のお姉さんがそう説明してくれた。


「そうなんですね! 僕は会ったことないので、市民街の冒険者ギルドの方なんですか?」


「えぇそうよ。あ、でも貧困街の冒険者ギルドの新人さんたちにも分け隔たりなく接してくれるわよ」


 受付のお姉さんの説明を聞きながら僕はリゲルさんに会えないかなと思った。従魔のルプスは本当に怖かったけどまた会ってみたいと思える魅力もあった。


「そのリゲルさんにはどうすれば会えますか? 出来れば採取の仕方とかも教えてもらいたいです」


「わかったわ。スケジュールを確認しておくわね。ルックくんは何か予定はあるの?」


「いえ、特にありません」


「じゃあ、リゲルさんが都合がいい日に合わせるから、とりあえず明日またここに来てくれる?」


「わかりました」


 リゲルさんと狼のルプス。メガネが出来てから色んな事が広がっていくなぁ。

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