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命の欠片 ―黒衣のセルシアⅣ―  作者: 吉野衣織
Ⅰ真夜中の凱旋
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 そんな中、グオンと、イリューザーが苛立つように、(せわ)しく歩きながら吠えたのに、クレイセスは賭けてみることにした。


「ビルトール、アルゼット、残ってこいつらを治安維持隊に引き渡せ。ツイードは営所から一隊を借りてきてくれ。バララト、カイザル、アクセルは、私に付いて来い」

 御意、と皆から声が上がる。


「イリューザー。サクラはどこだ。お前がわかるところまで、連れて行ってくれ」

 勢いよく鼻を鳴らすと、イリューザーは駆け出した。それを、騎乗した四人が追う。


 追いながら、クレイセスは二人の行方(ゆくえ)を考えた。これは勘でしかないが、恐らく同じ場所にいる。クロシェが毒で動けない、しかし致死量ではないだろう。必要ないならその場に置いていけばいいものを、わざわざ連れ去ったのだから。


 クロシェを欲しがる女は山のようにいるが、その中でもクレイセスが危険視しているのは四人。筆頭はメイベルだ。


 しかしどの女も、これほどの人数を派手に動かせる力があるとは思えなかった。異能が複数絡んでいることからも、フィルセインが関与している可能性は捨てきれない。だが、クロシェを「収集」したい女と、サクラの「黒目」を欲する収集家同士が、手を組んだ、ということも考えられる。


 もし二人が同じ場所にいたとして。


 サクラが、単独でも逃げてくれればいい。

 クロシェに仕込まれたのが毒ならば、ある程度のものを解毒できる薬を、騎士は個々に携帯している。動けるようになりさえすれば、それこそどのようにしてでも、あいつは脱出出来る。それだけの腕がある。


 だが恐らく、サクラはクロシェを置いて来ることなど、出来ない。


 姿を見てしまったなら、あるいは同じ場所に捕らわれていると知ったならなおのこと、あくまでも「一緒に」助かる道を選択するだろう。


 彼女の思考が手に取るようにわかるだけに、それもまた、もどかしかった。

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