表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/14

初心者ダンジョン③

 僕は注意深く極力、音も立てないように進む。キキッという鳴き声で前の天井にコウモリがぶら下がっていることに気づいた。たぶん闇コウモリ。明かりに対して攻撃的だから明かりをつけなくて良かった。


 闇コウモリがいる場所より手前で左に曲がる道がある。今僕が進んでいる道はその左に向かう道より少し奥の場所で行き止まりのようだ。その行き止まりから左右に分かれる道もあるようだ。どの道に進むかと悩んでいると後ろからがメガネに付与した魔力の反応からリノが近づいてきてるのがわかる。ガチャガチャという鎧が鳴らす金属音も聞こえてきた。



「ルック〜! お〜〜い!!」


 リノもこっちに気づいたようで大きな声で僕を呼ぶ。いや、大声はダメだよ。



「しーーっ」


 人差し指を立てて、静かにするようにと伝えるが、伝わったか怪しい。こちらに気づいたあとは走り出したこともあって洞窟内に金属音もかなり響いてる。


 幸い、闇コウモリはざわついているが襲ってくる様子はなかった。

 


「リノ、ダメだよ、大きな声を出しちゃ」


「あぁ、ごめんごめん。ルックが見えたからさ。リュネは、いないのか?」


 あまり反省してなさそうだが、小声でリノは謝罪と質問を声を抑えて口にする。


「リュネはまだ見つけてないけど、多分僕らの進んだ先にいるはずだよ」


「そっか! じゃあ早く行こ、、、ぅ」


 返事が大きかったので非難の視線を向けたら語尾はすごく小さくなった。とりあえずリノが静かになったのを確認してから、僕はリュネのメガネに付与した魔力の現在地を確認する。方向は左側。さっきより距離は縮まってる。とりあえず手前の道から進むことにした。ガチャガチャとリノの鳴らす金属音はどうしても収まらない。闇コウモリ以外のモンスターが気づいて襲いかかってくるもしれないと。さっきより緊張しつつ左に進む。するとすぐに左右に道が分かれた。左は長いな。右は、、Tを右に倒したような形で分かれてる。


 多分、さっきの手前と奥の左に進む道どちらも繋がっているようだ。グルと回れるってことか。



「リュネはどっちだ?」


「えっと、、、多分この突き当たりを左に行けば会えるかも?」


「よし! じゃあ行こう!!」


 僕の説明に疑問も持たずにリノは突き進む。初心者ダンジョンは最大で3階しかないのもあってリノには兜、鎧、脚当て、靴もすべて金属製のフル装備で挑んでるけど。普通の冒険向きとは言い難いなぁ。何かしら対策できるといいけど。リノの鎧が鳴らす金属音に対して闇コウモリたちが不快そうに鳴いたり羽ばたいたりしていたが襲ってくることはなかった。



「あ、リュネがこっちに近づいてくる」


 リュネのメガネに付与した魔力がこちらに向かってきていることからそう判断した。リュネの耳にも金属音が届いたのかもしれない。



「お〜・・・」


 リノの口の前に手を伸ばして呼びかけを中断させる。


「リノ、ダンジョン内で不用意に音を立てないって何度も入る前から言ってあったでしょ」


「ごめん」


こちらに近づいてきたリュネが小声でそう注意し、リノが素直に謝る。



「リュネ、この道の先はどうなってた?」


「ルック、この道の先はボス部屋に入る扉があったわ。その扉の前に3mくらいの大きな岩のゴーレムが待機してる。ちゃんと見てないけど、ゲートキーパーとして出てくる ひとつ目のゴーレムだと思う」


 ゲートキーパー、扉の番人。主にボス部屋の前にいる。初心者ダンジョンで出現するゲートキーパーで最も多いのは一つ目のゴーレムだ。顔の部分に宝玉に埋め込まれていて、周りの何かを察知するとその宝玉から光が放たれる。光の中に怪しいものがいるとそれを排除しようとする。周りの何かというのはゴーレムごとに違うらしい。一般的なのは音。攻撃方法は巨大と岩の体から繰り出すパンチや体当たり。動きは鈍いので逃げるのもかわすのもそう難しくないって冒険者学校時代に本で読んだ。万が一、食らえば即死するのは間違いない。初心者ダンジョンは死なような攻撃を受けた場合は入り口に戻されるだけで済む。しかし1週間は再挑戦できなくなるし、また挑むための費用もまた掛かる。冒険者学校の生徒であるリノ、リュネは費用なしで再挑戦できるけど、僕は今回が最初で最後の挑戦になると思う。ゴーレムは倒す相手ではなく扉の前から誘い出して、その隙にボス部屋に進むのが一般的だ。



「僕が囮になるよ。多分、通路の隅に隠れていたらゴーレムは2人のことは無視すると思う。うまくやり過ごしたら2人は扉の前へ。僕は、さっき通ってきた道に、ぐるっと回れそうな場所があったからそこを利用して僕も扉に向かう」


 囮に最適なのは僕しかいない。失敗しても自分でお金を貯めてやり直せばいい。今回のお金を出してくれたらファルじいさんには申し訳ないけど。



「そうね。それが妥当でしょうね。回れそうな場所って、闇コウモリがいた場所でしょ? 私がここにくる前に繋がってることは確認したから大丈夫よ。どうする、すぐ行動を開始する?少し休んでからにする?」


「そんな簡単に決めていいのか? ルックじゃゴーレムに殴られたら死んじゃうだろ。あたしならきっと耐えれるぞ」


リュネは同意を示し、リノは疑問と提案。



「そうね、あなたなら何発かは耐えれるでしょうね。けど耐えれるだけでゴーレムを倒せないし、攻撃をかわしたり逃げるのは無理よ。もちろん私も逃げてまわるなんて出来ないわ。だからルックが囮をするって言ってくれてるの」


「そっか〜、そうだよなぁ。ルック、頼んだぜ!」


 話はまとまった。



「すぐやろう。リノもしそっちに攻撃してきたらリュネのことを頼むよ」


「おう、任せとけって」


 本当に頼もしいな。口調も含めて女の子とは思えない。隠れると言っても何もない通路だ。単に動かずにいるだけ。資料を読む限り問題ないけど、ゴーレムがそっちを攻撃しないとも限らない。


 通路の内角にリュネとリノは待機。僕1人でゴーレムに近づいていく。天井近くに頭がある。顔の部分には大きな宝玉がみえる。その姿は、村を襲ったモンスターを想像させた。大きさも雰囲気も何もかも違うけど。呼吸が荒くなり心臓がバクバクと音を立てている。ゴーレムまでの距離は5m程度、今のところ反応はない。近くの石を拾って投げつけてみる。


ーーーカツン


 頭を狙ったつもりが胸部分に当たった。その直後、宝玉がぱあっと光を放ち、周りの様子を確認するかのように頭部を左右に振る。僕は逃げることなく光に照らされる。少し眩しい。


 光が白から赤に変わった。ゴーレムが僕に向かって動き出す。ドシンと地響きがするほどの足音だ。思っていたより速い。僕はゴーレムに背を向けて来た道を引き返す。全力で逃げ出したくなる気持ちを抑えて、転ばないように体力が尽きないようにと気をつけながら走った。 振り返らなくても、うしろから照らされている赤い光と地響きでゴーレムが向かってきているのが分かる。


 曲がり角。リノとリュネが壁際に待機してる。できる限り大きく外回りに回った。曲がり切って少し進んだから振り返る。ゴーレムがドシン、ドシンと曲がり角を曲がって赤く光った宝玉でこちらを睨みつけてくる。2人は真横だというのに気づいてる様子はない。そしてそのまま2人に気づくことなく僕の方へ向かってくる。うまく行った。


 僕は再び走り出した。キィキィとけたたましい鳴き声を上げながら闇コウモリが前から飛んでくる。咄嗟に腕で頭を庇ったが、闇コウモリたちは僕を通り過ぎていく。ゴーレムの宝玉に目掛けて飛び掛かっていった。ゴーレムは腕を振り回して闇コウモリを叩き落とそうとする。闇コウモリの襲来でゴーレムの足が止まってしまった。回り道までまだ距離はある。

 

 ゴーレムの緩慢な動きでは闇コウモリの動きは捉えきれてない。闇コウモリの噛みつきや鉤爪の引っ掻き、体当たりといろんな形で宝玉を攻撃するが表面にかすり傷をつけれてるかどうかだろう。


 、、、どうする? このまま戦いが終わるのを待つか。それともこの脇をすり抜けて戻るか。


よし、ゴーレムの横を走り抜けよう。


 少し息を整えて走り出す。闇コウモリの鳴き声に羽音、ゴーレムの腕を振り回し風を切るブォンという轟音。


 無事、すり抜けれた。そのままボス部屋の前を目指す。



 リノとリュネが心配そうに待っていた。はぁはぁと荒く息を吐く。座り込みたいが本番はここからだ。洞窟に不自然な大きな鉄製の両開きの扉。



「入るわよ。いける?」


「はぁはぁはぁ、大丈夫」


ゴーレムがいつ戻ってくるかわからない。それに他のモンスターもやってくるかもしれない。



「じゃあいくぞ」


 リノが扉に棍棒は左手に握ったまま両手で扉を押す。扉が開いていく。扉の向こうから光が溢れて、辺りが光で真っ白になる。転移だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ