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第4話「カラオケで親交度UP大作戦(前編)」

 「遅くなってゴメン!!」

 

 俺がカラオケ店に到着した頃にはもう全員集まっていた。

 

 「何してたんだよ、30分くらい待ったぞ」

 

 こう言うのはマイフレンドの日高幸也。

 体育会系男子。

 

 「わりぃ、ぶっちゃけ寝坊」

 

 「ま、とりあえず、ここじゃ寒いから店ん中入ろうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウィーン!

 

 店の自動ドアが開き、店の中へ。

 

 暖房あったけぇ〜・・・的な事を考えていた俺は、それの発見に一瞬遅れた。

 

 「いらっしゃいませ」

 

 カウンターにいる店員の声を聞き、前を見る。

 

 その瞬間、俺はフリーズした。

 

 「ぶわぁ〜!!」

 

 「ど、どうした信良!?」

 

 思わず奇声を上げてしまった・・・

 

 「な、ななな・・・」

 

 な、なんで・・・

 

 人間に変化したミィがカウンターにいるんだ!!

 

 「お客様、今日は何人で・・・?」

 

 しかも店員・・・

 

 「あ、7人」

 

 秀勝が答える。

 

 しかし、その時俺の意識はカラオケ店にはいなかった。

 

 「どうしたの?」

 

 千姫がフリーズしている俺の顔をじーっと見ている。

 

 なんで・・・あのバケモノ猫がここに・・・

 

 多分、アイツが今かぶっている店員制服の帽子の下には猫耳があるはず・・・・・

 

 つーか、アイツいつからここで働いているんだ?

 

 「では、201番の部屋を使って下さい」

 

 「おし、じゃあみんな行こうぜ」

 

 「あ、秀勝待った、俺トイレしてからいくから、先に行ってて」

 

 「了解」

 

 何とかみんなを先に部屋に行かせ、俺はカウンターへ。

 

 「おい猫半獣」

 

 「・・・お客様、私は猫半獣と言う名前ではありません。猫山ミカです」

 

 「・・・ミィだろ」

 

 「お客様、何を勘違いされて・・・」

 

 「ふざけるな」

 

 「・・・何よ」

 

 ミィはプイッと横を向いた。

 うわっ、ウゼー・・・

 

 「何でお前がここにいるんだよ」

 

 「何でって、バイトに決まってるじゃない」

 

 「ば、バイト!?」

 

 コイツ今何歳?(見た感じ高校生くらい)

 

 「ほら、早く行きなさいよ、みんな待ってるわよバカ」

 

 「なっ・・・」

 

 うぐぐ・・・仕方ない、一旦部屋に行くか・・・

 

 「いいか、くれぐれも俺らの邪魔するなよ」

 

 「分かってるわよ」

 

 何か怪しい・・・ま、とりあえずは部屋へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お〜し、じゃあ次誰歌う?」

 

 たった今幸也が歌い終わり、マイクをテーブルの上に置いた。

 

 「じゃあアタシ歌う〜!!」

 

 そう言って今、マッハの速度でマイクを取ったのは新座葵、あんまり親しくない・・・

 

 「なぁ信良」

 

 「ん?」

 

 葵の歌がうるさすぎて誰の声かが分からない。

 

 「お前暇なら飲み物持ってきて」

 

 「飲み物?何の?」

 

 「コーラでいいや」

 

 そう言ってグラスを差し出してきたのは孝明。スーパーインテリ君の異名を持つ天才。

 

 「あ、じゃあ俺も」

 

 幸也がグラスを差し出す。

 

 「よろしく」

 

 秀勝もグラスを差し出す。

 

 「あ、あたしも!」

 

 千姫もグラスを差し出す。

 

 「♪今と昔〜両方あるから人間ってやつわ〜♪」

 

 歌いながらスッとグラスを差し出す葵。

 

 「・・・わしゃ馬車馬かっ!!」

 

 チクショー!!

 みんな自分勝手過ぎるだろ!!

 

 ・・・仕方ない、行ってくるか。

 

 ガチャガチャ!!

 

 うっ・・・グラス多すぎて一度に全部持てない・・・・・

 

 「あ、川口君、私も一緒に行こうか?」

 

 ななっ!!

 この透き通るような美声は・・・

 

 「あ・・・」

 

 もちっとした白い肌、可愛いらしい瞳、サラサラのロングヘアー!!

 

 よ、よよよ寄居真理子さん!!

 

 「グラス半分貸して」

 

 その細く美しい手が俺の手元のグラスへ・・・

 

 「あ、悪いな・・・」

 

 やべ、俺声かっすかす・・・

 

 「みんなコーラでいいよね?」

 

 「おう」

 

 「じゃ、行こ」

 

 これ、奇跡の展開だぁ〜!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一階、カウンター付近のドリンクバーの機械。

 

 カウンターではミィが居眠りしている。

 ありゃすぐクビだな。

 

 「あれ・・・・?」

 

 「どうした?」

 

 この“どうした?”も声が出ずにかっすかす。

 

 「コーラが出ない・・・・・」

 

 「え?」

 

 機械の故障か?

 コーラのボタンを押しても、何も出てこない。

 

 「じゃあさ、メロンソーダでもよくね?」

 

 よし、今声かすれなかった。

 

 「それがね、どのボタンを押しても何も出ないの」

 

 「は?」

 

 メロンソーダスイッチオン!!

 無反応

 ウーロン茶スイッチオン!!

 無反応

 オレンジジューススイッチオン!!

 無反応

 

 「私、店員呼んで来るね!」

 

 真理子さんがカウンターへ・・・って

 

 「ちょっと待った!」

 

 真理子さんアカン、その居眠り店員アカン!!

 

 「ん?どうしたの?」

 

 「お、俺が聞いてきてやるから、少し待ってて」

 

 「え?」

 

 「いいから」

 

 俺はカウンターへ。

 

 「おい猫山さん」

 

 「・・・うぅ・・・何・・・」

 

 「寝てんなよ、猫山さん、ドリンクが出ないんだけど」

 

 「ちょっと・・・待って・・・」

 

 猫山―――もといミィは何故かカウンターの奥、従業員の部屋へ。

 

 「ったく・・・」

 

 あのバカ猫、尻尾まる見えなんだけど。

 制服のスカートとシャツの間からにょろっと・・・・・

 

 

 数秒後

 

 

 「はいはーい、すみませんねぇ〜」

 

 「なっ・・・!!」

 

 従業員の部屋から出てきた人物を見てビックリ!

 

 「ドリンクバーの機械ですか?故障してんのは」

 

 「・・・なんでアンタまで・・・」

 

 制服のネームプレートには“烏森”の文字。

 

 「おいコラ烏、テメェ何してんだ!!」

 

 「いやはや、私は烏森黒夫だが」

 

 「・・・・・」

 

 スルーしよう。

 

 「あ、店員さん連れてきた?」

 

 真理子さんにはバレてはいけない・・・

 

 「お、ターゲット・・・じゃなかった、お客様、少々お待ち下さい」

 

 ブラック・・・いや、烏森さんがドリンクバーの機械をいじくり出す。

 

 「・・・お客様、申し訳ありません、機械がショートしたらしく・・・後ほどお部屋の方にドリンクの方をお運び致しますので」

 

 「あ、そうですか」

 

 この烏めぇ〜!!

 

 「仕方ない・・・川口君、一旦部屋戻ろう」

 

 「あ、ああ・・・」

 

 「申し訳ありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃・・・

 

 「ここか・・・」

 

 俺らがいるカラオケ店の前、そこに五人の人間の姿が・・・

 全員ベージュのコートで身を纏い、ベージュの帽子をかぶっている。

 

 「ターゲットは・・・ブラッククロウソード、ミィ、ポチ太郎、フコン、ジョニー山田・・・」

 

 彼はニヤっと笑った。

 

 「川口信良・・・」

 

 五人全員が一斉に笑い出した。

 

 「クハハハハ!もうすぐだ、もうすぐで・・・」 

 「お母さん、あれな〜に?」

 

 「ゆー君、見てはいけません」

 

 通行人に気味悪がれている事お構いなしに笑い続ける五人。

 

 「今こそ、我々の時代の幕開けの時!!」

 

 

 

 

 これから、前代未聞のくだらない事が始まる事を、この時の俺は知らなかった・・・。

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