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最終話「終わりとそれから、そして始まり」


 ぱぁん、っと俺の撃った弾は空気を斬り裂きながら進み、所沢の鼻辺りに直撃した。

 

 グサッ

 

 「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 「うおっ!!」

 

 所沢は地面に倒れ、のたうち回っている。

 

 「え・・・なんで?」

 

 マシンガン喰らってへっちゃらだった奴がハンドガン喰らって大ダメージって・・・

 

 「鮫の弱点は鼻なんです。やりましたね、川口さん!」

 

 「なっ・・・」

 

 た、確かに聞いた事はあるが・・・

 所沢は地面に倒れたままピクリとも動かない。

 

 「勝ちましたね」

 

 「あ、ああ・・・」

 

 なんか・・・いいのかなこんな勝ち方?

 

 「それより川口さん、お友達の方は?」

 

 「あ、そうだ!!」

 

 俺は辺りを見渡す。

 そして・・・

 

 「・・・っあ!!」

 

 あ、あそこに倒れているのは・・・

 

 「孝明に幸也、千姫に新座!!」

 

 そして・・・

 

 「真理子さん・・・」

 

 俺は倒れている人を踏まないように、しかし走りながらみんなの元へ。

 

 「みんなっ!!」

 

 俺は叫ぶ。

 俺の前方にはみんなが倒れている・・・

 

 「おい、みんな!!」

 

 俺は走る、そして叫ぶ。 

 しかし、みんな倒れているだけでピクリとも動かない。

 

 「死んでは・・・ないよな」

 

 少しの不安。

 みんな無事なのか?

 

 そして、みんなまであと数歩のところまできた。

 

 その時・・・

 

 「川口さん、危ないっ!!」

 

 フコンの声がした。

 そして・・・

 

 パァン!!

 

 「・・・えっ?」

 

 銃声、火薬の臭い。

 そして衝撃。

 

 俺は軽く吹っ飛び、壁に衝突。

 ガコーンと頭を打った・・・。

 

 そして、左腕に鋭い痛みが走った。

 

 「うっ!?、・・・うぅ・・・・・」

 

 声が出ないほどの痛み。 左腕を見ると、ドクドクと溢れる紅い液体。

 

 焼けるような痛み、体からは嫌な汗が。

 

 「川口さんっ」

 

 フコンがこっちに寄ってくる。

 

 「うぅ・・・・・」

 

 「大丈夫ですか?すごい出血ですよ!?」

 

 その時

 

 「ハハハ、ぶざまだな、信良」

 

 聞いた事のある声、そして、発電室の入口に人の影が。

 

 「信良、痛いか?痛いだろうな。何しろ拳銃で撃たれたんだからな」

 

 入口にうつる影、その影の主がこの部屋に、ゆっくりと入って来る。

 

 「本当は心臓を狙おうとしたんだが、少しズレたか・・・」

 

 「お、お前・・・」

 

 俺はそいつの顔を見て、絶句した。

 

 「それにしても戦闘屋の奴らは何をしてんのだか。全く依頼が達成できていないし」

 

 「・・・な、何でだ・・・・・」

 

 俺は驚きのあまり、動く事が出来ない。

 

 「ま、半獣に頼った俺が馬鹿だっただけかも。な?信良」

 

 そう言って彼、深谷秀勝は微笑んだ。

 

 「秀勝・・・お前・・・何で・・・」

 

 「簡単だよ。俺はお前を殺したい」

 

 ・・・時間が、止まったように感じた。

 

 

 

 

 

 「何で・・・」

 

 数秒の沈黙の後、俺は尋ねた。秀勝に。

 

 「・・・邪魔なんだよ、お前が」

 

 「じゃ、邪魔って・・・・・」

 

 理解が出来ない。

 

 大親友だと思っていた秀勝が、俺を殺したがっている・・・

 

 「・・・ふん、分かった。お前に分かるように、単刀直入に言ってやる」

 

 俺は秀勝を見た。

 

 「俺は・・・・・寄居真理子の事が・・・・・好きなんだ」

 

 「はぁ!?」

 

 思わずマヌケな声を出してしまった・・・

 

 「・・・ハハハ、やっぱりそう思うよな、コイツ何言ってんだ!?って」

 

 秀勝は笑いながら俺に銃を向けた。

 

 「お前も、寄居の事が好きなんだろ?」

 

 「えっ!?」

 

 「それくらい分かるさ。お前はいっつも寄居の事を見ていた。いっつも寄居の事を思っていた」

 

 「・・・・・」

 

 左腕の傷口がジワリと痛んだ。

 

 「なぁ、知ってるか?寄居の奴、好きな男子がいるんだってよ」

 

 「・・・・・」

 

 「・・・・・ハハハ、お前だってよ。川口信良」

 

 「えっ・・・!?」

 

 まさかの展開だ。

 

 「俺、冬休み開けのある日、寄居に告ったんだ。そしたら、ゴメン、と。お前の方がいいんだ、と」

 

 「・・・・・」

 

 マジでか?

 

 「俺は・・・初めは諦めようと思った。仕方ない事だと。けど、時間が経つに連れて何か、イライラと言うか、ムカムカと言うか、そんな感情がしてきた。あんな間抜けでオクテで地味な奴のどこがいいんだと。俺はあんな奴に負けたんだと」

 

 「え―・・・」

 

 そんな風に思われてたんだ、俺・・・

 

 「でさ、悪いとは思ったけど、ある日、下校するお前をつけてみる事にしたんだ。寄居はお前のどこに惚れたのか知りたくて」

 

 「・・・で?」

 

 「そしたら、お前突然猫と話しだして・・・猫が人間になって・・・そして、半獣の事と動物恋愛相談所の事を知った」

 

 「・・・あの日か」

 

 ミィと初めて出会い、ブラックやフコンと初めて出会ったあの日。

 

 「で、俺は思った。このままじゃ、信良と寄居がくっついちゃう。両思いだって事を知ってしまう。俺はそれが気にくわなかった」 

 「それで・・・まさか・・・」

 

 カチャ!

 

 秀勝は銃の安全装置を外した。

 

 「大変だったんだぜ、普通の一般中学生が殺し屋を捜すの。そして、見事半獣絡みの戦闘屋を見つけた。半獣には半獣がピッタリだと思ってな」

 

 「秀勝、お前・・・」

 

 「信良が死ねば、寄居とくっつく事は無くなる。そしたら、俺は頑張って寄居に好きと思われるようになろうと思う」

 

 秀勝は急に真顔になった。

 

 「最後だから教えてやる。この事件を動物戦闘屋に依頼したのは俺だ。川口信良とそれに関係がある半獣の殺害。依頼料はカラオケ店から奪えばいい。だから、俺はお前をカラオケに誘ったんだ」

 

 「そんな・・・」

 

 人を思う心は恐ろしい

 

 確か前にテレビか何かで言ってたな・・・

 

 人を思うあまりに、人は過ちを犯してしまう事がある。間違った道に進んでしまう事がある。

 

 理性の崩壊・・・だったっけ?

 秀勝は今、その過ちを犯してしまっている途中なんだ・・・

 

 「じゃあな、信良」

 

 「川口さん!!」

 

 フコンが叫んでいる。

 けど、俺の意識がそれに応えようとしていない。

 

 「・・・っ!!」

 

 フコンは俺達の前に結界を出した。

 

 「川口さん、早く逃げて下さい!私の能力は人間の作った兵器に対して効果が薄いんです!!」

 

 俺は動かない。

 ショックのせいで放心状態。

 

 「川口さんっ!!」

 

 パァン!!

 

 秀勝が銃を撃った。

 

 ガキ〜ン!!

 

 弾は結界に直撃。たった一発で結界にヒビが入った。

 

 「うっ・・・」

 

 フコンは少し苦しそうな表情。

 

 「川口さん、早くっ」

 

 パァン!!

 

 二発目の弾は結界を割った。

 

 パリンっ!!

 

 「か、川口さん・・・」 

 俺の目の前にはフラフラの白狐。

 どうやら術が強引に解かれると大ダメージを受けるらしい。

 

 「さよなら」

 

 秀勝は笑った。

 

 その時だった。

 

 グサッ!!

 

 「っぎゃ〜!!」

 

 左腕の傷口に馬鹿でかい痛みが走った。

 

 「信良、何アンタボサッとしてんのよ!?」

 

 「えっ!?」

 

 突然、声がした。

 

 俺の足元から、聞き覚えのある、女性の声。

 

 「全く、ぜんぜんなってない」

 

 俺は足元に目をやる。

 

 そこには、猫がいた。

 

 とら柄の、猫だった。

 

 「み、ミィか?」

 

 「何か質問ある?」

 

 「いえ・・・」

 

 つーか、何でミィがここに・・・

 

 「ミィ、お前あの蜂オバハンは?」

 

 「蜂?ああ、今ポチ太郎がチェーンでぐるぐる巻きにしてると思う」

 

 「あ、ああ・・・」

 

 「それより信良、アンタ友達を助けてあげないの!?」

 

 「え、えっ?」

 

 「深谷秀勝、はやく彼を止めなさいよ!!」

 

 「なっ!?」

 

 「・・・多分だけど、秀勝はフラれたせいで心が不安定なだけなんだと思う。だったらアンタがその不安定を安定にしてあげなさいよ。友達なんでしょ?」

 

 「そ、そんな・・・」

 

 「同じ寄居真理子を好きな者同士、バーンと言ってこい!!」

 

 ぐいっ!!

 

 「うわっ、分かったから押すな!!」

 

 俺は軽く深呼吸。

 

 「・・・話は終わったか信良?じゃ、いくぜ」

 

 秀勝は俺に銃を向ける。 

 「おい、ひ、秀勝」

 

 情けない事に声が震えている。

 

 「お、お前はそれでいいのか?」

 

 「はぁ?何が?」

 

 「お前は・・・た、ただ負けるのが怖くて逃げているだけだろ!?」

 

 「・・・ふん、何を言うかと思ったら」

 

 「お前は・・・逃げてるだけだ!俺に真理子を取られたくないからって」

 

 「・・・死ね」

 

 パァン!!

 

 銃弾は俺の右頬をかすった。

 直撃はしていない。しかし、血は出てきた。

 

 痛い、怖い、けど・・・・・

 

 「だってそうだろ?お前はさっき、俺を殺して真理子さんに好きになってもらいたいって言った。つまり、まだお前、真理子さんの事、好きなんだろ?」

 

 「・・・・・」

 

 「だったらさ、俺に負けるなよ、お前にとって俺は間抜けでオクテで地味少年なんだろ?だったらそんな俺に負けんなよ、もう一度頑張って、真理子さんに振り向いてもらえよ!」

 

 「・・・何を今さら」

 

 「今さらじゃなくて、頑張ってみろよ!確かに俺も真理子さんの事、好きだ。だから、俺と勝負しよう!先に真理子さんに振り向いてもらった方の勝ち」

 

 「フッ・・・寄居はお前の事が好きなんだぜ。俺なんか・・・」

 

 その時、俺の頭ん中で何かが切れた。

 そして、はじけた。

 

 「甘ったれた事言ってんじゃねーよ、ガキ!!」

 

 「なっ・・・」

 

 「てめぇはすぐ諦めんのか?好きな奴の事、すぐ諦めんのか?ったく、馬鹿みてぇな甘ちゃんだな」

 

 「信良・・・」

 

 「てめぇ、まだ真理子の事が好きなら、俺から奪いとってみろよ。殺人とか戦闘屋とかじゃなくて、その気持ちで奪いとってみろよ!!」

 

 「・・・!!」

 

 「言っとくけど、俺が真理子を好きだって気持ちはバカデケェぜ。それでも真理子の事が好きならかかってこい、そして真理子の心動かして、俺から奪いとってみろ」

 

 って、俺、何言ってんだぁ〜!!

 

 ヤバイ!撃たれるかも・・・・・

 

 「・・・俺は寄居の事が好きだ。お前には負けない・・・」

 

 「え、あ・・・ああ」

 

 「・・・・・その勝負、受けてたつ、信良」

 

 「・・・ああ」

 

 そして秀勝はガシャン、と、その場で銃を落とした。

 そして、その場にへなっと腰をおろした。

 

 ・・・彼の目には、キラキラと光るものがあった。 

 「・・・みんなに、悪い事しちゃったな、俺」

 

 「秀勝・・・」

 

 「ゴメン、信良」

 

 「・・・・・」

 

 俺はこの時、何て言ったらいいのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数分後、カラオケ店には沢山の警察がやってきた。

 

 そして、秀勝は自首。警察に事情を話し、警察署へ連行。

 その他に人間の犯人二人が逮捕されたが、豹太、蜂乃、鮫介は何がどうなってんのか、逮捕はされなかった・・・つーか、知らぬ間にいなくなっていた。

 

 ちなみに、監視カメラ等の映像は間違って山田が削除してしまい、無くなってしまった。

 

 そして人質。

 ロビーで拘束されていた人達は皆、無事だった。

 そして発電室にいた皆も無事だった。

 後から千姫に聞いた話だと、俺がトイレに行くと言って部屋を出た直後、部屋のドアがノックされ、開けてみた所、突然意識を失ったと言う。

 警察の検診の結果、千姫達は睡眠ガスを喰らっていたのだそうだ。人には無害のガス。

 恐らく、犯人の仕業。

 

 そして、この事件はカラオケ店を狙った金目当ての犯行だったとマスコミは伝えた。

 犯人に15歳の少年がいた事は報道されたが、それが秀勝だと言う事は報道されなかった。

 そのため、千姫達やクラスの奴らは今、秀勝は遠くの病院で事件の時に受けたであろう傷を治療していると思い込んでいる。

 

 そして、この事件は死亡者0だった事から、あまり大きく報道されず、すぐに社会の情報の波に埋もれていった。

 

 そして俺は警察がくる前に、フコンの力で傷を治し、犯人からの被害0を装った。

 

 かくして、このカラオケ事件は幕をおろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふは〜・・・長かったぁ〜」

 

 事件についての警察からの事情聴衆を終え、俺は一旦、家に帰宅。両親と軽く会話をしたのち、今度は事務所へ。

 

 「よっ!!・・・ってうわっ!!」

 

 俺が事務所に入ってまず見えたのは、包帯ぐるぐる巻きのブラックの姿。

 

 「どうしたんだ?・・・・・って、まさか」

 

 「・・・豹太にやられたんだよ」

 

 機嫌悪そうなブラック、そして傷口に薬を塗っているフコンの姿。

 

 「で、ブラック、結局どっちが勝ったの?」

 

 するとブラックは薮から棒に

 

 「ドロー」

 

 の一言。

 

 「あ・・・そうですか・・・」

 

 この話はタブーだな。

 

 「そう言えばミィやポチ太郎は?」

 

 「ポチ太郎はあっちで山田とDS、ミィは新たな客捜し」

 

 そう答えたのはフコン。 

 「あ・・・・・そうなんだ」

 

 「どうした?何か用か信良?」

 

 「あ、いや、ただ、あの事件でいろいろと助けてもらって、お礼してなかったなって思って・・・」

 

 そう言って俺は手荷物の茶菓子をテーブルの上に置く。

 

 「安物だけど・・・まぁ、一応ね」

 

 「おう、悪りぃな」

 

 ブラックはさらに包帯だらけに。

 

 「・・・あの、俺・・・・・」

 

 「んあ?」

 

 「これから、真理子さんと積極的に会話とかしていこうと思ってさ」

 

 「・・・・・」

 

 「せっかく人を好きになれたんだから、その恋を楽しまないとって思って・・・・・」

 

 「・・・ハッ」

 

 「えっ!?」

 

 ぶ、ブラックに鼻で笑われた!!

 

 「何バカ真面目な事言ってんだよ、信良のくせに・・・」

 

 「なっ・・・」

 

 「ま、スーパーオクテのお前には無理だろうけどな」

 

 「んな事、やってみなきゃ分からないだろ」

 

 「ハッ、じゃ、せいぜいかんばるんだな」

 

 「今に見てろよ、あっという間に真理子さんと親しくなってやる!!」

 

 俺は自分自身に誓った!!

 

 中学卒業まであとちょっと、その間に真理子さんにこの思いを伝えてみせる!!

 

 「絶対に・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある時、猫姿の私の目の前を、見た目冴えない男子が、横切った。

 多分、地味でオクテな少年。

 

 そして、その少年からは、恋の臭いがした。

 片思いの恋の臭い。

 

 「新しいお客さん、見っーけ!!」

 

 私は、今までいた木の上から飛び降り、彼の元へ。 

 

 

 今、新しい恋が、始まろうとしている。

 今までご愛読、ありがとうございます!!

 無事、このストーリーも最終回を迎える事ができました!!

 思えば最初、ギャグ・コメディー重視でいこうと思って書いたこの作品、最後の方は思いっきり笑えないシリアスムードになってしまいましたが・・・まぁ、うん、しょうがない事です!!(開き直り)

 

 何はともあれ、今までこの作品を読んで頂き、本当にありがとうございます。 感想とかあったら、是非送って頂けると嬉しいです。

 

 では、またいつか!!

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