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初心者ダンジョン②

 視界が、一瞬、白に染まる。この瞬間を逃してはいけない。目の前のゴブリンはナイフを落として両手で顔を覆っている。槍を左手で垂直に立てながら、先端の方の棒部分を右手で握りしめる。ゴブリンの両腕に邪魔されないように槍の穂先を潜り込ませた後、一気に喉元に目掛けて突き上げる。ゴブリンは両腕を振り回して暴れるが槍と僕の腕部分の服を少し引っ掻いただけだ。槍を喉元から引き抜くとゴブリンは前のめりに倒れ込む。トドメはいらないだろう。はあはあっと肩で息をする。



【ゴブリンを5匹倒せ。4/5】



「おらぁぁああ!!」


 リノの怒声でまだ終わっていないことに気づく。リノはゴブリン3匹相手と戦っていた。

槍持ちのゴブリンとナイフ持ちのゴブリンが1匹ずつに、その奥で弓を構えてるゴブリン1匹。


 ウインドウの表示からもう1匹は倒したのだろう。リノは本当に強いし、勇敢だ。リュネの状況も確認するため、リュネの方へ視線を向けるといつもの間に現れたか分からない緑色の大蛇に巻きつかそうになっている。助けないと!!


 草原大蛇(グラスバイパー) 、草むらに潜んで冒険者を襲う蛇型のモンスターだ。ゴブリン探知は、ゴブリンを探すためのものだからグラスバイパーには効果がない。くそ、ゴブリンを倒せってクエストのせいで油断してた。5匹と表示されていたから、この階層はゴブリン5匹がいると思ったし、他のモンスターがいることも考えなかった。自分たちで調べた限り、こんなパターンは無かった。後悔しつつ、リュネの元まで辿りつき、槍で突きを放つもグラスバイパーにはうまく当たらない。それでもとにかく突いて、こちらに注意を引きる。グラスバイパーはトグロを巻いて、こちらへ威嚇の体制をとってきた。



【ゴブリンを5匹倒せ。5/5】


ステージクリア



 目の前のグラスバイパーが光の粒子となって消えていく。グラスバイパーだけじゃない、草も光の粒子となって消えていった。リノが5匹目のゴブリンを倒したらしい。残ったのは真っ白な部屋と次へ進むための魔法陣。



「リュネ、怪我はない?」


「、、、大丈夫よ。たまたま杖で最初の一撃を防げたから」


 僕もリュネも息が荒い。リノもこちらに向かってきた。



「みんな、大丈夫か?」


「こっちは、なんとか。リノこそ大丈夫?」


「あぁ、すごい疲れたし、鎧が何箇所か凹んじゃったけど大丈夫だぞ!」



 初心者ダンジョンの1階でこんなにきついとは思わなかったけど何とかクリアできた。少し休憩してから次を目指すこととした。



「せーのっ」


 掛け声に合わせて、みんなで同時に魔法陣の上に立つ。魔法陣が淡い光を放つ。



「もしバラけたら、、、」


 リュネが言い切る前に転移が発動する。目眩と共に一瞬、意識が遠のく。




 気づくと僕は薄暗い洞窟の中にいた。周りにリノ、リュネの姿は無い。



「もしバラけたら慌てずに扉または魔法陣を目指す。そしてその前で仲間の合流を待つ。途中、どこを通った痕跡を何かしら残すこと」


 何度も想定していた作戦を口に出す。ゆっくり深呼吸もして落ち着かせる。暗闇の際も慌てて明かりをつけない。明かりを目指しにモンスターが襲ってくる場合もある。むやみに声を出さないのも同様に大切だ。気分が少し落ち着いたところで、周りをもう一度、見渡した。


 洞窟は高さが3mくらい。広さは5〜6mくらいだろうか。薄暗いが全く見えないというわけじゃ無い。ゴタゴタとした岩肌だが歩くのも、問題なさそうだ。道は前と後ろのどちらかのみ。周りにモンスターの気配はない。集中して、魔力を付与したメガネの位置を探る。よかった、魔力を感じることはできた。ただどちらの反応もバラバラの位置で距離もありそうだ。それに直線で行けるとは限らない。それでも位置がわかるのは役立つはずだ。とりあえず前と後ろどちら進んでいいか分からないので、前に進むことにした。





〜 リノ視点 〜


「うう、、気持ち悪い」


 頭を抑えながらリノは、あたりを見渡す。洞窟。ドワーフの自分には暗さは問題ない。大きな声でリュネとルックを呼ぼうとして思いとどまる。明かりをつけない、むやみに大きな声を出さない。リュネに散々、言われたことだ。



「まずは落ち着いて周囲の確認だったな」


 ちょうどカーブの真ん中らしい。どちらの先も見えない。



「こういう時はっと」



 棍棒を地面にまっすぐ突き立てて手を離す。棍棒はコロンと転がった。柄が示した方向へと進むことにした。




〜 リュネ視点 〜


 目眩が強くて転移直後に座り込んでしまう。無理に立ち上がらずに周りを確認する。何かの気配がする。キキキッと何かの鳴き声、それも複数。天井の方からだ。リノとルックは、いないようだ。鳴き声のする方に目を凝らす。暗いが見えないことはない。これは眼鏡に付与された視力強化の効果に間違いない。本当はもっと暗くて何も見えないはずだ。メガネにしか付与できない付与魔法。尋常じゃない魔力量といいおかしな奴。



「ふぅ」


 少し息を吐いて、想像を中断する。鳴き声の正体はコウモリだ。たぶん闇コウモリ。胴体の大きさは30cm程度で羽を広げると1mを超える、、だったはず。暗闇を好んでいて明かりをつけたら激しく襲いかかってくる。音にも敏感だが、明かりと違って音を立てても襲ってくるということはない。


 進める方向は3つ。ちょうど分岐点に私は居る。


コウモリがぶら下がっている天井の下を通る道

それの隣に位置する道

これらとは真反対の道


 どれも先はわからないので耳を澄ます。コウモリの鳴き声以外に遠くでガチャンガチャンと金属音が聞こえてる。コウモリたちがいない方の道からだ。


 リノの鎧の音かもしれない。用心しつつそっちに向かってみよう。


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