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第3話「川口信良捕獲大作戦」

 あ〜!!

 今日は学校でいい事がありました!

 え?何かって!?

 それはね・・・

 

 「やっほ〜!!今度の日曜日は真理子さんとカラオケだ〜!!」

 

 まさに奇跡ですよ!

 話しをするきっかけを作るには最高だよ!!

 

 「うっひゃ〜!!楽しみだ!!」

 

 いつもの帰り道、自然とスキップをしてしまう。

 え?キモい?

 

 ・・・中学三年生、それは思春期のスタートラインなのだ。

 ほとんどの中三は鼻の下が伸びっぱなしなんですよ。

 いつでも奇跡を求める生物、中三。

 

 夕日がもうすぐで沈む

 

 辺り一面オレンジ色

 

 閑静な住宅街の路地

 

 「そう言えば・・・」

 

 そう言えば、昨日のこの時間、この場所で俺はミィと出会ったんだっけ。

 

 「・・・ま、今はそんな事より真理子さん!」

 

 スキップ再開!

 

 何かもう・・・楽しいです!!

 

 その時・・・

 

 「あ、何スキップしてんの?」

 

 「は?」

 

 後ろから声が。

 

 調子に乗ってクルッと回転。

 ずるっ!

 こけた。

 

 「何してんの?」

 

 「あ、なんだ千姫か・・・」

 

 俺は体制を立て直しながら確認。

 

 俺の目の前には一人の少女。

 

 若干茶色(地毛)の髪にクリクリした瞳、スッキリした顔立ちにポニーテール、スリムな体型、今は松山中の制服を着ている。

 

 コイツの名前は越生千姫。千姫と書いてちひめと読む。

 ぶっちゃけお隣りさんで幼なじみ、このスーパーオクテの俺が唯一、何の気も持たずに話ができる女子だ。

 

 「何スキップなんかしてんの?いい事あった?」

 

 「いい事どころじゃない、ハイパーな事だ」

 

 「ハイパーな事?」

 

 「YES、ハイパー」

 

 「ふ〜ん」

 

 あ、そう言えば千姫もカラオケ参加メンバーだっけ。

 

 「そう言えば千姫、お前カラオケで何歌うの?」

 

 「え?フツーに歌う」

 

 「だから何を?」

 

 「秘密!」

 

 超ニコニコ顔の千姫。

 コイツは若干天然。

 

 「ねぇ、信良は何歌うの?」

 

 「俺?俺は・・・」

 

 その時だった。

 

 

 

 

 

 「川口信良発見!!これより捕獲に入ります!」

 

 

 

 

 

 「・・・は!?」

 

 どこからともなく聞こえた不気味な言葉。

 

 その時、サっと俺達を囲む黒ずくめの人間が現れた。

 その数四人。

 全員が黒いスーツ、黒いサングラス、黒い帽子。

 大小様々な身長。

 

 「何、誰?」

 

 のんきな千姫。まずここは焦ろうよ。

 

 「フハハハハ、我々は動物恋愛そ・・・じゃなかった、ブラッククロウ団だ!川口信良をちょうだいするぜ!!」

 

 一番のっぽの男性が言った。

 

 ・・・正体分かった。

 

 「・・・おい、何してんだお前ら」

 

 「確保ぉ!!」

 

 俺の言葉無視

 

 突然、黒ずくめの四人が俺に飛び掛かり、こめかみにグー。

 

 「おふっ・・・」

 

 たったの一撃で俺は暗闇の中へ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キサマ、これはなんだ」

 

 目の前にはカラオケの採点機械。

 

 「カラオケセットだ」

 

 人間姿のポチ太郎が尻尾をふりながら答える。

 

 「んな事は分かってる。何故、俺が拉致られ、気が付いたら事務所の中にいて、しかも目の前にはカラオケがある状況になっているのかを聞いているんだ」

 

 「レッツカラオケ!」

 

 「話を聞け、犬」 

 「まずは何を歌おうかな〜!!」

 

 「おい犬」

 

 「やっぱりアニソンからかな〜!!」

 

 「・・・おい」

 

 「よし、決めた!」

 

 「・・・マイク取り上げるぞ」

 

 「お袋さんにしよう」

 

 「チョイスおかしくない!?」

 

 いかん、ツッコミを入れてしまった。

 相手のペースにのまれたらアカン。

 

 「お〜い、誰か他にいないのか?」

 

 

 

 

 

 さっき、俺の目が覚めた時、俺は事務所のソファーの上に横になっていた。

 目の前にはカラオケを用意しているポチ太郎の姿のみ。

 他のメンツの姿がない・・・

 

 「おい犬、俺に何か用でもあるのか?」

 

 無視

 

 「・・・帰るか」

 

 そして俺が事務所の扉を開けたその時、

 

 「まぁ待て」

 

 事務所の奥から烏登場・・・頭には寝癖。寝てたなコイツ。

 

 「お前を拉致ったのはほかでもない、今からカラオケの練習だ」

 

 「・・・はい?」

 

 焼鳥にして喰ってやろうか・・・

 

 「お前、今度の日曜日はターゲットと一緒にカラオケだろ?」

 

 「た、ターゲットって・・・」

 

 「我々動物恋愛相談所はそれを全力で応援する。なにしろお前は俺らのお客だし」

 

 「客になったつもりはないんだけど・・・」

 

 「大丈夫、必ず成功させてみせる。さ、まずは歌の練習だ!」

 

 「・・・・・」

 

 何なんだコイツら

 

 「つーかブラック、あの時一緒にいた千姫はどうしたんだよ」

 

 正体ばれたらマズイんだろ・・・

 

 「あーそれは大丈夫、今フコンとミィが家に送っているはずだ」

 

 「いや、そういう事じゃなくて・・・」

 

 誘拐事件として警察にでも通報されたら・・・ややこしい事になる事間違いなし。

 

 「だから大丈夫だ。俺らがお前の親せきだと言ったらすんなり信じた」

 

 「なっ・・・」

 

 人のこめかみ殴って気絶させる親せきって・・・

 

 つーか千姫それを信じたの!?

 

 「さ、歌の練習だ。まずは何を歌うか?」

 

 「えっ!マジでやるの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガチャ!

 

 「ただいま〜って、うわ・・・」

 

 「あ?」

 

 俺はソファーに横たわりながら事務所の玄関に目をやる。

 

 ・・・どうやらミィ達が帰ってきたらしい。

 

 「うわ〜すご・・・」

 

 驚くミィ。

 それもそのはず、今事務所の中はお菓子の残骸や大量の空きペットボトルが散乱中。

 しかも、ソファーでは俺が伸びており、テーブルの上ではブラックがダウン中、ポチ太郎に至ってはお菓子の袋に埋まっている。

 

 「な、何してたの?」

 

 「・・・日曜日のリハーサル」

 

 「うわっ!アンタ声、凄い事になってる!!」

 

 「まぁ、100曲近く歌ったからな・・・」

 

 自分でも分かる、スーパーガラガラ声だ。

 

 あ〜喉痛い・・・

 

 「ま、とりあえずアンタがこの部屋掃除してくれるのよね?」

 

 「・・・は!?」

 

 「当たり前じゃん、アンタ達が散らかしたんでしょ?ならアンタ達の中で今、唯一意識のあるアンタが片付けるべきよ」

 

 「え・・・お前、客に片付けさせる気か!?」

 

 「いいからやる!!」

 

 わっ・・・この猫耳人間爪立ててきた!!

 

 「ちょ・・・分かったから」

 

 このままでは引っ掻かれて失血死だ。

 

 「ほれ、分かったらさっさとやる!!」

 

 「はぁ〜・・・」

 

 全く・・・喉痛いのに・・・しかも俺、一応客なのに・・・。

 

 「ほら、チンタラしてないでもっと動け!!」

 

 「はいはい・・・」

 

 ミィももっと大人しければ結構可愛いのに・・・・・・

 

 「はぁ〜・・・」

 

 「ため息つかない!」

 

 「すんません・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして日曜日・・・

 

 「やっべぇ〜!!寝坊した!!」

 

 俺はチャリをこぎ、集合場所であるカラオケ店の駐輪場を目指す。

 

 「だぁ〜!!」

 

 1月の終わり、辺りは当たり前のように寒い。

 

 あ、今「辺り」と「当たり」をかけてみました!

 え?つまらない?

 

 って、んな事はどうでもいいんだよ。

 

 冷たい風が顔に当たる

 

 空は快晴!

 

 喉も治った!!

 

 よし、MAXパワーでいざ、カラオケ店へ!!

次回、カラオケ店で沢山のハプニング&アクシデントが・・・

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