16歳で分けられる世界へ
権利を主張するもの達へ
自由を主張するもの達へ
平等な世界とは、こういうものだよな?
世界はある日分断される
いるはずのない神が空に現れた。
人々は高度なホログラムだと思い、先進国の技術はここまで来たかと笑った。
世界同時通訳される共通言語とでも言えるのか?
世界の人と呼ばれる者達全てに聞こえた、
神はこう言った。
生まれた日より16年経過した日を境に世界を望むべき平等な国に切り分ける。
世界の生と死と富など全てを再配分する。
我は人によって作られし、人によって創造された神であり悪魔である。
その解釈は如何様に取っても自由だが、世界を再編する力のある事を証明する。
再配分するルールを伝える。
・命を再配分する
人一人を殺したことがある者は、殺した者の財産全てを死んだ者に渡す。その命を全て殺したものに渡す。
人二人以上を殺した者は、命を渡した上でさらにその殺した者の寿命の分だけ、死の間際を繰り返す。
人を殺せと指示したものや、そう追いやった者も人を殺したものと同じとする。
・富を再配分する
人から奪った富を持ち主に返す。
詐欺、強奪、人のアイデアを盗む、など本来その奪われた者が手に入るべきだったものを、奪われた者に返す。
・肉体を再配分する
五体という人として形成される形を、そのままの形として足らないものを再配分する。
腕のない者には腕が与えられる。
与えるのは、人を殺した者の肉体を再配分とする。
・魂の形を再配分する
心と身体が違うものを望む形に再配分する。
望まない全てのものは、望まないままの形とする。
死にたい者が殺してもらった場合は、そのままとする。
女の心で男の身体が良いものもそのままとする。
・世界を再配分する
世界は均等に区切られ、世界の言語は統一され、世界の国は各々の精神のままに分けられる。
人を殺したいものは、殺人願望だけの国へ。
運動がしたいものは、運動するものだけの国へ。
発明したいものは、発明するものだけの国へ。
動きたくないものは、何もない国へ。
男が嫌いなものは、女だけの国へ。
詐欺師は詐欺師の国へ。
女が嫌いなものは、男だけの国へ。
各国には現在の文化をそのまま繁栄させるが、それを動かすものは自分達だ。
国はさらに細分化される。
男だけの発明だけの市へというように。
一度分けられた国から他の国へは移動は永久に出来ない。
殺人の国は殺人願望があるものだけが移動され、殺人を犯しても他者の命へ再配分はされない。
皆の意識にはっきりと生まれた願望のままに国へ移される。
さあ、楽しむが良い。
各々が望んだ世界だ。
権利を主張するものだけが集まる世界に不満はあるまい。
理不尽はなくなる。
理だけが残る究極の世界だ。
ようこそ、発明の国へ。
この国は発明だけを愛し、こだわり、皆が考えたもので楽しく生きる国です。
神が世界を分けて、50年が経ちました。
この国の娯楽は他の国を観察できる技術を手に入れました。
後数百年もあれば、あの神を創り出し過去に送り、世界を再配分できるようになるでしょう。
何のことはない。
技術だけを愛し、発展だけを考えた我々の未来の子供達がこの世界を作ったのです。
では、他国を見てみようじゃないですか。
神を創り出したのですから、国を跨ぐくらい簡単でしたよ。